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第四部 第七章 遭遇

 石と木で作った簡易のブルーシートテントの寝心地は最悪だった。


 非常食さんが凄いいびきで寝れたもんじゃない。


 逆に、このせいで敵が近づいて来ないのは良いがたまらない。


 この環境で寝れる由宇が羨ましい。


 とりあえず、横になって目を瞑ってただけの睡眠は終わった。


 朝が来たのだ。


「寝れた? 」


「いいや」


 雄二の問いに疲れた顔で答えた。


 しかも、いびきが終わってないし。


 雄二が奥で寝てた由宇の顔を突く。


「寝てるわ」


「すげぇよな」


 絶対、こいつの心臓は鉄で出来ているに違いない。


「そりゃ、姉御とか言われるわ」


 雄二が呆れたように呟いた。


「何じゃ、朝か」


 非常食さんが起きた。


 仕方ないので由宇を揺さぶって起こした。


「ええええ? もう朝? 昨日寝れなかったのに……」


 由宇が愚痴る。


「「嘘をつけ」」


 俺と雄二が突っ込んだ。


 最初から寝てたくせに、良くも平気で言いやがる。


「とりあえず、朝飯を獲ってこよう」


 非常食さんが呟いた。


 腹が減ってるらしい。


 昨日、あれだけ食べたのに、どんだけぇぇぇぇ。


「燻製とかもするから出来たら一杯獲って来てよ」


 由宇が平気で注文を付ける。


「分かった分かった」


 言いながら颯爽と走り去っていった。


 実は熊のスピードは速い。


 時速五十キロは出ると言われている。


 特に、非常食さんは本来は雑食で植物が殆どな我々の世界の熊と違って肉食らしい。


 だから、時速七十キロくらいで走れるようだ。


 そりゃ、獲物なんてすぐ捕まえれるよな。


「速いな」


 雄二が呟いた。


「熊は無茶苦茶速いからね」


 由宇が笑った。


「とりあえず、燻煙用の木を採ってこないと……」


 俺がそう呟いたら、白装束の修験者みたいな恰好をした人達が山からこちらに降りて来る。


「誰? 」


 俺が唖然とした。


「うーん。皆、エルフっぽいけど、真ん中の白髪の白い長い髭の人……仙人みたいな人は日本人かも」


 由宇が目を細めて見て答えた。


「マジか」


「日本人だって? 」


 俺と雄二がその集団をじっと見た。


 とすると、昔に修験者として入った人かな?


 格好が山菜取りにほど遠い。


「警戒した方が良いんじゃない? 」


 由宇がすでに鉈を構えた。


「いやいや、あの人達から殺意は無いけどな」


 雄二がそれを止める。


 鉱山のカナリヤさんの言う事だから間違いない。


「でも、もしも襲い掛かられたら私なんなら助からないよ」


 由宇が答えた。


 相手がなと俺と雄二が同時に思った。


 多分、これも間違いない。


 この辺は幼馴染だ。


 お互いに考える事は変わんない。


「何っ! 」


 由宇がイラッとした顔で俺達を睨む。


 まあ、俺達が思ったことを即分かると言うのも、幼馴染って事だな。


 さあ、どうしょう。


 非常食さんはいないし。




 

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