世界を否定する鋼鉄2
重低音の銃声が鳴り響き、俺はそのデカイ反動に足場の光を削らせ、持ち堪えた。
お姫様抱っこのまま会長が撃ち放った銃弾は小さな火球となり、放射線を描いて世界核に直撃した。
「有効か?!」
硝煙が昇るライフルを即座に下ろし、着弾点を凝視する会長。
──やはりダメだ。届いていない。ダメージ0。火球は車体に食らいつこうと暴れるも、寸前でヤツの否定がそれを押し戻している。
だがその世界、認めるわけにはいかないんだ。
……どこかで生じる悲劇を、許してください。
俺は誰かに詫び、そして、目を見開いた。
地球全土に一瞬、低い鼓動が走った。
全ての人間が、何かに振り向いた。
俺の力…………この世界には、まだ、強すぎる。いや、もう、とも言えるか。
火球が、ヤツを豆腐みたいに貫ぬいた。
運転席より少し後ろに大きな穴が開き、次の瞬間、そこから激しい爆炎が噴き出した。
「な──、なんだあの威力は?! そこまでのモノじゃないぞ?!」
「……凄いですね会長」
──まずい。余波が世界中で暴れている。会長の破壊認識に僅かに乗っただけでこれか。
ダメージ870。残4020。
車両型世界核が何か恐ろしいケモノの様な叫びを上げて、炎を撒き散らしながらグニャグニャと暴れだした。
周辺の民家やビルに激突しながら、ヤツは空に浮いていく。
「──来ます!」
俺が通信に声を乗せたと同時に、ヤツはグルリと空中で方向転換し、運転席がこちらを向く。
三回ほどライトがチカチカ点滅した後、猛スピードでヤツは空を走り出した。
「食らいついた! もう一発おまけだ!」
会長は素早い一連のリロード操作から一発だけ通常射撃をお見舞いし、狙いは外したが更にヤツを引き付けた。
「下りますよ会長!」
俺が強めに会長を抱くと会長も頷き、身を縮ませる。俺は光の足場を蹴り破った。
落下しながら俺はUM緩衝を即座に展開、激しく光の破片を散らしてゆき、最後は膝で衝撃を殺して大地に降り立った。
会長を降ろすとすぐさま俺はアームホルスターからハンドガンを抜き、セーフティーを解除する。
「勇敢なる乙女達へ! こちらで対処するから校内攻撃部隊以外の別方向からの攻撃はさけてくれ!」
襟元に向け、俺は言い放った。
〈──あい!〉
〈ご武運を!〉
〈りょーかい!〉
〈はい!〉
ワルディーやシズカ、親衛隊や遊撃部隊の女子達が四の五の言わず、それに応えてくれた。
ならばその信認に俺達は応えるまでだ。
「──司令!」
続けざま声を張る俺の少し後ろでサブマシンガン二丁を上に構え、ナツミが吼えた。
「撃てええええええええええ!!!」
空からブワリ、炎を噴き出しながら、女学院の校庭へとソレは舞い降りてきた。




