そんなゴリ押し設定アリなのか!
俺たちは近くの喫茶店に入って話をすることになった。
8人がけのテーブルに、ドワーフ、ザラ、ドワーフ、ドワーフと並び、体面にはエリー、俺、アヤカ、ベティと並ぶ。
ザラの隣に座る真ん中の男が口火を切る。
「こちらにおわすのは、ガランドン王国国王、ディアッガ=クレイマンの御息女、ザラスラン=クレイマン姫殿下である」
「いやいや、おかしいだろ。こいつ旦那がいるって」
真ん中のドワーフ、名前をアデスと言ったが、そいつの説明によると、ザラはオーバイム連邦と言うところの王子、フラガン王太子と政略結婚したという。だがオーバイム連邦はプラトン国からの侵略に遭い、フラガン王太子は国を守るように立ち、プラトン国の侵略を防ぎ戦死したのだというのだ。最後の言葉は『俺ってやっぱ、不可能を可能に』だったとの噂だが、真実は定かではない。
そして王太子か死ぬとザラはオーバイム連邦から追い出され、ガランドン王国へと戻った。政略結婚の意味を成さないからだと言う。
ザラはオーバイムに残ることも出来たが、どの道処女でなくなった王族に、別の嫁ぎ先はない。ならばもう市井で生活しようとガランドン王国とオーバイム連邦の王位継承権を放棄し、逃げるようにガランドン王国を抜け出した。
半年ほど旅して、たどり着いたのがグランダム王国で、あの武器屋のおっちゃん、名をガガリと言うが、ガガリに会い事情を説明すると『ここで働け、親子として生きろ』と言われたようだ。要は隠れ蓑だ。
そして、何故フェルズに来たのかと言うと、ガランドン王国にザラの居場所が嗅ぎつけられたとの噂があったからだ。
面倒が武器屋のおっちゃんに降りかかる前に、グランダム王国を出たかったのだと。
「はあ、じゃあアデスだっけ?お前はザラをガランドンに戻すために?」
「いやいや、私もガランドン王国の近衛騎士団を除隊した身、今更権限も義務もない。私は今は冒険者だ」
「なるほどな」
俺はザラを見て、
「じゃ、姫、後はアデスがいるから大丈夫だな?よかったよかった」
ザラはバンとテーブルを叩き、
「ふざけんじゃないよ!別に身寄りを探してんじゃないんだ!あんたのところがいいと言ってんだよ!」
「いやいや、うちはいっぱいなので」
と、俺はエリーからベティまで流し見る。
「さんざっぱら抱いたろうが!!」
「「「なっ!」」」
アデスたちが声をあげる。
「姫、まさか……」
「そうだよ!あたいはこいつと寝た!何度も注がれたよ!」
「「「なっ!」」」
アデスは目を細めて俺を見る。
「貴殿が何者か知らん。だが、いくら『連邦帰り』とはいえ、姫と閨を共にしながら、別れると言うのか?理由を言え」
「……、あー、いや、見ての通りうちはいっぱいだから……」
アデスは劇団さながらのオーバーリアクションで、
「たかが、たかがそのような理由で?貴殿はガランドンと国際問題を起こすつもりか?」
「まてよ、こいつ王位を退いたんだろ?」
「いかにも。だが姫である事実に変わりはない」
「待てって、知らなかったんだって」
「知らなかろうと知ってようと事実は事実。何、別に全てを捨てて姫だけをとは、姫も申すまい。末席に座れるだけで姫は満足かと思うが、姫、いかがか?」
ザラはアデスの背中をバンバン叩き、
「わかってるじゃねーか、アデス!!やっぱ子供の頃から一緒だっただけあるな!」
「ありがたき幸せ」
「「「「…………」」」」
なんだこの茶番は。
つうかアデスたちの出てきたタイミング良すぎね?これ、また仕組まれてんじゃねーの?
俺はアヤカを見ると、アヤカは黙って首を横に振った。
「よいかジンサイト殿、もし姫との間に子を成すようなことになれば、それはガランドン王国の血筋を引くことになる」
「それこそ争いの種だろ」
アデスは首を振る。
「正直、ガランドン王国は亡国の危機に瀕しておる。万が一、クーデターや戦争などが起きればクレイマン王家の血筋を引くのは姫だけだ。……血を絶やしてはならん」
俺はあることを閃く。
「なら、アデスとザラが結────」
バン!
「我らを愚弄するか!我らはそのような下賤な気持ちで申してるのではない!……姫様の……、姫様の幸せの為に申しておるのだ!」
「お、おう……」
アデスはぐいっとエールを煽り、優しい、諭すような顔つきで、
「何、今は永遠にとは言わん。聞けばまだ知り合って間もないと言う。せめて、せめて60日だけでも匿ってはくれぬか?我らも姫の最適な居場所を探す。それまででもいいのだ……」
「……」
そう頼まれるように言われると、なんか反論しづらい。
「60日経てば、姫が懐妊したかもわかるだろう。それまで、それまででいいのだよ、ジンサイト殿」
アデスは身を乗り出して俺の手を掴む。
「頼む!この私に免じて受けてはくれないだろうか!我らも今は余裕のない身、我らを助けると思って、どうか!」
「……」
エリーは小声で「やられたわ……」と言っていた。
ああ、やられたよ。
ここまで言われると突っぱねることは出来ない。くそが、自分の性分を呪う。
「…………わかった、60日だけだ」
「かたじけない!!!」
アデスはブンブンと俺と握っている手を振る。
俺はアデスから手を離すと、アデスとザラは見つめ合う。何やらニヤリとした気がしないでもない。
おかしい。いつ結託した?!
まさかお前らスキル持ち?!
その夜、ファイザで宿を取って寝た。
全員を悪魔が懲らしめた。
仕方ないだろう。アヤカたちもあんなことがあったからか、自分たちからは言い出せずにしゅんとするし、そんな中、エリーだけが勝ち誇ったように俺と寝ようとする。
ザラだけはやらないようにしてたのに、何人目かわからなくなった頃には、いつのまにか繋がっていた。
明日は新たな屋敷に行くことになっている。
アヤカは楽しみにしていてくださいと言って、教えてくれなかった。
アヤカが言うには『魔改造』をしたらしい。『魔界』とでも繋がってなければいいが…………。




