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制覇! 1 九州編  作者: 渋谷カナ
10/20

豊前・筑後

「元々、豊前は殿と大内の間で争っていて、まだ空白地だ。」


高橋紹運は、ライに豊前の現状を説明する。


「戦場ということですね。」


ライは、高橋の人柄を慕っている。


「青春、青春、うるさいんだよ!」


一方、立花道雪と、


「火ちゃんは、青春が趣味だ! 文句ありますか!?」


火ちゃんは、


「女のクセに生意気だ!」


とても仲良く、


「男のクセに文句ばっかり!」


豊前を進んでいた。


「豊前は、兵士に任せて、先を急ごう。」


高橋が筑前を目指そうと言うが、ここは戦場。ダダダ! 前方から大内の兵士が現れた。


「簡単には通してもらえそうにありませんね。」


ライは、戦いに向けて気合を入れる。


「おまえたち! じゃれ合うのはそこまでだ! 敵襲だ!」

「え?」

「な?」


取っ組み合いのケンカをしていた立花と火ちゃんの手が止まる。


「俺の実力を見せつけてやるぜ!」


立花は、切り替えて戦う気が満々だった。


「みんな、がんばれ~♪ 青春って、いいな~♪」


火ちゃんは、ただの青春好きなので応援に回る。ムキムキムキ。なんだか大内軍の兵士の様子が変だ。


「ワンワン!」


ライのペットの妖怪発犬のハチの霊が吠える。


「プワー!!!」


兵士たちは、化け物の鬼1型になってしまった。その数は約30体。


「すごい数だな!?」


立花の気合が吹き飛んでしまった。


「コラ! さっきまでの青春オーラはどこにいった?」


火ちゃんは、気合の抜けた立花を怒る。


「数は多いが、弱点のちょんまげを切ればいいだけだ。勝つぞ!」

「おお!」


高橋は、総大将らしく、兵士の気力を上昇させる。


「先制攻撃行きます!」


ライは、剣を抜き振り上げ、


「百雷覇!!!」


振り下ろす。ゴロゴロピッシャーン! 無数の雷が、化け物たちに雷鳴を響かせ降り注ぐ。


「プワー!!!」


雷が命中した化け物が倒された。残り26体。


「やった~♪ さすがライだ~♪」


火ちゃんは、化け物を数体、倒したので喜ぶが、


「化け物が来ます!」


化け物たちは、ライたちと間合いを詰めて、パンチ攻撃して来る。


「プワー!!!」

「うわぁ!」


化け物たちの攻撃で、高橋の兵士たちが吹き飛ばされていく。


「千鳥雷切り!」


立花は剣を抜き、


「ちょんまげ切り!」


化け物のちょんまげを、スパッと切り落とす。


「プワー!!!」


化け物は、兵士の姿に戻り、砂の様になり消えていく。残り25体。


「でやあ!」


ブスブス。高橋も一体一体、確実にちょんまげを切り落としていく。残り23体。


「火竜覇!!!」


ライは、振り上げた剣を、ボボボボボ! 火竜のような姿をした炎が、複数の化け物に襲い掛かる。


「プワー!!!」


化け物は、火に燃やされて黒焦げになっていく。残り18体。チク。ライの体に痛みが一瞬だけ走った。


「イタ!?」


この時、ライは体の異変を気にしなかった。


「燃やせ! 青春一直線~♪」


火ちゃんもイケイケモードだった。


「まだまだ化け物の数が多い・・・よし!」


ライは、3発目の必殺技を放つ。


「火竜覇!!!」


ボボボボボ! 火竜のような姿の炎が、化け物たちを焼いていく。


「プワー!!!」


化け物たちを燃やした。残り13体。チクチクチク! ライの体中に痛みが駆け回った。


「うわぁ!!!」


ライは、剣を落とし、地面に倒れ込んでしまう。


「ライ!?」


火ちゃんがライの異変に気づく。


「必殺技の使い過ぎに、ライの体がついていかないんだ!?」


火ちゃんは、ライに注意事項は言っていない。


「プワー!!!」


化け物は、容赦なく倒れたライを狙って来る。


「でやあ!」


高橋は、ライをかばいながら戦う。スパ。立花が化け物のちょんまげを切り落とした。残り12体。


「プワー!!!」


明らかに形勢が逆転した。


「うわぁ!」


化け物の猛攻が始まった。


「俺1人でも、やってやるぜ!」


立花は、気合を入れるが1人で化け物4体では、どうにもならなかった。


「クソ! 動けない!」


高橋は、ライをかばいながらなので、化け物4体と戦っている。


「ライ! 起きろ!」


火ちゃんは、ライを介抱するが、


「・・・。」


疲れ切ったライは、目覚めなかった。


「プワー!!!」

「うわぁ!」


化け物は、次々と兵士たちを吹き飛ばしていく。


「プワー!!!」


化け物は、動けない高橋、ライ、火ちゃんに6体がかりで襲って来る。


「ここまでか!?」


高橋は、がんばったがこれ以上は防ぎきれないと感じた。


「紹運!?」


立花も化け物4体と戦っていて、助けに行くことができない。


「ああ・・・火ちゃんの青春は、ここで終わるのか!?」


火ちゃんが全滅を覚悟した時だった。スパ! スパ! 化け物のちょんまげが2つ切れた。残り10体。


「島津歳久、参上!」

「島津家久、加勢する!」


日向から島津の3男と4男の島津兵が援軍に駆けつけた。


「ありがたい!」


高橋は、奇跡を見たように喜び、


「遅いんだよ!」


立花は、うれしいが逆切れし、


「火ちゃんの青春は、まだ終わらない~♪」


火ちゃんは、相変わらずの青春一直線~♪ スパ! スパ! 歳久と家久が化け物のちょんまげを斬っていく。


「プワー!!!」


化け物は、人に戻り、砂になって消えていく。残り8体。


「一気に片づける!」


歳久と、


「兄上より多く倒します!」


家久は、次々と化け物を倒していく。スパスパ。残り6体になった。


「俺もカッコイイとこ見せないとな! 千鳥雷切り!」


スパスパ。立花も化け物を倒していく。残り4体。


「あと少しだ!」


高橋は、ライを守っていて、ライの側から動けない。


「みんな、がんばれ~♪ 一致団結、これが青春だ~♪」


火ちゃんは、勝利を確信していた。スパスパスパスパ。立花、歳久、家久の攻撃で全ての化け物を倒した。


「やった~♪ 火ちゃんの青春はこれからだ~♪」


火ちゃんは勝利を喜んだ。


「勝ちどきをあげよ!」


高橋の音頭に、


「エイ!エイ!オオ!」


武将と兵士は勝ちどきをあげ、盛り上がった。



「ライ殿は大丈夫でござるか?」


歳久は倒れているライを見て心配する。


「必殺技を使い過ぎて、疲れたんだと思う。」


火ちゃんは、ライのことを心配する。


「ライは、1人で化け物14体も倒したんだ。寝かせておいてやれ。」


高橋は、ライのことを一人の武将・武士として認めている。


「今度は俺が1番、化け物を倒してやる!」


立花は、子供に討伐数で負けたことを悔しがる。


「ライには負けないぞ!」


家久は、ライと同い年くらいなので、ライバル心がある。


「豊前も制圧だね~♪ 次は筑前に、青春一直線~♪」


火ちゃんの青春物語は、まだまだ続いていく



「筑後は、我が殿(竜造寺)と、大友で争っていた土地だ。」


鍋島直茂は、筑後の国の説明をする。


「大友は、伝が壊滅させているだろうから安心だ。」


島津義久は、ライを信頼している、


「ね~♪ 海ちゃん~♪」


かに見えたが、海ちゃんによく思われたいだけだった。


「は~い~♪ 義久様~♪」


海ちゃんは、海竜の使いの海の精だった。


「そのライか伝という少年は、そんなに強いのか?」


鍋島は、ライに出会ったことはない。


「私は伝を信じている! お主も会えばわかる。」


義久は、なんやかんやで、ライのことを気に入っていた。


「このあたりの妖怪も、赤足、馬の足、海女、海御前、おとろし、ナエガツク、迷い船、木綿ひき婆、山おらびと平和な妖怪ばかりです~♪」


海御膳とおとろしは、少し違うかもしれないが・・・。


「あれは・・・なんじゃ?」


義久が前方に何かを見つけて、不思議そうに指を指す。ズン! 前方に、兵士の軍団を見つけた。


「あれは!? 大内軍!」


大内は、周防の大名である。


「大内といえば、周防が本拠地だろう? どうして筑後に!?」


義久も地理的に出現の不可思議に驚く。


「おそらく筑前も大内の地に落ちたと考えるべきだろうな。」


その通り。大内、自ら西街道こと九州攻めに筑前に来ている。ムキムキムキ。あれ? なんだか大内兵の様子が変だ。


「まさか!?」


義久、鍋島、海ちゃんはイヤな予感がした。


「プワー!!!」


大内兵士は、化け物になった。その数30体。


「やっぱり!?」


3人の嫌な予感が当たってしまった。


「プワー!!!」


化け物こと鬼1型は島津・鍋島連合軍に突進してくる。


「よいか! 皆の者! 化け物の弱点はちょんまげだ! ちょんまげを狙え!」


義久は、兵士に号令をかける。


「殿の敵討ちだ! 化け物なんか、蹴散らすぞ!」


鍋島も、兵士の士気を高める。


「がんばれ~♪ みんな~♪」


海ちゃんは、表面上は応援するが、


(数が多すぎる・・・さすがにこれはヤバイだろう・・・。)


心の中では、危機を感じていた。


「プワー!!!」

「でやあ!」


化け物との戦いが始まった。スパ! スパ! 義久、鍋島は、幸先よく化け物のちょんまげを斬り落とす。


「プワー!!!」


化け物は、人間に戻り、砂の様に消えていく。残り28体。


「ギャア!」


化け物は、兵士たちをパンチにタックルで、吹き飛ばしていく。スパ! スパ! 義久、鍋島は、化け物と戦える。残り26体。


「プワー!!!」

「ギャア!」


が、兵士では化け物には、まったく歯が立たなかった。


「兄上!」


そこに、肥後から次男の島津義弘が駆けつけた。


「おお! 義弘!」


少し疲れてきた義久は、弟の義弘を見て元気を取り戻す。


「援軍だ! 援軍が来たぞ!」

「おお!」


鍋島も、兵士も気力を取り戻す。


「化け物ども! 好き勝手にはさせんぞ!」


スパスパ! 義弘は、自慢の剣技で化け物のちょんまげを斬っていく。残り24体。


「さすが、義弘じゃ!」

「兄上も、ご無事で何よりです。」


島津兄弟の絆は固かった。


「プワー!!!」


しかし、多勢に無勢。


「ギャア!」


藤原くんの在庫一掃の物量作戦は、確実に兵士数を減らしていった。


「はぁ・・・はぁ・・・。」


戦いは進み、義久たちは疲れていたが、


「プワー!!!」


疲れ知らずの化け物たちは、猛威を振るっていた。残り18体。


(ダメだ! このままじゃ全滅しちゃう!)


海ちゃんは、危機を悟った。


「よし! 決めた! あれをやるしかない!」


何かをすることを決めた。


(築後は海が遠いから、できればしたくないんだけど・・・仕方がない。)


決心は固かった。


「海竜の使いとして命じる! いでよ! 海の妖怪たち!」


海ちゃんは、海の妖怪を召喚した。ボン! 人魚に、磯女、河童など、海系の妖怪が現れるが、


「さぁ! 化け物を退治して!」


海ちゃんは、海の妖怪たちにお願いするが、


ピヨピヨ。陸にあがった魚状態なので、何もできない。ズル! 海ちゃんは、ズッコケた。


「やっぱり無理か・・・。なら、次!」


海ちゃんは、胸の前で両手を合わせて、お祈りをする。


「みんなの疲れを取り除く! 海の恵み!」


海ちゃんの祈りが、キラキラ~♪


「おお!? 急に体から疲れが無くなった!?」


義久や義弘、鍋島に兵士たちの疲れがとれ、体力が回復した。


「これで化け物と戦えるぞ!」


義弘は、戦う気満々だった。


「ここが踏ん張りどころだ!」


スパ。鍋島は化け物のちょんまげを斬り落とした。残り17体。


「プワー!!!」


それでも、まだまだ化け物相手に劣勢であった。


「ちょんまげをいちいち狙わなければいけないのが苦戦の原因かな・・・。」


やさぐれ海ちゃんなりに、苦戦の原因を考えた。


「3人の剣に、海の輝きを!」


海ちゃんが願いを込めると、ピカーン! 義久、義弘、鍋島の剣が海色に輝きだした。


「これは!?」


義久が驚いていると、


「義久様! その剣なら、化け物にダメージを与えることができます!」


海ちゃんが剣の説明をすると、


「海ちゃん、ありがとう~♪」


義久は、大好きな海ちゃんにお礼を言い、スパ。


「プワー!!!」


義久が、化け物を正面から斬りつけると、化け物を倒すことができた。


「おお! これはすごい!」


義久は、ちょんまげを斬らずに化け物を倒すことができた。残り16体。


「義弘! 鍋島! これなら化け物とも戦えるぞ!」

「わかりました! 兄上!」

「すごい! これが海竜様のご加護か。」


3人は、化け物を一気に倒しにかかりました。


「でやあ!」


スパ! スパ!


「とりゃあ!」


スパ! スパ!


義弘に、鍋島も海の輝きのおかげで光っている剣で化け物を斬っていく。


「あと少しだ!」


スパ! 義久も化け物に光る剣を突き刺し倒す。


「プワー!!!」


倒された化け物は、人に戻り、砂の様になって消えていく。残り11体。


「どりゃ!」


スパ! 義弘が、また1体、化け物を倒した。残り10体。


「いけるぞ! ここが踏ん張りどころだ!」


鍋島は、兵士を鼓舞するが、


「おお!」


兵士の数は、最初の半分以下の人数になっていた。フラ。義久、義弘、鍋島の体がフラっとした。シュン。剣から海の輝きが消えていき、剣から光が消えた。


「う!?」


フラフラ。義久は片膝をつきながら、しゃがみ込んでしまう。


「なんだ!? 体に力が入らない!?」


フラフラ。義弘は立っているが、フラフラしている。


「ああ・・・。」


ドテ。鍋島は、地面に倒れ込んでしまう。


「海の恵みと輝きの活動時間の限界か!?」


海ちゃんは、3人を見て、あたふたしている。


「人間には、使いこなすことは無理か!?」


海ちゃんが、どうしよう? どうしよう? と慌てていると、


「プワー!!!」


化け物たちは待ってはくれない。


「プワー!!!」


化け物が動くことができない、義久を狙う。


「ここまでか!?」


迫りくる化け物に義久は死を覚悟した。


「海ちゃん!?」


義久の前に、いきなり海ちゃんが義久に背中を向けて現れる。


「いざとなれば、海ちゃんが全て倒しますよって言ったじゃないですか。」


海ちゃんは、首だけ義久の方に向け、


「例え、人間の姿で無くなっても・・・。」


少し寂しく微笑む。


「な!? なにを言って・・・?」


義久は、嫌な予感がした。


「さようなら。」


海ちゃんは、涙を流しているみたいだ。


「海竜様! 義久様を守ってください!!!」


海ちゃんが、絶叫すると、ピカーン。海ちゃんの体が光り始めた。ブクブク。海ちゃんの様子がおかしい。人ではなく、姿が大きくなっていき、


「ガオウ!!!」


大きな竜の姿に、海竜が現れ、空に渾身の雄たけびをあげた。


「海ちゃん!?」


義久は、海ちゃんから変身した、海竜を戸惑いながらも見つめる。


(義久様・・・。)


海竜は、少し義久をみつめ、


「ガオウ!!!」


ザプーン! 化け物の方に向き直し、口から大量の水を吐き、化け物を攻撃する。


「プワー!!!」


大量の水は津波のように、化け物を流して破壊していく。グシャ! 流されなかった、残りの化け物を、海竜は爪で掴んで握り潰していく。グシャ! 海竜は、化け物の10倍位大きいので、簡単に化け物を破壊して、


「プワー!!!」


海竜は、すべての化け物を倒した。


「ガオウ!!!」


海竜は、勝利の雄たけびをあげる。


「海ちゃん・・・。」


義久は、海竜の海ちゃんを見る。


「・・・。」


海竜は、義久を見る。パタパタ。海竜の海ちゃんはいたたまれなくなり、彼方へ飛んで行く。


「海ちゃん!!!」


義久が海ちゃんの名前を叫ぶが、海竜は飛び去って行ってしまった。


「うわぁ!!!」


義久は、両ひざを地面につけ両手で地面を叩き感情を抑えることができなかった。


「兄上・・・。」


義弘も兄に何と声をかければいいのか分からなかった。


「なんとか、勝つにはかったな・・・。」


後味の悪い勝利であった。


「そうだな。」


この築後の戦いで、兵士を半分も失い、


「海ちゃん!!!」


海ちゃんも恋心から去ってしまった。


「うわぁ!!!」


義久は、自分の無力さに泣き叫ぶしかできなかった。


つづく。

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