第八部 第九章 バーベキュー
辺りに香ばしい焼き肉の匂いが立ち込める。
温泉にバーベキュー。
「我が人生に悔いなし」
俺が腕を突き上げる。
「旨いなぁ」
和弘おじさんが焼きあがった肉を頬張っている。
「タレが変わって無いか? 」
雄二が驚いてる。
「非常食さんに言って、はちみつを探してこさせたのよ」
由宇が胸を張る。
「なるほど、このまろやかさはハチミツか」
「それとしょうがの味が聞いてるな」
「いやいや、自然の生姜があったもんで」
「素晴らしい」
俺が由宇を褒める。
実際、味は旨い。
「本当にどこか取柄はあるもんだな」
言わんでも良い事を雄二が囁いた。
「どういう事? 」
由宇が睨みつけて来た。
「いやいや」
雄二が必死に誤魔化した。
あほや。
「しかし、野生の生姜とか使ってるせいか、味が濃いね」
和弘おじさんが感動している。
「ハチミツも取れる場所で味が違うけど、ここのは濃厚だったんで」
由宇が笑った。
本当に、この辺の腕は素晴らしい。
生姜の強い個性を無くさない程度でハチミツで甘みを決めてる。
褒めると調子に乗るので言わないが、本当に素晴らしい。
「いや、何やってんの? 」
いつの間にかオオカミさんが戻って来て唖然としてる。
「あああああああああああ、飯を食ってやがるぅぅぅ! 」
非常食さんが叫ぶ。
何故かその横に山王二号さんまでいる。
何でだ?
顔には双方殴り合った後がある。
「殴り合ったの? 」
雄二が非常食さんに聞いた。
「ああ、やっと捕まえてやり合ってるときにこいつが迎えに来た」
非常食さんが器用にオオカミさんを指差す。
「いや、何で、飯食べてるの? 」
オオカミさんがショックを受けたままだ。
「腹が減っては戦が出来ぬと言いますから」
雄二がきりりと答えた。
「いやいや、戦う気なの? 」
「え? 戦うんじゃ無いんですか? 」
「いやいや、逃げるために連れてきたのにっ! あんな化け物と戦うのは無理でしょ! 」
オオカミさんが怒っていらっしゃる。
「まあまあ、とりあえず、腹ごしらえだ」
言いながら、非常食さんが座り込んだ。
「とりあえず、俺も」
山王二号さんも座る。
由宇が向こうで弱火で焼いてた肉の塊を出した。
非常食さんと山王さんが美味そうに食べている。
「いやいや、駄目でしょ! 早く逃げないとっ! 」
オオカミさんの顔が絶望的なものになった。
非常食さん達が本格的に食べ始めたからだ。




