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殺戮令嬢リア・エルスワーズの華麗なる侵略史  作者: 結城 からく


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第68話 暴風の憎悪

 私の返答にマーサは目を見開く。

 無言で小刻みに震えた後、彼女は極大の怒りを抑えながら呻いた。

 口元を痙攣させてマーサは言葉を絞り出す。


「随分と、生意気に……なったこと、ね……。躾が足りなかった……のかしら……?」


「じゃあ躾けてみろよ、ほらほら」


 さらに挑発すると、マーサが風の刃を飛ばしてくる。

 身動きする前に左腕が切断された。

 それを見た私は、噴き出した血で腕を引き戻して繋げる。


 刹那、マーサが金切り声を上げて、連続で風の刃を撃ちまくってきた。

 部屋全体を切り刻みながら容赦なく攻撃してくる。


 私はあっけなくバラバラにされたが、特に問題なく再生した。

 血でドレスを作り、破損した精霊刀と鎖も拾う。

 私の力を宿す精霊刀と鎖はすぐに復元して元通りになった。


(魔術の発生速度や威力が大幅に上がってやがる。ラインみたいに色々仕込んでるんだろうな)


 まあ、何をしていようと臆することはない。

 私は素早い動きで精霊刀を投げ放つ。

 ところがマーサに当たる直前に軌道がずれてしまった。

 何度か試すも、同じ結果となって失敗する。


 周囲を飛び回る精霊刀を眺めるマーサは、憎たらしい顔で説明をする。


「無駄よ。暴風の領域は決して破れないわ……」


「そうとも限らねえよ」


 私は一気に距離を詰めて斬りかかる。

 直接攻撃で仕留めるつもりが、下からの暴風で切り刻まれた。

 手足が肉片になったことで間合いが狂い、精霊刀の斬撃がすっぽ抜ける。


 マーサは下がりながら下卑た笑みを浮かべる。


「だから無駄と言ったでしょう。私は風の精霊と契約したの。常時展開した防御魔術は——」


 鬱陶しい自慢を無視して攻撃を叩き込む。

 全身を絶えず肉片にされながらも、私は構わず仕掛け続けた。

 四肢を吹っ飛ばされ、内臓を垂れ流す私は冷静に分析を進めていく。


(さて、どう突破する?)


 再生魔術の強度を高め、暴風を無視して押し切る。

 それも可能だが、余計な消耗が増えてしまう。

 ここはもっと賢い手段で攻略しようと思う。


 私は再生出力の風属性を込めた精霊刀を投げつけた。

 同じ風の力でマーサを守る暴風を相殺し、精霊刀はそのまま一直線に突き抜けていく。

 マーサは慌てて手をかざして突風を打ち当てた。

 精霊刀はマーサの首筋を掠め、壁に深々と突き立つ。


「はぁ……はぁ……」


 首筋から流れる血に触れて、マーサは私を睨みつける。

 私は不敵な笑みを浮かべて精霊刀を引き戻した。

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