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第四部 第六章 誤算

「足りない……」


 全部食べ終わった後に非常食さんがポツリと答えた。


「は? 」


「いやいや、食べ過ぎじゃない? 」


 由宇も流石に突っ込んだ。


「いや、旨いから仕方ないだろ」


 非常食さんが答える。


 無茶苦茶やん。


「あれ? ホッキョクグマでも一日に十二キロくらいだよ」


 由宇が呟く。


 それの一回りくらいでかいにしても、食い過ぎじゃね?


「お腹は一杯に膨らんでますが……」


 雄二が突っ込んだ。


「だが、食糧とは食べれるうちに食べておかないとな」


 非常食さんが流石の野生の一言だ。


 確かに、備蓄をしないモンスターさんなら、それは正しいのだろう。


 特に、こういうサバイバルの状態では……。


 でも、俺達の備蓄が殆ど無くなってしまった。


 すでに、貰った食糧は尽きつつある。


 なんぞ、これ。


「いやいや、美味しいのがいけない」


 段々、非常食さんが由宇みたいな事を言い出す。


 どうしょうかと悩むくらいだ。


「もうちょっと、肉が取れなかったのか? 」


 俺が由宇に聞いた。


「結構、爪で引き裂いて殺してたんだよね。だから、傷のあたりは病気が心配だから、切り分けて捨てたし……」


 由宇が答えたところで気が付いた。


「俺、その爪で斬られているんだが」


「大丈夫でしょ」


「二階堂家は毒では死なない」


「いや、先生の言ってた話は良いから。先生はそもそも大げさすぎるんだよ」


「でも、二階堂のお祖父さん刺された時に相手は刃に毒塗ってたらしいぞ」


「たまたまだろ」


「いや、アンタもどぶの汚いとこで怪我した時も平気だったじゃん」


 由宇が余計な事を言う。


 嫌な事を思い出した。


 確かに、医者が俺は異常だとは言ってたが、まあ二階堂家だからなで終わる恐ろしい街に住んでいたのだ。


 何なんだよ、二階堂家って。


 本当にウンザリする。


「しょうがないな。その捨てた部分焼いて食べて貰ったら? 」


「もう、埋めたよ」


「マジか」


 やべぇ、どうしょうも無い。


「仕方あるまい」


 雄二が残りの塩漬け肉とかを全部出した。


 しょうが無いので由宇がそれを焼いて非常食さんに渡した。


「済まんな」


 非常食さんがそう謝るが、食料が殆ど無くなってしまった。


「とりあえず、明日はここを足場に狩りでもするしか無いよね」


 由宇が仕方なさそうに笑った。


 なんてこった。


「とりあえず、俺が一杯捕まえてくるわ」


 非常食さんが笑う。

 

 ひょっとして、非常食さんがついて来ない方が早く帰れるのかもしれないとマジで思った。


 


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