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2話 依頼

拙い文章ですが、よろしくお願いします!

それでは、お楽しみ下さいませ!

 仕事の日。それは一週間のうちたった一日だけの働かなくてはならない日である。だが、それはシンにとってはとんでもない苦痛であるらしい。


 仕事とは具体的に言えば冒険者業である。ギルドから依頼されるクエストをこなすことで、報酬を得るのだ。例えば街道に現れた魔物を倒したり、ポーションの素材となる薬草を集めたり。


 クエストは個人の依頼から国の依頼まで、多岐に渡る。報酬もクエスト毎にバラバラで、高難易度のクエストほど報酬は高く設定されてある。冒険者ランクに則したクエストを請け負う必要があり、自分のランクより高いランクのクエストを受けることはできない。


 クエストをこなしていけば、冒険者ランクは上がっていくが、逆に失敗すれば下がることだってある。冒険者は完全実力社会であり、命の危険もある仕事なのだ。


「ええっと、大丈夫ですか?シンさん……」


 苦笑いでシンにそう聞くのは冒険者ギルドの受付嬢のアリー。種族はエルフで、その美しさから男性冒険者からはアイドル的な存在として扱われている。エルフは長寿であり、外見の変化はほとんど無いので分かりづらいが、アリーはもう50年以上も受付嬢をやっているいわば、ベテランである。


 そんなアリーもこの状況には困惑するしか無かった。


「はい、大丈夫です。早速何か依頼(クエスト)を見繕って下さい」


 アリーの問いに返答したのはシンではなく、メイである。メイもアリーに負けず劣らずの美しさを誇る女性であるが、アリーは華やかな美しさという印象に対し、メイは氷のような冷ややかな美しさを持っている。人形のように表情をぴくりとも動かさないメイはちらりと()に目線を向ける。


「……ご主人様も早く仕事請けたいですよね?」


 アリーが困惑した理由がこれである。


「おいこら!メイ!早く縄解け!」


 シンが縄で縛りあげられていたのである。メイド服を着た華奢な少女が暴れる少年を引きずりながらギルドに入って来た時はそれは、もう全員が同じ事を思ったであろう。



「「「いや、どういう状況!?」」」



「…えっと…とりあえず…縄を解いてあげてはどうです…?」


 アリーの渾身のフォロー。


 このままでは周りの冒険者達が怖がって受付にこなくなってしまうからだ。


「そうだぞ!メイ!普通メイドが主人に危害を加えるなんてありえねぇだろ!」

「…じゃあ、ちゃんと働きますか?」


 シンは目線をそらす。もはや言うまでない。これがシンが縄で縛られている理由だ。実際の所、メイにとって主人を縄で縛るのは苦肉の策であった。だが、ここに至るまで3回ほどシンが逃亡を謀ったので仕方がないと言える。


「……依頼をお願いします」

「は、はい……。ではこれなんかどうでしょう?」


 アリーが見繕ってきた依頼は、人探しの依頼である。アリーは手に取った十数枚の依頼書をテーブルの上に順番に並べていく。


「……やけに多いですね」


 基本的に人探しの依頼はそこまで発注されない。街中で人がいなくなることは滅多に無いし、いなくなってもすぐにふらっと戻ってくることがほとんどだからだ。また、依頼時に発生する報酬、つまり依頼者側が依頼達成時に払う報酬は割高になっている。人探しの依頼はものによっては冒険者の労力が半端ではないことになるからだ。人探しは簡単に発注されることがない依頼の一つだ。


 しかし、そんな珍しい依頼(クエスト)が十数件溜まっている。この状況にはメイも首を傾げざるを得ない。


「もちろん、全部というわけではありません。どれか見繕って頂くかもしくはーー」


「アリー君少し待ってくれたまえ」


 冒険者ギルドが一瞬で鎮まり返る。入り口から大きな肩を揺らしながら一人の老人が歩いてくる。険しい表情を崩さない彼はそのまま受付の方へと近づいてきてアリーになにやら耳打ちをしていた。手には一枚の依頼書が握られている。


「……!?」


 アリーの表情が一変。口を抑えて目を丸くしていた。


「そ、それでは……」

「あぁ、早急に頼んだぞ」


 そのままその老人はその場を後にする。その場の全員がその老人を凝視しているには理由がある。彼はこの冒険者ギルドのギルドマスターだからだ。つまりはこの組織で最も偉く、権威がある人物なのだ。


 彼は滅多に顔を見せないので、何があったのかと皆が首をかしげる。


「ごめんなさい!シンさん!依頼はこちらでお願いします!」


 アリーは他の依頼書をどけて一枚の依頼書を差し出す。


 依頼は家出した貴族の娘の捜索。名門公爵家ーー【カッバーディー家】による依頼だ。貴族からの依頼なだけあって報酬金は金貨100枚とかなり高い。また優先度がかなり高い依頼であるので、朝一にギルドに訪れたシンとメイに見繕ったのだろう。


「良いですね。ご主人様、これにしましょう」

「……はい」


 シンにはもはや抵抗する力は残ってなかった。

ここまでご覧頂き本当にありがとうございます!

お楽しみ頂けていたら幸いです!

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