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殺戮令嬢リア・エルスワーズの華麗なる侵略史  作者: 結城 からく


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第92話 絶え間なき成長

 暢気に会話をしていると、行動不能だったはずの盾神が起き上がった。

 振りほどかれたソヂナが仰天する。


「うおっ、何だぁ!?」


 先ほどまで満身創痍が盾神だが、その肉体には傷一つ見当たらない。

 異様な速度で完全回復を果たした盾神は、雄叫びを上げて私に突進してくる。

 私は正面から衝突を受けて、そのまま壁に叩きつけられた。

 力任せに押し潰される中、バジルは声を張って解説する。


「盾神ココンは吸収魔術を持ってやす! あらゆる攻撃を取り込んで糧にしやすぜ」


「つまりどういうことだ!」


「老い以外では死なない、不死身の戦士ってことです!」


「……へえ、私を差し置いて不死身か」


 不敵に笑った私は盾を掴んで押し返す。

 身体強化の練度の差により、徐々に盾神の姿勢が崩れ出した。

 堪らず床に片膝をついた盾神は、憤怒の表情で唸る。


「ぐ、ぬぅッ」


 盾神は足払いで私を転倒させると、馬乗りになって盾の猛打を浴びせてきた。

 一撃が非常に重く、受けるたびに肉が裂けて骨が砕けた。

 その威力に私は感心する。


(七色騎士より肉弾戦は強いな)


 このまま強引に反撃してもいいが、それでは面白くない。

 一方的に殴られながら、私は雷神の名を呼ぶ。


「ソヂナ!」


「おうよっ!」


 すぐさま雷撃が盾神に襲いかかった。

 青白い光を受けた盾神は、白目を剥いて全身が黒焦げになる。

 煙を発して固まった姿はどう見ても死んでいるが、循環する魔力は未だ健在だ。

 つまり盾神は元気に生きている。

 吸収魔術で雷撃を糧にしたら、すぐさま復活するだろう。


(そんな暇は与えないがな)


 私は無防備な盾神の胸に精霊刀を突き刺し抉る。

 刃の魔力と体内に浸透させると、盾神が苦しみ始めた。

 精霊刀が受け継いだ虹魔術の効果で、吸収魔術が鈍っているのだ。

 完璧に効果を封じるわけではないものの、回復を阻害するだけでも十分だった。


 吐血した盾神はそのまま倒れた。


「カハッ……!?」


 苦悶する盾神は、私を睨み続ける。

 間もなく回復が追い付かずに絶命した。

 その直後、ソヂナが大喜びで精霊刀に縋り付いてくる。


「なんだ今の力は!? ずいぶんと面白い特性を得ているじゃないかっ!」


「虹魔術の力だ。そして、また成長した」


 今の戦いで、盾神の吸収魔術も継承した。

 派手な変化はないが、しっかりと役立ってくれるはずだ。

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