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殺戮令嬢リア・エルスワーズの華麗なる侵略史  作者: 結城 からく


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第21話 曰く付き

 ドワーフは確信に満ちた様子で述べる。


「お前さんならどの武器でも使いこなせるだろう。何か気になるものはあるか」


「うーん、そうだなぁ……」


 私は考えながら周りを見て、ふと店の奥の棚に注目する。

 そこから埃を被った一本の鉈を掴み取る。

 曇った刃はまともに研がれておらず、亀裂まで走っていた。

 おまけに柄は握っただけでぐらつく。

 ちょっと振っただけで壊れそうだ。


 他の商品は完璧な状態なので、この鉈の酷さが異様に目立つ。

 気になった私はドワーフに尋ねる。


「何だこれ。ガラクタじゃねえか」


「そいつは売り物じゃない。知り合いの行商から押し付けられてな。扱いに困って置いてあるだけだ」


 ドワーフは渋い顔で答えた。

 彼は鉈を一瞥した後、言いづらそうに事情を話す。


「この鉈はとにかく気難しい。どれだけ手入れをしても状態がまったく変わらん。おまけに切れ味は最悪だ」


「呪われてるだろそれ」


「妙な力が宿っているのは間違いないな。だから客にも売れやしない」


 そこまで聞いたシェリーが嘆息した。

 彼女は他の棚に飾られた武器を物色し始める。


「そんな刃物なんてどうでもいいわ。お姉様に最適な武器はもっと他に……」


「いや、これにする」


 私は鉈を弄びつつ宣言した。

 シェリーは困惑気味に意見を言おうとする。


「お、お姉様……それはさすがに……」


「私はこれがいい。もう決めた」


 シェリーの意見を遮って再び宣言する。

 今度はドワーフが口を出してきた。


「正直、賢い選択ではないぞ。あんたの実力はだいたい分かる。わざわざ呪われた鉈を使う必要はない」


「生意気な武器を屈服させてみたくなった。私が使いこなしてやるよ」


「……意志は変わらないな」


「ああ、こいつはもう私のもんだ」


 私は鉈の刃を見て笑う。

 お世辞にも良い武器とは言い難いが、私みたいな人間にはぴったりだと思う。

 無難な魔術武器より楽しそうだ。

 私の気持ちが固まったのを察したのか、ドワーフはため息混じりに頷く。


「そこまで言うなら止めはしない。もし使ってから気に入らなければ返品してくれ」


「心配すんな。素直になってきたら見せに来るよ」


「ふっ……楽しみにしている」


 交渉の結果、鉈は驚くほど安い値段で譲ってもらった。

 私の覚悟を気に入ったらしい。

 意図せず節約も出来た点も含めて、とても有意義な買い物になったと言えよう。

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