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殺戮令嬢リア・エルスワーズの華麗なる侵略史  作者: 結城 からく


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第47話 改装工事

 焼け野原となった牧場。

 そこでは、レグゥの部下だった盗賊達が汗水を垂らして業務を行っていた。

 彼らはゴブリンの砦に使われていた廃材を解体し、一か所に集めている。

 なるべく資材を再利用するためだ。

 魔術も併用すれば、廃材でもまだ使い道があるだろう。


 この盗賊達だが、当初は王国に身柄を引き渡す予定だった。

 国から譲渡を命じられたのだ。

 連れて帰った竜も同様で、何も言わなければすべて奪われていたに違いない。


 当然ながら私は拒否した。

 私が命じられたのはレグゥの討伐のみで、他の指示に従う義理はない。

 いずれも私が戦いの果てに獲得したのだ。

 誰にも譲るつもりはなかった。


 そんなわけで盗賊達は、この牧場の従業員にするつもりだ。

 竜の世話に関して、彼ら以上の適役はいない。

 知識も十分にあるので問題なく任せられると思う。


「おー、休まず働けよー」


 私の声かけに、盗賊達はビクッと反応して早足になる。

 今のところ逆らう者はおらず、むしろこっちの機嫌をかなり気にしている。

 弱肉強食を叩き込まれた盗賊達にとって、レグゥを倒した私は絶対的な支配者という認識でもあるのかもしれない。

 過剰な印象だと思うが、都合が良いので訂正する必要もないだろう。


 そんな風に作業を眺めていると、バジルがやってきた。

 隣に座ったバジルは気さくに話しかけてくる。


「連中はどうですかい」


「悪くないな。朝から文句も言わずに働いているよ」


「そろそろ休憩させやすかね」


「まだいけるだろ」


「……はは、オイラはちょっと別の作業をしてきやす」


 乾いた笑いを残して、バジルはさっさと立ち去ってしまった。

 なぜだ。

 もう少し喋ろうと思っていたのに。

 首を傾げていると、間を置かずにノルフがやってきた。


「リア様」


「何だよ?」


「お言葉ですが、貴重な人材を使い潰すおつもりですか」


 ノルフの言葉は丁寧だが非難の意が込められていた。

 彼は冷静に意見を述べる。


「彼らは限界間近まで疲弊しております。バジルがそれとなく促していましたが、すぐに休息を取らせるべきです」


「まだ早いだろ」


「常人はリアさんほど強靭な肉体を持っていないのです。臣下の状態を見極めるのも貴族の務めでございますよ」


 もっともらしく語るノルフに対し、私は鼻を鳴らして言い返した。


「私の基準はお前が作ったんだよ、ノルフ」


「……そうでしたな。教育を間違えたかもしれません」


 結局、私達は笑い合った。

 考えがまとまったので、私は立ち上がって盗賊達に呼びかける。


「おい、休憩だ! しっかり食って飲んで午後も頑張れよっ!」


 盗賊達は途端に雄叫びを上げると、泣きながら喜び始めた。

 よほど辛かったらしい。

 予想以上の反応であった。


 それからすぐに昼食の支度を行う。

 材料は、午前中にシェリーが仕留めた魔物だ。

 シェリーは魔術の鍛錬ついでに狩りを行っているのである。

 水の刃で切断された大量の肉は、完璧に血抜きされて臭くない。

 それらを豪快に焼いて次々と振る舞っていく。

 盗賊達は感激しながら肉を頬張っていた。


 彼らの様子を見た私は思案する。


(もっと休憩の頻度を増やすか……)


 別に急ぎの案件もないのだ。

 無理のないペースで進めればいいだろう。

 私の感覚では彼らがついてこれないことが判明したので、今後はバジルやノルフに相談しようと思う。

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