第五部 第五章 姉御
そんな騒いでる間にエルフのお弟子さんの解体が終わったらしくて、由宇と非常食さんを非難するかのようにじっと見ている。
空気が重い。
「ああ、すぐ燻煙して、干し肉を作りましょう」
由宇が微笑んだ。
空気読めないのも凄いな。
非常食さんですら、ちょっと躊躇してんのに。
「まあ、と言う事なんで、私も甥達に一緒について行こうと思ってるんだが」
和弘おじさんがエルフのお弟子さん達に申し訳なさそうに答えた。
「いえ、先生だけ帰っていただくつもりでしたが、どうも、この世界全部に関わる大きな話の御様子。出来ましたら、我々もついて行きたいと思ってるんですが」
エルフのお弟子さんのリーダー格らしい人が答えた。
「ええ? 」
こちらの話の会話に参加して無かったのに話を全部理解しているみたいなので、由宇が驚いた。
「耳が大きいだけで無くて、元々狩人の特性も持ってるから耳が良いんだよ。エルフさん達は」
和弘おじさんが笑った。
「何か、大げさになって来たな」
雄二が戸惑ったような顔をした。
「まあ、実際、向こうの世界にとっても厄介な話だと思うからね。モンスターが向こうの世界に大量に入りこんだら大変だし」
和弘おじさんが真顔で答える。
ああ確かに。
ドラゴンなんか結構凄い火炎を吐いてたもんな。
結構、俺と雄二と和弘おじさんは深刻な話をしているつもりだった。
「いや、食糧足りないじゃん」
それなのに由宇が全然違う事を言った。
いや、そりゃ大事だけど。
「ええええ? 足りないかい? 」
和弘おじさんが鹿のモンスター三頭分と猪のモンスター三頭分の肉の塊を見て驚いた。
「いや、非常食さんなら、三日も持たないです」
由宇が答える。
「ああ、そうだな」
「確かに」
俺と雄二が頷いた。
「と言う事で、追加を獲って来て」
由宇が非常食さんにぞんざいに頼む。
「えええええええええええええええええ? また、俺かよ! 」
非常食さんが嫌な顔をした。
「特別なんでしょ。強いんでしょ。ミステリアスなんでしょ」
由宇が言うたびに非常食さんが頷いてる。
「だったら、さっさと行く! 」
由宇が森を指差した。
「ったく、山王扱いの悪い奴め」
非常食さんが愚痴って走って行った。
「速いな」
「本当だ」
俺達が唖然として見送った。
すでに非常食さんがパシリになっている。
「流石、姉御さんだね」
和弘おじさんが笑った。
「姉御、どこで燻煙にしますか」
「味付けするんですよね。姉御」
和弘おじさんのせいでエルフのお弟子さん達が一斉に由宇を姉御と呼ぶようになった。
「姉御じゃないっ! 」
由宇が叫ぶが姉御だよな。
うん。
姉御だ。




