第七部 第八章 憲兵
「コスプレイヤーがいる」
闇にも目が慣れて来たのか由宇が囁く。
「「は? 」」
俺と雄二が唖然とした。
「何で、こんなとこに? 」
由宇が驚いてる。
「二階堂やっと現れたな! 動くなっ! 」
今度ははっきりと叫んでいるのが聞こえた。
「何なんだよ、一体」
全員が目を凝らしていてやっとそれは見えた。
憲兵が居る。
服はボロボロだが、襟に付ける憲兵微章とボロボロの憲兵の腕章がそれを物語っていた。
コスプレイヤーと言うよりも、こちらの世界に紛れ込んで終戦も知らんで戦い続けているような、そんな感じだった。
まるで横井庄一さんのようだ。
その憲兵が南部十四式拳銃をこちらに向けて発砲している。
「何で、あんな人がいんの? 」
俺が唖然として呟いた。
「いや、でも、年代が合わなく無いか? 」
和弘おじさんがもっともな事を言う。
見えてる姿はおぼろげだが、壮年のように見える。
もし、いるなら百歳以上のはずだ。
「年代が合わないって心当たりがあるんですか? 」
由宇が訳の分かんない事を聞く。
「いや、戦前の憲兵の格好だから、戦後百年近いのにあんな年のはず無いじゃん」
雄二も突っ込んだ。
「いや、そうじゃ無くて、和弘おじさんの喋り方が心当たりがありそうだから」
「「え? 」」
たまに由宇は勘が効く。
女の勘よとか言われるのがムカつくので無視しているが、つまんない事で気が付くのは確かだった。
「ああ、聞いてた話だと、もっと古い年代なんだよね」
和弘おじさんが答えた。
「どういう事? 」
「ほら、高祖父が華族をそそうをやった形で辞めたと言ったろう。あの時、しばらくたって憲兵が乗り込んで来たらしいんだ。それでそれを入らずの山に誘導して出てこれないようにしてやったって話を聞いたことがあって……」
「ほほう。それはきっと恨みが凄いでしょうな」
雄二の顔が引き攣って答えた。
「そうよね。二階堂が来たなんて知ったら大喜びで殺しに来るよね」
由宇が微笑んだ。
なぜ、微笑むのか分かんないんだが。
「また、二階堂絡みかよ」
俺がウンザリする。
しかも、入らずの山に誘導とかえげつない。
「隠密行動してたらしいから丁度いいって引きずり込んだとは言ってた」
和弘おじさんがさらに物騒な事を言う。
笑えません。




