不死身無敵VS異世界 (ちょっとグロ注意)
不死身無敵は、道路を歩いていた!!!
「なにっ」
次の瞬間、無敵の足元に魔法陣が現れた。
すると、無敵はこの世から消え去ってしまった……
◇
「何だ? どこだここは?」
無敵が現れたのは、大理石か何かでできた部屋だった。
何となく薄暗い雰囲気が漂っているが、無敵はそんなことは気にしない。
「皆さん、落ち付いてください。今から説明いたします!」
声を張り上げたのは、身なりのいいおっさんだった。
「皆さんをこの世界に召喚したのは我々です」
「なんだと!? 何のために!?」
「俺達を地球にかえせー!」
連れてこられたらしい地球人から、批判の声が上がる。
しかし、おっさんは気にした素振りもなく続けた。
「我々の世界は今、危機に瀕しています! この召喚は、勇者様を及びするためのものです」
「何ぃ?」
勇者。異世界ではよくある設定であると、無敵は聞き及んでいた。
「もし俺達が勇者じゃなかったらどうなるんだ!?」
「その点はですね、問題ありませんよ。皆さまのスキルを確認してから、適当な場所にお贈りしますよ」
「何!? 帰れないのか!?」
「はい。ですので、皆さんには一生働いてもらいます」
「う、嘘だろ……給料は!?」
「? ありませんよ?」
何を当たり前な事を、というおっさん。
それにキレたのが無敵だった。
「おいテメェら! 地球人を誘拐って奴隷に仕立て上げてるってのか!?」
「何と人聞きの悪い! 我々はただ勇者様を……ぐごばびがが!?」
「口答えするなぁぁぁぁッッッ!!! 『臓物抜き』ッ!!! 臓物全部ブチまけろやァァァァッッッ!!!」
「あびゃあがぶがうぎぼぼ」
無敵は、素早く目の前の男の腹を引き裂き、内蔵を全てもぎ取った。
男は、想像を絶する激痛に苛まれ、痙攣しながら絶命した。
「き、貴様ー! 何をするのだ!?」
いきなりの凶行に、誰もが呆気にとられた。
しかし、控えていた騎士達は、果敢にも無敵へと立ち向かった。
「非戦闘員を脅しつけるだけの雑魚共が私に勝てる訳ねぇだろッッッ!!! 死ねぇぇぇぇッッッ!!! 『人間万華鏡』!!! 『血の彼岸花』ゥゥゥゥッッッ!!!」
「ぎゃあああっ!?」
「ああああ!?」
しかし、鎧袖一触と言わんばかりに、無敵は素手でフルプレートの騎士達をバラバラに引き裂いたのだった。ある者は即死、ある者は大量出血。誰しもが残酷な死にざまだった。
しかし、その死体の様子ままるで万華鏡のように美しく、さらに血肉からは彼岸花が咲き乱れていた。
これこそ、人間万華鏡と血の彼岸花の美しき合わせ技、『彼岸万華鏡』である。
残った重鎮らしき者達も、逃げ出そうとしたのだが、怒り狂う他の地球人に阻止され、逃亡は叶わなかった。
そんな哀れな者達に、無敵は近づいた。
「まずは地球人を全員返してもらうぜ。おい、そこのテメェ」
「は、はいィ!?」
「売っ払った地球人はどこだ? 正直に答えたら、楽に死なせてやる。嘘をついたら……こうなる」
「あ、ああ……ひぃぃぃぃ!?」
話しかけた者とは別人に、ツバを吐きかけた。
すると、その者は瞬く間にドロドロに溶けていった。しかし、それでも意識を失っていないようで、時折うめき声が聞こえた。
そう、今のはツバなどではない。無敵の胃に潜む極限環境微生物、ゼロである。
無敵の体内に潜む彼らが、接触した相手の身体を崩壊させた挙げ句、延命処置を施したのだ。その激痛は筆舌に尽くし難いだろう。
「せ、世界中です……」
「世界中?」
「どこに行ったかわかりません!」
「そうか……精々苦しんで死ね」
「な、何で!? 話がちが……」
「私にテメェの話が嘘かホントか何て分かるわきゃねぇだろうがこのド低能がぁぁぁぁッッッ!!!」
「ぎゃああああっ!?」
重鎮らしき者は、無敵の怪力にて身体を圧縮され、ボールのようになって死んだ。
その様子を見届けた地球人の中から1人、無敵の前に出てきて跪いた。
まるで、忍者のような格好をした人物、というか忍者だった。
「無敵殿……」
「何だ、忍者」
「某ならば、売り払われた地球人がどこにいるのかを調査できるでこざる」
「なるほど……忍者だな。よし、私は取りあえず、目障りな奴らを皆殺にしてくる」
「ご武運を……」
「そいつはお前自身に言う言葉だな」
無敵は、地下から上の階に行った。
忍者はいつの間にか消えていたが、忍者なので誰も気にすることは無かった。
◇
「んだぁ、ここ? 何かの神殿かぁ?」
地下から出ると、そこは広い教会のような場所だった。
そこでは、多くの聖職者や騎士、身なりのいい者達が何かの話し合いをしている。
彼らは、半ばブッ壊すように乱暴に扉を開けてきた無敵の方を向いていた。
「な、何だね君は!?」
「テメェらが拉致った地球人だよ」
「ち、地球人だと!? 馬鹿な、地下の者はどうした!?」
「ほれ、この通り」
ゴト……
無敵が転がしたのは、さっき圧縮したばかりの人間ボールだった。
それが何でできているのかを理解してしまった者達は、恐怖に慄いた。
「ヒィィィィッ!? あ、アイツをブッ殺せェェェェッ!!!」
「覚悟しろ! うおぉぉぉぉ……」
見るからに偉そうな者に命令された騎士達は、果敢に無敵へ襲い掛かった。
無敵を囲むよう位置し、それぞれの方向から剣を突き立てる。
同士討ちの心配はない。何故なら、盾を構えているし、使っている剣はショートソードだからである。
必殺の陣形が無敵に迫る……
ガキィィィィンッッッ!!!
「効かねぇなぁ!!!」
「何ィィィィ!?」
しかし、それは無敵はおろか、身に纏うセーラー服にも傷一つつけることはできなかった。
騎士達は驚愕し、恐怖した。目の前の存在は少女などではない。怪物を超えた怪物であると!
「勇敢な騎士共だ。そんな奴らには、褒美に名誉ある死をくれてやるッッッ!!!」
無敵は、セーラー服の後ろ襟を掴み、引っ張る。すると、後ろ襟が何故か伸びた!
そしてその後ろ襟を掴んだまま……騎士達の向けてぶん回す!!!
「『紺碧なる後ろ襟』ィィィィッッッ!!!」
「ギャアアアア!!!」
「アッ」
「バアアアア!!!」
重厚な鎧を着ていたはずの騎士達が、後ろ襟で両断され、絶命していった。
セーラー服は、無敵の硬度と同等の硬さを誇る。それの前では、いかなる物質も紙くず同然なのである。
「うああああ!!! 騎士が全滅したああああ!!!」
「助けてくれー!!!」
「死ねェェェェッッッ!!!」
『ぎゃああああ!!!』
無敵は、騎士の死体を投げ、その場から逃げ出そうとした者を全員殺した。
残された者達は、その光景を見て怯えるばかりである。
「あ、ああ……神よ、お許しください……」
「私は神じゃねぇ、人間だ。おい、そこのテメェ、一つ聞かせろ」
「は、はいっ!?」
「ここにいる奴らは召喚に関わってんのか?」
必死に神に祈る神官を捕まえ、無敵の脅しじみた質問が投げられた。
「そ、それは……!」
「どうなんだァッ!? えぇ!?」
「ヒィッ!? か、関わっています! ここの全員!」
「そうかよ」
「な、何を……!? ああああ!?」
無敵は神官の首を、チョークスリーパーの要領で締め上げる。
すると、その場にいた全員の首に、引き結びされたロープが現れた。
「お前達は死刑だ。かつて海賊王の成れの果てを葬った技で貴様ら罪人共を殺してやる……『海賊絞首刑』ッッッ!!!」
「ごびゅっ」
ボキリッ。骨の折れる嫌な音が教会内に鳴り響くと同時に、縄をかけられていた全ての人間が死んだ。
その死因はもちろん、縊死である。
「ふん、カス共め。地球人売っ払った金で贅沢しやがって……臭ぇから焼却処理してやるぜ! 感謝しなクズ共!!!」
無敵は口から灼熱の火炎を吐き出し、教会の全てを焼き払った。
「んん? 外じゃあ大騒ぎってことか……面白ぇ」
燃えカスと化した扉を蹴破り、無敵は外に出た。
◇
「そこの者!! 止まれ!!」
外では、騎士らしき者達が無敵を取り囲むように武器を構えていた。
しかし、無敵はニヤリと笑い、歩く。
「おーおー、雑魚が雁首そろえていっちょ前に吠えてやがる」
「な、何だと!?」
「落ち着け! 挑発に乗るな!!」
「んー? 挑発ゥ? 事実だろうがよ」
「コイツ!?」
「落ち着け!!!」
隊長らしき女騎士が、部下の騎士をたしなめる。
そして、勇敢にも無敵に向かって話した。
「お前には王侯貴族や教会関係者、騎士の殺害、教会を破壊の容疑……いや、現行犯である。何か申し開きはあるか?」
「ああ? そーゆーテメェらこそ、地球人拉致って奴隷にしてるんだが?」
「……確かに、我々にはそういった事実がある。だが、奴隷と殺人とでは話がちが――」
「馬鹿が」
「何!?」
無敵は女騎士の言葉を切って捨てた。
「お前らは何か勘違いしてるみてぇだな」
「なんのことだ!?」
「知らねぇのも無理はねぇな。今の地球じゃ、私が法律なんだぜ」
「な、何を言っている!?」
女騎士は混乱した。
一個人が星の法律などと、狂人の戯言とした考えられなかったのである。
「政治家も、マフィアも、市民も、動物も。束になっても私には勝てねぇ。どんな兵器でも殺し屋でもな」
「何を言っている!?」
「まだ分からねぇのか? じゃあそんな知能の欠片もないテメェらに教授してやるぜ」
「何を……あわああああぁぁぁぁ……」
無敵は近くにいた騎士を掴み、遠くに見えた城らしき建物へ投擲。
城の上部分が、見事に爆散した。
「気に入らねぇから潰す。何もかも蹂躙してやるぜぇ!!!」
「い、行けぇぇぇぇ!!!」
『うおおおお!!!』
果敢に立ち向かう騎士達だったが、無惨にも引き裂かれてしまった。
「つ、強い!?」
「隊長!」
「何だ!」
「魔王軍が向かってきます! 過去最大勢力です!」
「こんな時に!?」
何と、魔王軍の侵攻である。
無敵は毛ほども興味は無かったが、忍者の話には耳を傾けていた。
「無敵殿。地球人の救出が終わりました」
「もうか!? 早えなおい」
「後は、多数の生贄さえあれば、地球に帰る魔法が使えます」
「何て有能なんだ。褒美は何がいい?」
「我が忍び一派、魔界忍軍の安寧を……」
「いいだろう。じゃあお前は地球人を連れて、私の後ろにいろ!」
「は……あ、それと異世界人の共通認識として地球人は奴隷も同然で扱いも雑でした。平民もそれは変わらないので、いくら巻き込んでもよろしいかと」
「ご丁寧にどーも!!!」
一飛びで魔王軍全体が見渡せるほどの上空へ飛んだ無敵。
そして、無敵の必殺技が炸裂する!!!
「おおおおぉぉぉぉ……」
無敵の周りに、様々な高エネルギーが集まる。
無限にも等しい力の先触れを纏った無敵が、宣言する。
「ダイナミック・エクスプロージョォォォォンッッッ!!!」
超高速で魔王軍へと突っ込んむと、とてつもない規模の爆発が巻き起こった。
魔王軍は、全て死んだ。
「無敵殿! 帰りますぞ!!!」
「おう!!!」
無敵が地球人の方へ落下した瞬間、消えた。
そう、地球に帰ったのだ。
「な、何だったんだ……?」
残されたのは、大きなクレーターや、壊滅した王国、そして、何も分かっていない騎士だった。




