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第四部 第五章 大食い

「どうする? 」


「こっちから仕掛けるか? 」


 俺達がひそひそと囁き合った。 


「グォォォォオオオォ! 」


 そしたら、突然、非常食さんが吠えた。


 と同時に叢に飛び込んで行く。


 どうやら、覗かれているのを気が付いていたようだ。


 叢の中のゴブリン達が悲鳴を上げて蜘蛛の子を散らすように逃げてった。


 すげぇ。


 流石は山王(さんのう)の称号を持ってるだけはある。


 少ししたら、非常食さんが戻って来た。


「追い散らしたんですか? 」


「ああ、あいつら、昔に俺の縄張りの村の周辺に居たんだが、俺が潰して追い出したんだ。昔は五百位いたけど、今や数十匹だしな」


「え? 」


「焚火と匂いで寄って来て、俺が居たから警戒してたんだろう。俺が攻めたから、すぐ逃げやがった。良く追いかけて殺しまくってたから、今じゃ湿地の死体食いの土虫がいるとこにしか住めないようになってるんだが、それでもたまに出てきやがるからな」


 非常食さんが笑った。


 土虫と言うのは、恐らく、あのワームだろう。


 そうか、それで、あんなとこにゴブリンがうろうろしてたんだ。


「そういや、単位とか数字が私達の世界と一緒なんですね」


 由宇がそっちを聞くんだって事を質問した。


「ああ、昔に来た二階堂が教えてくれたからな。結構、それがいろいろと広まって使われてる」


 非常食さんが笑った。


 なるほど、それで単位とか微妙に同じだったんだ。


「にしても、良い匂いだな」


 非常食さんが串に刺して焼いている肉の匂いを嗅いで喜んでいる。


「もうすぐ、焼きあがるし、そちらもスープも出来そうだし、ご飯も出来そうだから丁度いいね」


 由宇が笑った。 


「いや、こちらはすでに明日の分なんだがな」


 などと思っているうちに雄二がささっとスープと飯を俺達の分を取り分けた。


 ちょっと早いかなってタイミングだが……と思っていたら、非常食さんが取り分けたと同時に中華鍋をガっと掴むと一気に飲み干した。


「ぷはぁ」


 そして、コッヘルの残りの飯も全部一飲みしてしまった。


 駄目だ。


 そして、串で焼けている肉を掴んで一口で食べた。


「確保! 」


 俺が叫ぶとすんでの所で、雄二が二本だけ俺達の分を確保した。


「えええ? もう無いのか? 美味しいのに……」


 非常食さんが大食いすぎる。


 駄目だ、全然足りないらしい。


「しょうがない、こちらの干し肉用の奴も食べよう」


 由宇が向こう側で若木の煙でいぶしてた肉を持って来て、焼き始めた。


 塩コショウでしょうがないから味をつけている。


 それを、片っ端から食べる非常食さん。


 やべぇ、飯が無くなる。


 全然足りない。


 その食欲に恐怖すら感じる状況になった。

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