遊撃のワルディー
──何だかワルディーが俺を幸せそうに見つめてくる。
ふ、ふん。な、なにさ。
ナツミがそれに気付くと、優しい笑みでワルディーの頭を撫でながら保育士みたいなノリ。
「ワルディーはうちの切り込み隊長なんだよね~。勇者、ワルディー。遊撃のワールディア」
「ん、ん、も、きりもみだいちょう! GO!」
どんな状態の台帳だよ。高い場所から落としちゃいました? 誇らしげに興奮するワルディーはどうやら臨戦状態だ。変なファイティングポーズを俺に見せつけてドヤ顔。
遊撃兵か。頑張ってるらしい。
俺は「そうか」と、勇ましいワルディーに薄い笑みで小さく頷いておいた。
「──うちはショートレンジに強いが、ミドルとロングレンジがやはりまだ手薄だよなぁ」
ナツミは紙コップのお茶を手にしながらう~んと唸る。
「先々週の岐阜南陸高校の女子、惜しかったですね……。あの射撃能力、スナイパーとして欲しかった。別働隊を増やせるチャンスだったんですが……」
「軍のお誘いがあったみたいですね。致し方のない事。そちらの部隊でのご活躍を期待しましょう」
どうやら進めてたスカウトが失敗したみたいだな。
サリオとシズカも残念そうに苦笑を浮かべると、ぼんやり水を飲む俺に二人してズイと肩を寄せてくる。
「やれる者がやればいい。けれどその理想を貫くには、わたくし達はまだまだ力不足なのです」
「カタリ。実際、お前くらいで当然なんだ。気に病む事はない。だが私達は求めなくてはならない事も、解って欲しい」
「はい」
このおっきい方達に挟まれて、他に何が言えるでしょう。いい香りするし。俺はとても素直な返事で答えた。
「──力不足なのです」
「──解って欲しい」
むぎゅう~! ちょっ! だめ! だめよ! つぶれちゃう! シズカ貴様どこが力不足だよ!
両サイドから肩でぎゅう~と挟まれ、押さえ込まれる俺は絶対絶命だった。
「ああああぁぁ!」
「リューシロ! 危にゃい!」
俺の気持ち悪い悲鳴に、ワルディーがとっさに駆けつけてくれた。
「いまたすけるアル!」
とか言いつつ俺の背後に回ったワルディーも、自分の背中でぎゅう~と俺にもたれかかってきやがる。おしくらマンジュウ的な状態だ。
「あは! あはは!」ぐふっ! ワルディーてめえ!
「ふふ! や~!」姫様なんとはしたない!
「解って欲しいにゃん」黙るがいいサリオ!
「これが、女子校の底力だ」
意味わかんねーよ!
両手を口の前で組んで目を光らせるナツミに俺は絶句した。




