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殺戮令嬢リア・エルスワーズの華麗なる侵略史  作者: 結城 からく


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第39話 飽和攻撃

 上空に放たれたシェリーの水弾が縦横無尽に暴れ回る。

 破裂音と共に、首や腹を欠損した竜が次々と墜落していく。

 滅茶苦茶に乱射される水弾だが、吸い寄せられるように軌道を変えて命中していた。

 不自然な挙動に気付いた私は、その仕組みを見破る。


(魔力を追尾しているのか)


 付近の強い魔力を自動で攻撃する術なのだろう。

 そうすることで水弾を操作する手間を省き、代わりに殺傷力を上げているようだ。

 上空を敵に占拠された現状では最適解に近い。

 未熟な魔術の腕を発想で補っているというわけだ。


(私の役に立とうと必至なんだな)


 シェリーの攻撃に感心していると、生きている竜が一斉にブレスの構えを取る。

 そして止める間もなく、四方八方から魔力の光線が降り注いだ。


「うわ、やばっ」


 私は急いで退避する。

 次の瞬間、ブレスが馬車を吹き飛ばし、爆炎を伴う衝撃波が付近一帯を襲う。

 鼓膜が破れて何も聞こえなくなった。


 私は炎に巻かれて全身を焼かれたが、鮮血によって素早く消火する。

 抉れた地面に埋もれた私は肉体を再生させる。


 土煙が舞い上がる中、竜は途切れることなくブレスを放ってくる。

 視界不良など気にせず、数の暴力で殺すつもりらしい。

 爆音に紛れてレグゥの声が聞こえてきた。


「はーはっはっはっ! もっとだ! どんどんぶち込んでやれ!」


 この攻撃の密度からして、レグゥは短期決戦に持ち込むつもりなのだろう。

 私達が何かする前に叩き潰すのが狙いらしい。


(頭上を取られているのは厄介だな。どうにか反撃を……)


 そう考えた時、ノルフがシェリーを小脇に抱えて駆け出した。

 土煙の中から出た途端、水弾がまた竜を撃墜する。

 ブレスはノルフが軌道を読んで回避することで難なくやり過ごしていた。

 攻防の役割分担が完成した良い連携である。


 一方、バジルも動き出そうとしていた。

 彼は呑気に伸びをしながら頭上を見やる。


「さーて、オイラも働きやすかね」


 重力魔術で浮遊したバジルは、竜を凌駕する速度で自由自在に空を飛ぶ。

 重力の方向や強弱を巧みに調整し、あたかも翼があるかのように動いている。


 そんなバジルはすれ違いざまに竜に触れていく。

 過剰な重力を付与された竜は飛行能力を阻害され、騎手ごと地面に叩きつけられた。

 派手な攻撃はせず、最低限の力で効率よく始末する姿は、さすが王国有数の騎士と言えよう。

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