第四次太羽島攻略作戦4
「他にも人型が来たぞ! A級は対処にあたれ!」
エーランドとの戦いを見て人型クモの実力はなんとなくわかった。
B級が対処に当たるよりもA級がしっかり相手にした方がいい。
ようやく数が減ってきたところに人型クモが普通のクモを連れて襲来してきた。
アイシャを含めたインドの覚醒者チームが人型クモの対処に向かい、他の覚醒者でクモを倒す。
クモとの戦いには慣れてきた。
しかし状況はやや悪くなっている。
なぜならクモの糸が増えているからだ。
人型クモだけでなく普通のクモも当然糸を使う。
余裕があれば燃やして処理するのだけど、戦いが始まって混戦になっていると地面のクモの糸を燃やしている余裕などない。
下手すれば戦っている他の人も火に巻き込まれてしまう。
そのために周りはだんだんとクモの糸で白くなりつつあった。
軽く触れる分には少しくっつくだけであるが、それでも邪魔になることには違いない。
「"この……邪魔だ!"」
ベタベタとする糸が毛皮にくっつく。
苛立ったようにエーランドは人型クモの頭に手をかけると勢いよく回転させる。
ひどく鈍い音がして頭が二回転。
当然その状態で生きているはずもなく、人型クモはゆっくりと倒れる。
「"王の戦いだ……楽には終わらないと思ったが、これほど大変だとはな"」
エーランドは深いため息をつく。
決して楽勝ではなかった。
狂化スキルを使うところまで追い詰められはしなかったけれども、かなり体力を消耗した。
会話は分からずとも、物々しい雰囲気から厳しい戦いをすることは理解していた。
ガルーの王たるエーランドがようやく一体相手できるほどのモンスターがボスではないことに内心驚いてしまう。
「‘はっ!’」
アイシャが弓を引く。
一瞬の隙をついて魔法で拘束された人型クモに向かって矢がまっすぐに飛んでいく。
案外丈夫な人型クモの頭を矢が貫通する。
「‘ふぅ……’」
人型クモは普通にボスクラスの実力があったとアイシャは汗を拭う。
そんな強いモンスターを従えているアラクネはどれほど強いのか一抹の不安を感じざるを得なかった。
「"ちっ……これはどうすればいい?"」
気づけば普通のクモも倒されて戦いが終わっていた。
敵の増援もなく、一度状況確認をして体制を立て直す。
エーランドが身体中についたクモの糸を払っているが、なかなか取れないでいる。
「"燃やして差し上げましょうか?"」
「"そんなことしたらぶっ飛ばすぞ"」
「"軽い冗談です"」
死傷者は出たものの、大きな被害はなかった。
北条たちはもうすでにゲートの方に先回りしているらしく、圭たちはクモの巣を焼き払いながらゆっくりとゲートに向かっていく。
「事前の情報通りならもう何体か人型クモがいるはずなんだけどな」
最後に確認された人型クモは五体。
先ほどの戦いで二体を倒したので残り三体だ。
ゲートを守っているのか、あるいはどこかで圭たちを狙っているのか。
「あれは……」
進んでいって新たなクモもなくゲートが見えてきた。
ゲート前には北条たちがいる。
「どうかしたのですか?」
日本の覚醒者が声をかける。
北条たちは一様に険しい顔をしている。
「……いないのだ」
「いない……?」
「アラクネがゲートの中にいない」




