失敗と爆発と休日と
PCの調子が悪いので、もしかしたら更新途切れます
今日は学校の休日である。週休二日制を導入しており、週末の二日間は休養日に充てられるのだ。まぁもちろんそれは学生だけなのだが。
「ジュン、なに唸ってるの?」
「あ、すいません。耳障りでしたね」
「いや、それはいいんだけど…… 何かあるのならいつでも僕に言ってくれよ」
ルームメイトのエルにも迷惑をかけてしまったようだ。昨日の練習で何となく校長が意味深げな言葉を残していた記憶はあるのだが……
あの修行の悪い点は記憶が曖昧になるということである。正確に言えば、ショックとかは伝わるので精神的なものは引き継ぐのだが、相手が何を言ったかなどと言う情報は通じにくいのだ。だからこそ隠密性の高い厄介な魔法なのだろうが。
このまま部屋にいてもエルに悪いし、それになんとなく嫌な空気になりそうなので、
「ちょっと散歩してきますね」
と言い残し、部屋を出た。
散歩と言っても所詮7歳児、どこにも一人で行くのは危険が付きまとう。ゆえに校内の探索しかできないのだろうが、行くところと言ったら一つしかない。
「図書館本日休館」
「うそだろ……」
俺の目の前には休館を示すプレートがぶら下っている。
俺は休みは学生だけだと思っていたが、実は教職員も休みなのだと今知ったのだった。
「仕方ない…… どこに行こうか……」
「うちくる?」
思わず漏れた独り言に返事をする者がいる。自分の真後ろから声が聞こえるのだ。
なんだっけ? 何か聞いたことあがあるぞ。
図書館の前で独り言を言ったら、誰かが返事をしてくれる。それに調子に乗って会話を続けると…… 爆発する!っていう噂があった気がする。そう、学校13不思議だ。
「ねぇねぇ、うち来ても良いよ?」
ああ、まただ、また聞こえる。
ここは、思い切って振り返った方が良いのだろうか……
いや、ここは異世界。俺には魔法がある。それなら魔法で防御を固めよう。
まずは自分の身の回りを魔力で纏う。それだけで魔法伝導率が相当悪くなるはずだ。また周囲の魔力を操ってマナの濃度を下げておこう。
あとは、攻撃は最大の防御なり、だよな。風で作った空気砲を5つほど用意しよう。振り向きざまにぶっ放せば、相手も怯むはずだ。そしてら空気抵抗を無くして全速力で逃げれば、あの威圧感、キーナさんの元に行けるはずだ。
よし、これで大丈夫……
せーので行こう。線路へ飛び出す気持ちで……
「せーのっ……」
「やあ、ジュンくん」
目の前にいるのは冴えない髪の毛のプラハ。なんて冴えないんだ。完全に彼をメインヒロインに据えた乙女ゲームは売れないな。いや、腐らせれば売れるか……
「ジュンくん?」
「ああ、プラハくんか。こんにちは……」
ああ、焦って損したよ……
「ジュッ……」
目の前のプラハが崩れ落ちる。
「おいっ、プラハくんどうしたっ!!」
プラハくんが倒れた先には誰もいない。魔力が動いた気配も無かった。いったい誰が……
しかも、彼は腹などを抑えて倒れている。すでに気は無いようだが、腹部に攻撃が集中しているのか……
攻撃は何発なんだ……
「ジュン!! そこで倒れているのは誰なんだい!! 大丈夫なのかい!!」
そこに登場したのは威圧感。まさかプラハは彼女の威圧感に……
「大丈夫じゃありません。とりあえずどこか寝かせられる場所を」
「いいよ、私の背中に乗せな!!」
威圧感がプラハくんを背中に担ぐと、プラハくんが冷や汗を流し始める。
やはり威圧感が彼の不調の原因なんだろうな……
「ジュン、とりあえず医務室に運ぶから、ベル先生を探してきておくれ。今日は当直でいるはずだから」
「了解です」
俺は勢いよくその場を離れた。
俺はベル先生を呼びに当直室へ向かう。が、その時重要な何かにひらめいた。その何かは自分の首を絞めるような事実であったのでとりあえず忘れ去ることにした。
そう、私の攻撃がプラハに直撃した可能性など…… そう、私が気を抜いた瞬間に暴発した可能性など…… そう、私が対魔法防御してるから攻撃の余波を受けなかった可能性など……
「はい、これでよし」
「よかったー」
「まぁ彼の目が覚めるまでは様子見だけどね」
「いったいこの子は何にやられたんだい?」
「そうですねー、キーナさん。たぶん誰かの魔法だと思いますね。ただ殺傷性は低い魔法ですね」
「暗殺ってことかい?」
「いや、暗殺だったらジュンくんもいなくなってると思うので違うと思いますよ」
さらっと怖いこと言ってますよね? ベル先生は俺のこと嫌い? あ、リバースの件ですか…… すんません。
「とりあえずここは私が見張っておくので、キーナさんはジュンくんを部屋に送ってください。ルームメイトはエルくんだし、キーナさんが近くを見回りすれば当面の危険は防げるはずです」
「そうだね。ジュン、お前さんは私がかならず守るからね」
腕まくりして、力こぶをつくる威圧感さん、まじかっけぇす。
「ではキーナさん、ジュンくん。お気をつけて。とくにジュンくんはショックだっただろうし早く寝るんだ」
ベル先生は真剣な目線で俺にそう言ってくれる。なんでだろう、頭が痛い……
「じゃ、じゃあ、失礼します」
「ああ、待っとくれ、ジュン」
俺とキーナさんが並んで廊下を歩く。
キーナさんは俺を励まそうとしてるのか、いろいろ話しかけてくれるが、正直俺の頭の中では威圧感さんの威圧感をしのぐ勢いで、ことがバレないかが不安すぎた。
「あ、あの…… この辺で大丈夫です」
「そうかい? まぁこっから先は寮内だし大丈夫だろう。私がしっかり見張るから、安心しておねんねしな」
「は、ハイ・…… ありがとうございます」
「おやすみ、ジュン」
俺は一礼すると、いち早く視線から逃れるべく、若干早歩きで、部屋に飛び込むのだった。
なお、飛び込んだ先でエルが真っ裸で身体を拭っていたのは余談です。
ありがとうございます




