激突! 『柴犬無双』3
「──今だっ!」
隙をついた生徒会長がボーイッシュに襲い掛かる。中々のゲスっぷりだ。
だが「みゃう!」っとつまづき、やっぱり自爆した。
生徒会長の亡骸を見下ろし、バレー部魔王は微動だにしない。その圧倒的プレッシャーに、乙女達はじりじりと後ずさっている。
俺はとりあえずカウンターに備え付けの給茶器に歩み寄り、これまた備え付けの紙コップをセットすると冷たい麦茶のボタンを押してみる。
ピピっと音がするとゴーっと低く唸り出す給茶器。
頼む動いてくれ給茶器。今お前が動かないとみんなが危ないんだ!
動け動け! 動いてよおぉぉ!
うむ。普通に麦茶出てきた。
冷えてる。
俺はごくごくとソイツを飲み干し、フゥと一息。そして魔王に鋭い眼差しを向けた。
──どうする。どうすればいい。
考えろ! みんな! (俺はパス)
「──ここまでです。沙理緒」
……やはりお前に託すしかないのか、シズカ……。なんでまたマイク握ってんだよ……。
「あなたがぺこぺこなのはよくわかりました。……しかし沙理緒、ぺこぺこなのはわたくし達も同じ。ワルディーに至ってはぺこぺこでニャン文庫なのです」
「ぺこぺこで……ニャン文庫」
「どこの出版社よ……」
シズカの特殊なプレッシャーに、周囲の女子達は固唾を飲み、言葉を漏らす。
徐々に上がるボルテージに伴い、手にするマイクの位置も口よりやや上がっていく。
「せめてあなたの罪は、同門であるわたくしの手で裁いて差し上げましょう! それが幼馴染であるわたくしの、最後の情け!」
「は~い、デカ盛りカレーね~」
「あ、すんません」
お金はいいから、との事だ。事前に何やら話が通ってるらしい。
んじゃ遠慮無く。さてドコに座ろうかな。
ずらりといっぱい並ぶテーブル席には、既にサンドイッチとかきつねうどんとかチャーハンセットとかを美味しそうに食べてる女子達や教師達の姿がちらほらと。全員が日替わりランチ狙いってワケでもないのか。
「リューシロ! こっち! ここ!」
あれワルディーいつの間に。しかもモウなんか食ってんじゃん。
……隣にどなたかお座りですな。
まあどうでもいい。俺は導かれるまま、中央窓際のそこに向かう。




