第五部 第八章 宿敵
せっかくのバーベキューも雨が強くなってきたせいで、段々雲行きが怪しくなってきた。
ブルーシートに雨が叩きつけるように降っている。
「やれやれ、酷い雨になって来たな」
俺が愚痴りながら肉を頬張った。
「おい……」
鉱山のカナリヤの雄二が刀をわきに置いて、じっと向こうを見ている。
「何だ? ゴブリンか? 」
俺が声を潜めた。
「違う、相当ヤバい奴だ」
雄二が刀の匕首を切った。
「マジ? 」
由宇が身構えた。
「むうっ! 」
非常食さんも察知したらしくて、こちらに寄って来た。
「なんだい? 一体、何がいるんだ? 」
和弘おじさんが動揺している。
お弟子のエルフさん達も弓矢を持ち出した。
「ふははははははははは。貴様とあろうものが人間と戯れるとはな。ピポポタマス-クニオコシ-ヤマトノオトコ-ヒムカ-クリオリリネストトギス-トリモリオス-ドラゴネスーオオクマノミコトよ」
雨の中から笑い声がした。
「き、貴様はヒプルルツムーナミオコシーオオクニードラゴリアートトルトウルーイセーナムチーササノオトーヒツルギーオオクマノミコトかっ! わしの名はピポポタマス-クニオコシ-ヤマトノオトコ-ヒムカ-クリオリリネストトギス-トリモリオス-ドラゴネスーオオクマノミコト-ニカイドウ四世だと言っておるだろうが」
非常食さんが激怒している。
「馬鹿め、わしこそヒプルルツムーナミオコシーオオクニードラゴリアートトルトウルーイセーナムチーササノオトーヒツルギーオオクマノミコトーニカイドウ四世だと言うに」
雨の中から、一本角の熊が現れた。
大きさは非常食さんと変わらない。
「ふざけるな。貴様にニカイドウ四世を名乗る資格などあるか」
「ふっ、笑わせるな。貴様こそ、ニカイドウ四世を名乗る資格は無い」
互いに罵りあっている二頭の角のある熊を唖然と俺達は見ていた。
「え? 山王さんって他にもいるんだ」
由宇が驚いた顔をした。
「「そんなわけあるかっ! 山王は誇り高き最強の角熊が唯一名乗れる名よっ! 」」
同時に二頭の角熊が叫んだ。
なんだ、種類的には角熊になるんだ。
山王はやはり最強の角熊が名乗る名だと言う事か。
それで納得がいった。
「貴様ごときがニカイドウ四世を名乗り、山王を自称するなどわしが許さぬ」
非常食さんと相対する角熊が断言した。
「ふはははははははははははははははははははははは! 」
非常食さんがおかしそうに笑った。
「何だ? 」
「馬鹿め。わしは貴様よりニカイドウ四世を名乗るべき理由があるのだ」
非常食さんがチラチラと俺を見ながら断言した。
参った。
凄い嫌な予感がした。




