殺人天使
初めましての方は初めまして。
そうでない方は毎度ありがとうございます。
今回からVRMMORPG→異世界転移の冒険譚を書いていきます!
「くそっ、相変わらず強過ぎだろ!」
少年は森の中を逃げていた、ただひたすらに。
「ぐあっ」
少年の足に矢が刺さる。
過度な痛みは遮断されているが、刺さったと分かる程度には痛みがある。
足にかかった行動制限のせいで少年は倒れ込んでしまう。
その間に追跡者が距離を詰める。
「ふふふ、もうおしまい?」
「あぁ……ったく強過ぎんだよ……」
追跡者は少女だった。
身長は低く、少年の胸ほどしかない。
真っ赤な髪と同じ色の目を持っている。
一般に美少女と呼ばれる類の少女だった。
そんな少女が熱っぽい視線を少年に向けて言った。
「じゃあ…いつもの……」
「……早くしろ……」
「えへへ」
デレッという擬音がしっくりくる表情をして少女はゆっくりと手を伸ばす。
そして……
「うっ…ぐっ……」
少年の首を絞めた。
呻く少年とは正反対に、恍惚とした表情を浮かべる少女は言う。
「好き大好き愛してる」
呼吸不能で残り少ないHPを徐々に減らしていく少年は思った。
(もうちょっと普通のアプローチをしてくれ……)
少年のHPはいよいよ0になる。
空中に「GAME SET」の文字が浮かびフィールドの入口へと転移する。
ここはVRMMORPG【RE:WORLD】内の日本にあるPvPフィールド【樹海】。
【RE:WORLD】は3年ほど前にサービスを開始し、地球を再現したマップが話題となったVRMMORPGだ。
少年の名は【Cei】、少女の名は【U-i】と言う。
もちろん、リアルでは違う名前だが。
「ケイ…もっと強くなって」
「お前並みに?」
「そう」
「俺に称号持ちの廃人になれと言うのか」
ゲーム内で開催される様々なイベントで優秀な成績でクリアすると好きな称号をユーザーネームの隣に付けてもらえる。
少女は【殺人天使】という称号を付けてもらっていた。
その称号を考えたのはケイだ。
由来は簡単、少女が弓使いのPKであるからだ。
まぁPKの対象はケイしか居ない上に、現在は1日1PvPで我慢しているが。
ちなみに称号には全ステータスを獲得回数%上げる効果がある。
「称号貰うのは大抵レベル上限付近の廃人ゲーマーたち、俺は上限1000に対して半分の500ちょいしかない。どうやって貰えっつうんだよ」
「団体イベントなら手伝えるよ?」
「そもそもレベル500程度でレベルMAXのお前とじゃ称号得ても釣り合わないだろ」
「しょぼーん……じゃあ一緒にレベリングやろう」
「じゃあ前衛探さなきゃな」
ケイは魔法使い、後衛2人だとレベリングの相手が限られる。
「ヤマちゃんとハルを呼べばいい……」
「エムティーとハルね、フレンド通信入れてみるか」
こうして2人はレベリングのためのパーティーを組むべく動き出した。




