第八部 第十ニ章 来襲
うわぁ、聞くんじゃ無かった。
聞くんじゃ無かったよ。
凄い後悔した。
すでに由宇が俺をばい菌か何かのように見て距離を置いている。
「いやいや、すぐにそう言う反応をしなくても良くない? 」
俺が由宇に非難する。
「いやいやだって、虫になるかもしんないじゃない。虫に」
由宇がこちらの心が折れるような事を言う。
俺、虫だったんだ。
俺がその場に跪く。
「な、何があったの? 」
簡単に温泉の周りに逆茂木を作って帰って来た雄二が俺と由宇を見て訝し気に見ている。
「こいつ虫だったらしいのよっ! 」
由宇が俺を指さして叫ぶ。
何という酷い扱い。
「ど、どゆ事? 」
雄二も後ずさりを始める。
「いや、こいつは虫じゃ無いけど……」
オオカミさんが困ったように俺を見た。
「いや、でも、何かいるって」
由宇が騒ぐ。
「いやいや、居るけど、どう言ったら良いんだろうな」
オオカミさんが困り果てている。
「虫よ! 虫に違いない! 私達を騙して人間の振りをしていたんだわ! 」
由宇が五月蠅い。
まるで昔の悪魔付きのような扱いじゃん。
「えええええ? 」
雄二も酷い顔で俺を見た。
「お前等、仲間に酷い扱いだな」
オオカミさんが流石にドン引き。
「いやだって……」
由宇が手をバタバタさせた。
まあ、半分くらいは冗談でやってるのは分かるが、ここでやる事なんだろうか。
相変わらず空気が読めない奴だ。
「いや、言い方が悪かった。お前達を守るためのものがいるのだ」
オオカミさんが慌てて話す。
「何なの、それ? 」
雄二が困った顔をした。
「まあ、不死だしなぁ。実際、異常にタフだし。普通の人間では無いよね」
和弘おじさんがまあ普通の反応を示す。
「いやいや、お前にも影響はあるはずだぞ。二階堂の一族だろうに」
オオカミさんが和弘おじさんに注意する。
「と言う事は何らかの影響は私にもあると言う事ですか? 」
「ああ、あれがお前の一族の中で、お前達を自分が動かしやすいように代々で遺伝子改良をしているはず」
オオカミさんがとうとう凄い事を言い出した。
雄二と由宇の顔が引き攣ってる。
「いやいや、待て待て、あの虫どもからお前達のような人間を守るためにそれをやっているんだぞ」
オオカミさんが必死で話すが雄二と由宇も首を振る。
由宇と雄二のドン引き具合を見て腹が立ってきた。
正直、幼馴染ならわかる良くやるノリノリの遊びなのだが、空気を読んで欲しい。
「良いだろう! それなら、人間どもを滅ぼしてやる! 」
俺が嫌味っぽく叫んだ。
すっかり夕暮れになって、当たりが薄暗くなってるのにいつまでもノリノリで止めないから、ヒートアップして叫んだのだ。
由宇と雄二がやり過ぎたかって顔してる。
やり過ぎなんだよ。
「その言葉を待っていたのだ」
暗闇の中にのっぺりとした顔が浮かび上がった。
すでに奴等が来ていたのだ。
とんでもない方向に話が進み出して俺と雄二と由宇は皆、目が泳いでいた。




