番外編:Airplain Rord
よう
久しぶり、日に焼けた?
そう…かな?
うん焼けた。それに肩幅広くなってない?
長い間見てねぇからそんな風に思うだけだろ
そんなもんかねぇ。自分じゃ意外と気付かないモンだよ、そーゆーのって
変わってないな、紀陽は
・・・それって貶してる?
いや、ホッとしたって意味だよ
私の運転する車の後部座席で、(私からすれば)大男が体を横たえて眠っている。
そりゃさ、今までアメリカで暮らしていて日本の運転免許取ってないのは分かるよ。
でもさぁ、恋人の運転する車で爆睡ってどうよ!!?
飛行機ん中で寝てたんじゃないの!?
そりゃ飛行機のエコノミークラスって、狭いし寝にくいしそんなにリクライニング倒れないし。
もしかしたら寝れなかったのかも知れないけどさ。
そこは助手席に乗ってお喋りしながら、お互いの時を埋めようじゃありませんか!??
どうもそこら辺が、男と女の感覚の違いってもんなのかなぁって思ったりする。
「……あれ、もう着いたの?」
「…ずっと寝てたアンタに言われたくないね、ちっとは起きてろよー」
「その口調も変わらないな」
ふいに柔らかな笑顔と共に、(まだ座っているから)見上げられたその目に、不覚にもドキッとしてしまった。
か、顔が赤いのは夕焼けのせいだーーー!!
「それよかスーツケースは自分で運んでよ、重たいから」
「へいへい」
私の住んでいるアパートは1DK、セキュリティー付き。女の子だからって事でセキュリティーは結構万全だ。
そのわりと自分では広いと思っている玄関やキッチンに、自分より頭2個分ぐらい背の高い男が居るだけで、家の中が狭くなった気がする。
…ってか、慶ソファでうとうとしてるし。車でも寝てたくせに。どんだけ寝るよ・・・。
ご飯、どうしようなぁ。
今まで和食全然食べてないわけだから和食にしようと思うけど・・・、今は春か…うーん。
あー! もう、めんどくさい。
「…で、結局白いご飯と味噌汁と鰆の焼き魚と漬物と納豆なんだ」
「う、五月蝿い!!! 文句言うなら食うなー!」
「いやいや、文句ではなく感想を述べたまでさ。ああ懐かしい」
セリフ、棒読みですが───。
あからさまな懐疑の視線を知ってか知らずか、パクパクとよく食べる彼。
ご飯のお代わりまで要求するとは・・・、亭主か!!!!
あっという間にたいらげて、お皿を洗おうとシンクの前に立ったとき、後ろから抱きしめられた。
「やっ! な、何!?」
いきなりの事に動揺して振り向こうとしても、がっちりとした腕はビクともしない。
「オレのこと、スキじゃなくなった?」
頭の上から、降ってくる声は切なく震えていた。
「スキ、じゃなかったら、家にも上げないし、ご飯なんて作らない…よ」
濡れていくお茶碗を見つめながら、回された腕に手をあてながら言った。
その途端、体がフワッと持ち上がった。
「え、ななななな何っ!? やめっ・・・」
器用に流しっぱなしの水も止めて、ついでに私の唇も奪ったこの男は満面の笑みを浮かべて。
「ありがとな」
それだけを呟いて、私をソファの上にそっと横たえた。
番外編はちょっとした自分へのプレゼントみたいなもんで(笑
ホントはもっと慶にヤらしたかったんですけどね。(変態!!!)
ま、Rかけてないんでこの位かな。