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殺戮令嬢リア・エルスワーズの華麗なる侵略史  作者: 結城 からく


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第83話 義妹の訴え

 余談だが、最初に次代当主に任命されたのはシェリーだった。

 血の繋がりがない私より優先されるのは当然のことだろう。

 強襲作戦でも三番手とも言えるほどの活躍を残している。

 彼女が当主となることに文句がある者などいない――シェリー本人を除いては。


 そう、私が当主に選ばれたのはシェリーの推薦によるものだった。

 任命をきっぱりと拒否したシェリーは、いかに私が当主に相応しいのかを王国の重鎮の前で演説してみせた。

 その胆力や鬼気迫る語りに押し切られる形で、彼女の希望は承認されたのである。


 横でやり取りを見ていたが、あれは半ば脅迫だった。

 シェリーは水と炎の爆発を軽く披露した後、凄まじい形相で演説に入ったのだ。

 そんなことをされたら、恐ろしくて反対などできやしない。

 交渉術に長けた伯爵も静観を貫いていた。

 迂闊な発言が死を招くと直感で理解していたのだろう。


 死闘を経験したシェリーは尋常でない実力を獲得している。

 王城専属の魔術師もエリートだが、シェリーの相手としてはあまりにも力不足であった。

 仮にシェリーが暴れ出した場合、止められる者は皆無である。

 相討ちに持っていくまでに甚大な被害が出るのは想像に難くない。

 表立って反論するのは不可能に近いだろう。


 さらに言うと、同じ場に私がいたのも大きかった。

 リア・エルスワーズの名は王国貴族にとっては決して忘れられないものであり、紛れもなく国内最強だからだ。

 歯向かえば誰であろうと抹殺するという共通認識が広まっていた。

 それは処遇に関する議論からもよく分かる。


 王国の面子を考えると平伏するのは不味いが、かと言って粗雑な扱いに腹を立てて敵対されると危険すぎる。

 そういった出来事を経て、私はエルスワーズ家の当主の座についたのだった。


 騒動後、私は竜を飼育する牧場で暮らしている。

 すぐそばには新しい屋敷を建築している最中だった。

 領土や財産のほとんどを没収されたため、今の私はここに住むしかない。


 ちなみに屋敷の建築費用は伯爵に支払ってもらった。

 強襲作戦で全面的に協力してくれた礼らしい。

 今後も何かあれば支援してくれるそうだ。

 後ろ盾としては最高の人物だろう。


 牧場の近くにあるイメ村も私の管轄となった。

 細々とした部分はノルフに丸投げしているのは詳しいことは分からない。

 ただ、竜の飼育で出た糞や古い鱗等が高値で売れるらしく、イメ村の人々は以前よりずっと豊かな生活ができているそうだ。

 会うたびにやたらと感謝されるので、悪い気はしなかった。

 私達も彼らの労働力に頼っている部分があり、今や互いに必要不可欠な存在となっている。

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