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からふるシーカーズ  作者: 白月らび
世界の夢幻と色彩の少女達

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216/424

神の罪はあらぬ人物へ

「うーむ……?」


 夜が明け、疲れていたのか少し遅めに起きたピアーニャが、執務室で首を傾げながら唸っている。


「どうしたのよ? トイレなのよ?」

「ちがうわ。キボのおおきなホウコクがきていてな……」

「なんなのよ?」


 2日分の報告書を呼んでいたのだ。訪ねてきたパフィに、唸っていた原因の報告書を渡す。

 ピアーニャの隣では、頑張って報告書を読もうとするアリエッタが、難しい顔をしていた。


「なにをやっているんだ、コイツは」

「きっと妹が読んでいるのに、自分が読めないのは悔しいんじゃないですか?」

「だれがイモートだ」

「分かる所あるかなー? ここはラーチェルって読むのよ?」

「らー…?」(うぅ~わからない……ぴあーにゃが読めるんだから、僕も早く読めるようにならないと……)


 楽しそうに単語を教えようとするミューゼの予想は大正解。今までは、絵や物を指差して単語を教えてもらっていたが、アリエッタが文字をまともに見たのは初めてである。


(教えてもらうには、1文字ずつがいいんだけど、ここにあるのは文字の羅列……こりゃ帰らなきゃ無理だ。単語で予習くらいかなぁ……うーん……)

(なんか文字睨んでるなぁ。形を覚えようとしてるのかな? そもそも文字っていうモノを知ってるの?)


 ピアーニャに見栄を張りたいアリエッタは、ちゃんと『お姉ちゃん』でいられるように勉強がしたいと思っていた。しかし大人向けの報告書は、難易度が高すぎる。

 そもそも読み書きを教わる為の、最低限以下の会話も身に付いていない。


(ぴあーにゃの前で勉強って、カッコ悪くないかな? 今は読んでるフリしてたほうがいいかな。いや待てよ? ぴあーにゃに教えてもらうような事になったら、お姉ちゃんとしての立場が……うん、やっぱり帰ってからの方がいいや。そんでもって、僕がぴあーにゃに色々教えてあげないとな!)


 元大人としての意地があるのか、譲れない何かを内に秘め、今後の目標を定めていた。


「……なんかシンケンなカオでみてるが、よめないだろ。はやくゲンジツとモジをおしえてやれよ」


 最年長者であるピアーニャには、そんな見栄など最初から通じない。アリエッタの決意は、無駄に終わる事だけが約束されているのだった。

 そんなやり取りをしている横で、受け取った報告書を呼んでいたパフィは、首を傾げていた。


「あれ? これシャダルデルクの事件なのよ? 日付が丁度シャダルデルクに行ってた日なのよ」

「そうなの? あの魔王絡み?」

「ちがうぞ。そもそもバショがとおすぎる」


 見ていたのは、シャダルデルク支部からの報告書。なんとなく気になって手を伸ばしたミューゼに手渡した。

 記入日は最近のものだが、書かれている事件の日付が、魔王ギアンのドルナと遭遇した日と同じなのだ。その事件とは、


「ファナリアを狙うテロリスト組織が消滅? 原因は…何かが飛んできたと思われるが、爆心地ではそれらしき物は何も発見出来ず……はぇー。あの日にそんな事があったんだ」

「あのリージョンは、ハンザイソシキがかくれやすいからな。そのぶんタイコウソシキもおおい。とおくからみはっていたカンシインたちが、いまもチョウサチュウだ」

「へー」


 大して興味がないのか、報告書をテーブルに置いた。アリエッタも見てみるが、当然読めないので、手に持っている別の報告書に視線を戻す。


「アリエッタ怖いねー、爆発だって。あの魔王の仕業なのかもねー」

「う?」

「……まぁ、そのカノウセイは、あるかもしれないか」


 その日、魔王と対峙していた犯人達は、何も知らないまま、なんとなーく罪の無い魔王に濡れ衣を着せるのだった。


「まぁそんな事より、テリアとリリはどうしたのよ?」


 パフィも興味を無くし、朝食後から姿を見ない王女達の事を気にし始める。

 2人は報告書をまとめる為、ロンデルと共に別の部屋で作業をしていた。時々調査部隊のリーダーを呼んでは、整合性の確認をしていたりする。


「総長は報告書……ああ、アリエッタと遊んでいたから書く事無いのよ?」

「シツレイだな!?」


 ピアーニャは否定したいが、実際ネフテリアの補佐や移動しかしておらず、大半がアリエッタに構われていた為、ネフテリアだけで事足りるのである。


「ぐぬぬ……」

(どうした? もしかして、ぴあーにゃも読めなくて悔しいのかな? なおさら頑張らないと!)


 この後ミューゼ達とニーニルに向かう前に昼食を食べに行くのだが、ピアーニャが落ち込んでいると思ったアリエッタが、移動前からずっと手を繋いで離さない。


「ぴあーにゃ、ごはんごはん」

「う、うむ、そうだな……」

『ぷっ』

「総長がまた可愛い事になってる~」

「ホントだ。あはは」

「ぐぬぅ……」(せめてホンブでは、かまわんでくれ!)


 可愛がるほど機嫌が悪くなり、機嫌が悪くなるほど必死になって可愛がるという、いつもの可愛い悪循環が展開されていた。

 その傍では、マンドレイクちゃんも一緒に歩き、大人達が極秘事項を避けて、なおも話し合っている。


「流石にその為に、アリエッタは貸し出せないですね」

「トラブル対処が出来ないからねぇ」

「むしろ悪い虫がつかないか心配ですよ」

「宣伝の顔としては、最高の人材なのにねー」

「その辺の王女よりずっと可愛いのよ」

『まったくだわ』

「なんで本物の王女が2人とも即同意してるんですか……」

「だってアリエッタちゃん可愛いから」

「勝ち目の無い無謀な戦いをする程、愚かではないのよ」

「………………」


 どうでもいい方向に脱線してはいるが、話題はリージョンシーカーのマスコットとして、マンドレイクちゃんをどのように売り出すかというものである。そこにアリエッタが加われば、さらなる可愛さアピールになるのだが、問題はアリエッタ自身が目立ちすぎるという事だった。


「可愛いって罪ねぇ」

「それは解ります」


 話題はそのままに、昼食へと突入。

 アリエッタはピアーニャと自分の椅子をくっつけ、いつも以上に甲斐甲斐しく世話をする。ピアーニャはその行為を、心を無にして受け止める。

 そんなピアーニャの姿を見たロンデルは、真面目に感心していた。


「流石は総長。歴戦の戦士がたどり着く境地へ、既に踏み込んでいたのですね」

「……ただ平和にゴハン食べてるだけですけど?」


 ピアーニャも日々無駄に甘やかされていた訳ではない。アリエッタの行動に耐える為、心を守る術を必死に編み出していたのだ。

 食べている間のマンドレイクちゃんはというと、アリエッタの背後にじっと佇んでいる。護衛のつもりなのかもしれないが、他の人から見たら、ただ不気味である。

 食事中も売り込み方法の話は進み、まずは大人だけでやってみようという事になった。


「それじゃあリリさん達の新しい服は、フラウリージェに頼んでみますね」

「はい。まずは3人分から。慣れたら徐々に衣装や人数を増やしてみましょう」

「後でアリエッタの服の絵から、良さそうなのをいくつか見つけるのよ」


 どうやらリリ自身が最前線に立つらしい。


「城で踊るようなダンスじゃなくて、もっと賑やかな方がいいよね?」

「ああ、酒場の踊り子とか、そんな感じの」

「あれをもっと可愛くして、女性にも受けるようなのを……」

「音楽はどうします?」

「うーん……」


 もしアリエッタが会話を理解していたら、色々ツッコミを入れそうな内容だが、なんとなく決まってきたようだ。

 手探り部分が多いので、後は実際に計画を進めながら調整という事になったところで、食事は終了。みんなでニーニルへと転移した。


「はぁ、つかれた……」


 ニーニルまでやってきたピアーニャ達はミューゼ達と別れ、そのままリージョンシーカーへと足を運んだ。報告書の続きを書く為に。


「お疲れ様。この後は極秘事項の多い報告書を完成させなきゃいけないから、ピアーニャはチェックよろしくね」

「ああ、コールフォンとかのことか。さいごにハッカクしたアレだけはかけないしな」

「アリエッタちゃんの力は、基本極秘ですからね。パフィさん達には口止めしなくてよかったんですか?」

「ひろめるホド、ねらわれやすくなるコトは、リカイしているからな。あのカホゴっぷりならダイジョウブだろ」

「それもそうですね」


 ニーニル支部に入った4人と1体は、そのまま奥の部屋へと向かう。書類を広げ、見返していたロンデルが、疑問を口にした。


「この…巨大ドルナ・ノシュワールを破壊とありますが、どのようにして壊したんですか?」

『あ……』


 それもコールフォンと同じく、外部に知られてはいけないレベルの情報。幼い少女が紙を使って、辺り一帯の星ごと吹き飛ばした…などと書いてしまえば、危険人物認定間違いなしである。


「テリアのマホウでふきとばしたコトに……」

「いや無理だからね!? わたくしの魔法だと、表面に小さな穴を空けるとかしか出来ないから!」


 ネフテリアの魔法の実力がかなりのものだからこそ、あの巨大なノシュワールを粉々に破壊する手段が思い浮かばない。その報告で嘘をつこうにも、アリエッタの身替わりがどうしても用意できないのだ。

 その現場を見ていないロンデルとリリは、本当の事を言わない2人を訝し気に見ていた。


「この際2人も巻き込んじゃおう……」

「そうするか」


 結局、本当の事を打ち明ける事にした。

 この後ロンデルとリリは、口をあんぐり開けてしばらく固まっていた。そして復活した後、4人でどう書くか夜まで悩み続けるのだった。


「やっぱり、アイツをシゴトにつれていくのはやめよう……」

「そうね、出来るだけお留守番だね……」

「破壊の原因はどうします?」

「……魔王のせいにしとこっか」


 死後の悪役扱いはともかく、消滅後は世界を跨いで都合よく使われる、哀れな魔王であった。

まさか茶葉を入れることが出来るケトルが存在するとは。ちょっと欲しい……。

ソニックF来週発売かぁ、どうしようかなぁ。

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