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殺戮令嬢リア・エルスワーズの華麗なる侵略史  作者: 結城 からく


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第65話 水と炎

 水と炎が衝突し、爆発的な熱波が波及する。

 その只中にシェリーとラインはいた。

 ほとんど互角の戦いは私が手を出すことで決しそうだが、それは無粋だろう。

 シェリーが自分でやると言ったのだ。

 たとえ苦戦していたとしても、ここは信頼して任せるべきだろう。


 私は精霊刀で肩を叩きながら静かに見守る。


(さて、どっちが勝つ?)


 両手足から炎を噴射するラインは、小刻みに加速と減速を繰り返すことで不規則な動いている。

 そこから翻弄するように攻撃を仕掛けていた。

 装着している義手と義足が特殊な構造らしく、内部で魔力を増幅させて術の威力を数倍に引き上げている。


 対するシェリーは水の壁で強固な防御を展開していた。

 同時に圧縮した水による反撃を行っている。

 シェリーは特別な装備を着けていないものの、鍛錬で培った技術で対抗していた。


 高速の攻防を経て、両者は少なくない怪我を負っている。

 水で肉体の数か所を貫かれたラインは、傷を焼き固めることで堪えている。

 シェリーも熱と火傷で激しく消耗していた。

 互いに膨大な量の魔力を常に使い続けており、無茶をしているのは明らかだった。

 先に力尽きた方が死ぬのは間違いない。


(これは耐久戦になりそうだな……)


 傍観していると強化兵が突っ込んできたので、邪魔が入らないように始末しておく。

 そうこうしているうちに兄妹の対決は早くも佳境に入った。


 シェリーの放った渾身の水の刃が、ラインの義手を切断した。

 しかし、お返しとばかりに火球がシェリーに炸裂する。

 半身に火傷を負ったシェリーが吐血し、よろめいた。

 咄嗟に水で威力を軽減したものの、それでも負傷が大きすぎたのだ。


「ライン・エルスワーズッ!」


 叫びを上げたシェリーが無理やり突進し、ラインの体を水で包み込む。

 火が消えて機動力を失ったラインは転倒した。

 そこにシェリーが掴みかかり、ラインの口に水を流し込んでいく。


 苦悶するラインが炎を全開にして、密着したシェリーを焼き殺しにかかる

 凄まじい量の蒸気が発生して二人が見えなくなる。


(どうなるんだ……?)


 私は黙って勝負の行方を見守る。

 蒸気の中から現れたのはシェリーだった。

 全身に火傷を負った彼女は、爛れた肌で血を流しながら倒れる。


 蒸気が晴れると、そこにはラインの溺死体があった。

 腹が異様に膨れて、四肢が炭化して欠損している。

 限界を超えた魔術行使で肉体が壊れたようだ。


 私はシェリーに話しかける。


「生きてるか?」


「ええ……問題……ないです……わ……」


 シェリーは掠れた声で応じた。

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