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魔王に捧げる交響曲


 総司令の指揮に続いて激しい銃声と怒声が入り混じり、少女達の熱血オーケストラが始まった。


「うあああああああああ!!」

「くたばれええええええ!!」

「いっけえええええええ!!」

「おやつバースト!! マキシマム!!」

「なめんなああああああああ!!」


 空から校庭に舞い降りる車両型世界核に、凄まじい銃撃の洗礼が浴びせられる。普通のバスならば既にぐちゃぐちゃのスクラップで爆発大炎上だろう。

 ダメージ13、3、2、6、1、24、7────。

 会長と俺の『認識兵器』が否定を砕く突破口となり、威力は小さいが、何発かは確かにヤツへと通っている。


「ばあおおおおおおおおおお!!!!」

 不気味に叫ぶ火だるま状態の世界核が地面に激突するかの様に正門前へと降り立ち、大地を震わせた。


「総員撃ち方やめ! あとは私達にひきつける!」

 ナツミの号令で高所からの銃撃が即座に止み、校庭中央部に立つ俺、会長、ナツミで、ありったけの銃声、銃弾を運転席へと叩き込み始めた。ヤツとの距離、約三百メートル。

 運転席から上半身だけがフロントガラスのようなモノを突き破り、かろうじて人型を保っている歪んだ幽霊は大暴れでこちらを威嚇しているみたいだった。


「あれが本体か?! 弱点とかだったらウレシイが!」

 会長はスタンディングで的確にライフル射撃を幽霊にぶち当てながら声を張る。

「まず効いてるのかだな! タフなバケモノめ!」

 ナツミのポニーテールがプラズマを帯びて逆立っている。

 彼女が手にする二丁のサブマシンガンはノイズを散らしながら重低音の銃声を吐き出し、暗黒球と化す弾丸群が世界核にヒットする度に黒い小爆発を咲かせていた。

「効いてます! 総量が並外れてるんです!」

 俺はレバー操作で撃ち尽くしたマガジンを地面に落とすと、素早く横に並び立ったナツミが新たなマガジンを俺に差し出した。

「いつかは倒せると! だがそれまでにあんなのが学院に突っ込まれるとマズイな!」

「でも司令がこの即興作戦を反対しなかったのは、彼女がいればこそなんでしょ?!」

「ああそうさ! 相手がバケモノならコッチは魔王だ!」

 ナツミも空になったマガジンをするりと落とし、慣れた手さばきで新たな物を装填した。

 

 残耐久、約2200。通りづらくなった。

 稀に二桁ダメージを与えていたナツミの『認識兵器』さえも徐々に否定し始め、ヤツが攻撃に再び耐性を持ちだしている。

 生半可なモノでは最早ヤツの強制世界を更に調子づかせる可能性もあるからな。

 効かない、硬い、倒せなかった、とか──。そういった認識を広めてはいけないんだ。


 読者さん。何言ってるのか今は解らないかもしれないが、『認識兵器』ってのは実に素晴らしく、厄介なモノなんだよ。



──なんて事を言ってる間に……。


 ヤツは大きなエンジン音を唸らせ、怒りの炎を撒き散らしながら遂にコチラへ突撃してきやがった。


 

 

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