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第八部 第十四章 交渉

「なるほどな。だが、それならば一人で良かろう」


 のっぺりとした顔が薄ら笑いを浮かべた。


 むう、どうしょうか。


 そう思いつつも、とりあえず、集めた生石灰のビンを雄二に渡す。


 雄二がすまんって感じでさっと受け取った。


 由宇が横で、手を合わせて謝る仕草をした。


 良く、このノリで無茶苦茶になって結局、とんでもない事になる事はあるが、まさかの最悪の場所でこんな事になるとは……。


 もう少し空気を互いに読むべきだったか。


 実際、これほどの数で囲んでいたのに雄二ですら気が付かなかったのだから、戦闘能力の差が大きすぎる。


 和弘(かずひろ)おじさんも俺達のささっとやったやりとりを見て、俺達がふざけていたと理解したようで、あああって感じで頭を抱えていた。


「いやいや。とりあえず、彼らは放って置いて欲しいのだけど」


 俺が再度頼む。


「ならば人質で良かろう」


 のっぺりとした顔がさらににやりと笑う。


「降伏勧告の使者など一人で充分じゃ」


 別ののっぺりとした顔も答えた。


 むう、詰んだ。


 つうか、人間の知能はあるし、肉体は巨大な節足動物だし、こういうのって反則だろう。


「逆にお前の人間に対する憎悪が見たいの。どうじゃ、一人殺してみてくれんか? 」


 のっぺりとした顔が俺にニタリとしながら突っ込んできた。


「そうじゃ」


「我らにお前の憎悪を見せよ」


「まずは、そこからだ」


 のっぺりとした顔達が一斉に騒ぐ。


 やべぇ、何か凄い悪知恵でやんの。


「悪かったな」


 雄二が俺に笑った。


「ちょっと、ふざけ過ぎちゃった」


 由宇も深々と謝った。


「しょうがないよな」


 俺と雄二と由宇が目で理解し合う。


 戦うしかなさそうだ。


「多分、勝てないと思うけど」


 由宇がまた一言多い。


「言うなよ。そう言う事は」


 言いながら俺が鉈を抜いた。


 雄二も刀を抜く。


「何と、裏切ったのではないのか! 」


 言わないで良い事を非常食さんが叫ぶ。


 あほや。


 その一言で、のっぺりとした顔に次々と憎悪が宿る。


 騙されたと思ったのだろう。


 何で、味方にこんなのしかいないのか良く分かんないが、泣きたくなってきた。


「まあ良い、いまから包こんで潰してやるわ」


 最初に話したのっぺりとした顔が俺に静かに殺意を込めて話しかけてきた。


 あーあーあーあーあーあーあ。


 やっちまったなぁ。


 目の前が暗くなりながらも俺達が戦闘準備に入る。


 非常食さんと山王(さんのう)二号さんも爪と角を伸ばした。


 エルフのお弟子さん達も弓をつがえた。


 どう見ても負け戦なんだけど。


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