ウメボシばばぁ
「ウメボシばばあ」それは私の地方にだけ伝わる古い言い伝えで、夏の早い時期に老婆の姿で現れる。幽霊なのか、妖怪なのか、題材となった人物がいたのかどうかも定かではない。ともかくそれは、夏の夕方から夜にかけて地元のあちこちに出没し、「ウメボシ食うて行かんか」と誘う。断るか無視をするとどこまでもついて回り、最後には後ろから刺されるとかあの世に連れていかれるとか言われている。根負けして「食べる」と言うと、「青い梅と赤い梅どっちがいいか」と選択を迫られる。青い梅を選ぶと毒で死ぬ。赤い梅を選ぶと……