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20. まさかの今日?

前話、婚約破棄と婚約解消について

ご指摘を頂きまして、サブタイトルと

一部を修正致しました。

言葉は正しく使わないといけませんね。

ありがとうございました。m(__)m


ブックマークが1000を超えました。

大変うれしいです! 

ありがとうございます。

 明るい陽の光溢れるサロン。

 レベンデール公爵家邸で一番豪華で、格式の高い来客用の部屋。


 目の前には……



 エレンツィード殿下ですわ。











 婚約解消の届書にサインをし、漸く長い一日が終わったのです。


 お父様は明日の朝早くに王宮に訪問の伝令を飛ばし、陛下へのご報告をされるとのこと。貴族の婚約、結婚、離婚については陛下へのご報告と承認を頂く必要があります。当然、私とジョイル様が婚約を交わした時にもご承認を頂いております。


 きっと、明後日の貴族新聞には私とジョイル様の婚約解消の記事が載っちゃうかもしれません。実は、我が国には、市民用と貴族用の二種類の新聞が存在しますの。

 貴族新聞には、王家や貴族に関する事が掲載されていて、どこぞのご令嬢が婚約しただの、ご隠居中だった前公爵様がお亡くなりになったとかの慶弔関係とかも記事にされています。さすがに、婚約破棄や婚約解消などはサラっと1行くらいなのですけど。結構派手な婚約破棄騒ぎを学院内でやらかしちゃいましたからねぇ……

 スキャンダルとして捉えたら、結構面白おかしい記事になりそうです。

 

 でも、まああの場にはエレンツィード殿下がいらっしゃいましたから、悪い様には記事に出来ないと思いましょう。誰だって、王家を敵に回したいとは思わないでしょうし。

 それに何と言っても、新聞の編集元は我がレベンデール公爵家の管理下ですし。王国の編集物はすべて管轄内のはずですから。


 そんな事を考えながら朝を迎え、お父様を王宮に送り出して一息ついていたところに、訪問の先ぶれが来たのです。


 どこからかって?





 王宮の……エレンツィード殿下からです。













「ヴィヴィ。昨日振りだね。よく眠れたかな?」


 そう言ったエレンツィード殿下は、にっこりと微笑んでいます。

 艶やかな黒髪は、窓からの光を受けてそれはもうキラキラと、天使の輪が輝いています。やんわりと細められた緑色の瞳も、いつもの通りオキレイですわ。


「……殿下」


 そう言えば、昨日の別れ際に何か言っていましたけど、やっぱりと言うか何というか……まさか昨日の今日で会いに来られるとは。


「なに? ヴィヴィ」


 ああ、本当に面倒臭いですわ。


「殿下。昨日は大変にお世話になりました。無事ジョイル様を探し出して下さったとか。元婚約者として感謝申し上げますわ」


 とりあえず昨日のお礼を言っておきましょう。動いて下さったのは、確かにこの方ですもの。


「うん。まあ、そうだね。今、元婚約者っていたけど婚約は上手く解消できたの?」


 白々しい。だって、この方の事ですからお父様が陛下に、ご報告に行ったのだってご存じじゃなくって?


「はい。昨日の内にダント家とはお話が済みました。殿下もご存じじゃございませんか? 父が午前中に陛下にご報告に伺っているはずです」


 すこーし、少しだけ皮肉っぽく聞こえる様に言ったつもりです。


「公爵が婚約解消の報告にいらしたのは知っているよ? ()()()解消できたのかって気になっていた。だって、ダント家の伯爵も伯爵夫人も君とは関係良好だっただろう? ジョイルは受け入れても、それ以外には寝耳に水の話だろうし」


 ああ。そう言う意味ですの。

 ええ、確かにお父様もそう言っていましたわね。おば様が泣きながらジョイル様に殴り掛かったとか。私に申し訳ないと言って。


「確かに、伯爵夫妻は婚約の継続と思ったようですけど、ジョイル様がご自分から承諾したと聞きました」


 じっと見られているのに居心地の悪さを感じながら、お父様から聞いた昨日のお話をします。さすがのジョイル様もやらかした事の大きさをお判りなんでしょう。


「ですから、双方了承の上私達の婚約は解消致しました。殿下のおっしゃる()()()()()できた、と言う感じでしょうか」



 こう口に出すと、結構実感が湧いてくるものですね。感慨深いものですわ。



「そうか……」


 エレンツィード殿下はそう言うと、ゆっくりとお茶を口にしました。キラキラしい美貌の王子サマですから、優雅な物腰と相まってまるで一枚の絵画のようですわ。ええ! このまま少女雑誌の挿絵になりそうです!


「それで、殿下の今日のご訪問は?」


 何とも要領の得ない殿下のお話しは、前振りなんでしょうか? 単に婚約解消の確認では無いのでしょう?



「ああ。そうだね。舞踏会の招待状を、君は見たかな?」


「はい。昨日頂きました」


「うん。そこに書いたのだけど、僕のパートナーになって欲しい。その返事を貰いに今日は来たんだ。どうかな?」


 うーん。それですか。確かに舞踏会に参加するとは言いましたし、お約束はしましたけど。殿下のパートナーとしてというのは随分と---


「駄目かな?」


 まるで幼い少年の様な瞳で私を見詰めます。そう言えば、殿下がパートナーを伴って誕生会に参加するのって聞いた事がありませんけど。

 私自身は、10歳の時にジョイル様の婚約者として参加したのが最後ですわ。ええそうですわ。それ以降昨年までは、何やかんやと理由を付けて不参加でした。どうせジョイル様は殿下の周りにいなくてはなりませんし、私と殿下が近しい場所にいる事は在り得ないという状況でしたから。

 5歳の時の取っ組み合いは、今でも皆様の記憶に残っているらしいですし。


「……殿下こそ、私がパートナーで宜しいのですか? 要らぬ勘繰りをされることになりません?」


 私は率直にそう尋ねました。殿下が幾らジョイル様との婚約を気の毒に思って誘って下さっても、あの生徒会室での一部始終を見ていた生徒から、噂は広まるでしょう。

 あの時、私達はキスをしているです。



 ううっ! 今に思えば随分と大胆な事をしてしまいました。思い出すと顔から火が出そうですわ。

 でもあの時は……


「いいも何も、僕と君は公衆の面前でキスをした仲だよ? 君と婚約したいって言ったでしょ? それは嘘じゃない。君に婚約者がいた時はそう言う事も憚れたけど、今の君にははっきりと言えるよ」


 考えていたことに図星を指されて、一瞬で頬が熱くなったのが判りました。そうはっきりと言われると、何とも居た堪れない気持ちになります。


 そんな私をじっと見ていた殿下は、そこまで言うとすくっと立ち上がりました。





「どうか、僕のパートナーになって下さい」


 私の傍まで来ると、いきなり膝まづいたのです!





「っ!?」


 私が驚きの行動にドギマギしていると、ふっと微笑まれてもう一度口を開かれました。




「ヴィヴィエット。どうか、僕のパートナーに」



 殿下が私を見詰めます。その瞳は、真剣に思えますけど……








「……判りました。私で宜しければ、ご一緒させて下さいませ」








 だって、見てしまったのですわ。

 差し出された殿下の手が、指先が、少し震えているのを。





 私は、殿下のその手に自分の手を重ねたのです。








 




ブックマーク、誤字脱字報告、感想

ありがとうございます。


少しヴィヴィさんとエレン君の関係に

具体的な変化が出てきました。

ジョイルとアリアーヌの事は

この後に書いていきますけど、

どうしましょうかねぇ?


評価ボタンの☆も頂けると

続けるパワーになります。


楽しんで頂けると

嬉しいです。

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