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40話 反撃の作戦


中央作戦室。

ここにいるのは、遥、悠斗、隼人、玲奈の四人。

堀内との通信が切れたあと、悠斗は船内の状況を確認していた。


「まず、現在のクルーの位置を整理する。」


ARノアが壁面に、アーク・ノヴァの船内図を表示する。


「俺たち四人は中央作戦室に監禁されている。」


悠斗が医務室を指差す。


「医務室には、アレックス、ひかり、エレナ、ハッサン、イザベル。」


「五人とも拘束されている。」


続いて機関室が表示される。


「機関室には誠とジョンがいる。」


遥が尋ねる。


「リサは?」


悠斗は首を振る。


「……分からない。」


「船内のどこにいるのか、まだ確認できていない。」


遥の表情が険しくなる。


「リサも探さないとな。」


「もちろんだ。」


悠斗は船内図を消し、別の画面を表示する。


「そのためにも、まずここから脱出する。」


悠斗は全員の顔を見渡した。


「これから作戦を説明する。」


全員の表情が引き締まった。


「目的は、敵の義体兵士を制御しているシステムを見つけること。」


「敵の母船内にある AIコンピューターにハッキングプログラムを注入する」


隼人が尋ねる。


「それで、どうやって敵艦に入り込む?」


悠斗が別の画面を表示する。

そこには、二体の人影が映し出されていた。


「ARノアを使って、二体の囮を作る。」


遥が画面を見る。


「……アレックス?」


「そう。」


「そして――イザベル。」


画面には、ゾンビ化したアレックスとイザベルのAR映像。

遥が苦笑する。


「またゾンビかよ……。」


悠斗は真顔で答える。


「実体はない。ARだから、敵兵士に触れることもできない。」


「でも、敵兵士の視覚システムには“存在するもの”として認識させることができる。」


遥が理解する。


「つまり、敵を混乱させるための囮か。」


「その通り。」


悠斗が操作すると、船内の複数の場所にゾンビ・アレックスとゾンビ・イザベルが出現する。


「こいつらを船内に放つ。」


「敵兵士は、突然現れた二体のゾンビを排除しようとして混乱する。」


「その隙に、俺たちは中央作戦室を脱出する。」


玲奈が尋ねる。


「そして医務室?」


悠斗が頷く。


「本物のアレックス、イザベル、ハッサン、ひかり、エレナを救出する。」


「その後レーザー銃で武装 リサを探しつつ 機関室の2人も開放する」


遥が拳を握る。


「それが第一段階だな。」


「そう。」


悠斗は船内図をさらに縮小する。

そして、巨大な宇宙船が表示された。


「第二段階。」


「俺たちは敵母艦へ侵入する。」


悠斗は母艦の中央にある巨大なコンピューターシステムを指差す。


「ここが敵艦隊を管理している中枢だ。」


「ここへハッキングプログラムを直接注入する。」


玲奈が慎重に尋ねる。


「成功すれば?」


悠斗は少し間を置いて答えた。


「うまくいけば――。」


「敵戦艦そのものを無力化できる。」


「そして……。」


遥が続ける。


「兵士も。」


悠斗が頷く。


「そうだ。」


「兵士たちが本当に外部コンピューターから制御されている義体なら、制御システムを停止させることで、動けなくできる可能性がある。」


隼人が笑う。


「なるほどな。」


しかし、玲奈は厳しい表情のままだった。


「失敗したら?」


悠斗は答えなかった。

代わりにARノアが静かに言った。


『敵母艦の防御システムに捕捉される可能性があります。』


「つまり、一発勝負か。」


遥が呟く。

悠斗は頷いた。


「そういうことだ。」


遥は仲間たちの顔を見る。

そして、静かに言った。


「やろう。」


「みんなを助ける。」


隼人も頷く。


「当然だ。」


玲奈も決意を固める。


「私も行く。」


遥は小さなARノアを見る。


「ノア。」


『はい。』


「頼むぞ。」


『了解しました。』


悠斗が最後の操作をする。

船内の暗い通路に、二つの赤い目が浮かび上がった。

ARゾンビ・アレックス。

そして――。

ARゾンビ・イザベル。

二体がゆっくりと歩き始める。

その直後。

敵兵士達の無線機が鳴り響いた。


『未確認生命体が出現しました。』


『見た目はアークノヴァクルーに見えます。』


武装兵士たちが一斉に動き出す。

遥はその様子をモニターで確認した。


「……始まった。」


悠斗が小さく笑う。


「今だ。」


悠斗は遥を振り返ると、慌てて叫んだ。


「遥! 兵士たちが混乱している今のうちに、このドアを開けてくれ!」


「……は?」


遥は目の前の頑丈な隔壁を見つめる。


「どうやって開けるんだよ?」


「おい!」


隼人が思わず叫ぶ。

玲奈も呆れた顔で二人を見る。


「ちょっと待って。作戦、最初からつまずいてない?」


「……そのようだな。」


遥はため息をついた。

せっかく敵兵士を混乱させたというのに、肝心の脱出口を開ける方法が分からない。

こうして――。

反撃作戦は、開始早々からつまずいた。


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