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みんなの仮面

「それから、どうなったんですか……。社長はトモくんさんが来るまで、何をしていたんですか」

 わたしとトモくんの話を交互に聞いて、ますます困惑した顔でヨシカズくんが言った。


「喉が渇いているんじゃないか」

 そんなことを言ったのは、話を逸らしてごまかそうとしたわけではない。どちらかというと、じっとわたしの顔を覗き込んでいるヨシカズくんの視線から逃れたかったのだ。

 月日と共にやっと、自分のものと思えるようになった、この顔を。記憶が蘇り、一人お面をつけているような気持ちになって、居心地が悪くなった。さっき、トモくんは意図的にある事実を避けて話をした。


「僕は上司にえらく怒られたよ。勝手に友人を管理人小屋に住まわせていたってバレてね。それで、本土に連れ戻された。まあ、そうでなくても、もう島に常駐の管理人は必要なくなっていたけど。偽ミリオンバンブーは燃えてしまったしね……」

 トモくんがしんみりと言う。こんな時、マイペースな彼は本当にわたしの救いだ。


「せっかく収集したデータも持ち去られてしまったんだ」

 わたしも、気にしていない風を装って続けた。


「植物学者Aか、その助手が持ち去ったんですね」

「そう思う。彼らの目的はわからないが」


 そこで、わたしは言葉を切った。

 これからする告白に、他でもない、自分自身が一番怯えている。


「わたしは人を殺した――」


 トモくんにさえ、はっきり言ったことはなかった。

 二人とも、言葉を発しようとしない。予想していたということか。

 それどころか、瞳には同情の色さえ浮かべている。


「それは、植物学者Aのことですか」

 ヨシカズくんが淡々と言った。


「鳥が――いたんだ……」

 我ながら説明になっていないどころか、質問の答えにもなっていない。


「鳥とは、ビリオンバードという、あの鳥のことですか?」

 辛抱強く付き合ってくれるヨシカズくんの方が、ずっと大人に思えた。


「ビリオンバードではない。もっと普通にいそうな鳥だ。わたしも鳥に詳しいわけではないし、あの火災の最中だ。あの鳥も早く逃げなければ焼け死んでしまう――一瞬、気を取られた時だよ。植物学者Aがわたしに襲い掛かってきたのは」


「え……? 植物学者Aが?」

 ヨシカズくんが真剣な顔で復唱する。その様子が、なぜか面白くて思わず微笑んでしまった。


「やっくん、ふざけないでくれよ。君が植物学者Aに襲われたことは知ってる。けど、鳥のくだりとか、詳しいことは僕も聞かされていない。君が話したくなさそうだから、今までずっと尋ねることもしなかったんだ」


 トモくんには言えなかった。彼に軽蔑されることが怖かった。もし、全部さらけ出していたら、事態は変わっていたかもしれないのに。


「ごめん……。わたしの見た鳥はオシドリだと思うんだ」

 鈍いトモくんはうんうんと頷くだけだが、勘の良いヨシカズくんには思い当たったようだ。


「オシドリ……ラボ? 植物学者Aとその助手、彼らも異能ということですか?」

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