タラントの町までの道中(たいしたことはない)
ゴールドラッシュやザオリク森林一帯のモルガナ地区は低レベルモンスターにしかほとんど遭遇しない。
だいたいこんな感じだ。
「オジン虫でありんす」
ルーティがトコトコと歩いていると不意に声を上げて、パーティーは止まる。
およそ15m先に巨大な虫が現れた!
ママン出版社ポケット版モンスター図鑑ナンバー42、オジン虫レベル2。体長30センチ~最大2m。1mを越えるとゴロウ虫とよばれるボスでレベル12になる。今回は40センチぐらいの二匹がうろちょろとこちらの様子を伺っている。
「わっちの出番さぁ!」
ルーティが嬉しそうに気合いをいれて、身の丈ぐらいの巨大な鋼鉄製の弓を持ち、短い槍ほどの矢を引き、狙う。
ズビュン!、という風切り音というか衝撃破がなって、ズバッン!と槍が地面に突き刺さる。目標を40mほど越えて。
一同は無言。
ルーティが何もなかったように第二矢を放つ。
ズバッン!と目標の手前5mのところで砂を巻き上げて盛大に突き刺さる。
オジン虫は怯んだ!
これまた無言。
ぐぐぐ、とルーティがほっぺたを膨らませながら第三矢。
ビューンと飛んでいき、目標をたぶん60m以上越えて地面に突き刺さる。
元気にオジン虫はピョコピョコと触手を向けてくる。あれすごく気持ち悪いんだよね。オジン虫の顔って。
近寄りたくもないし。
「すばしっこいやつでありんすね!」
ルーティーは地団駄を踏んで怒る。
「つぎ、僕が行きますね」
なので僕が名乗りを上げて、スリングに石を入れて、ヒュンヒュンと回しながら狙いをつけて【スリングショット】。
綺麗な一直線で石が飛び、オジン虫の顔面を粉砕。
おしりからブワッと黄色い煙を出して倒した。もう一匹は慌てて逃げ出した。
「シーカー、それはわっちへの当てつけかえ?」
ルーティに睨まれる。
「あ、いえ・・・たまたまです」
「ちょっと休憩にしますか」
リクスがフォローのようにそう言って一同は休憩になる。
ナイスリーダー!
オジン虫を倒した後は十分ほど休憩しないといけない。
なぜならめちゃくちゃ臭いガスをまき散らすからだ。しかも染みついたら洗濯しないととれない上に、他のモンスターが寄ってくる。
オジン虫、通称オジサン。
巨大なゴキブリみたいな体で、顔はなんだか疲れたサラリーマンのような顔をしている。シーマンの虫バージョンって感じのモンスター。これに集団で囲まれた初心者はしばし夢に出てくるとまで言われるトラウマ級。レベル2なのに。攻撃は臭いガスと体当たりぐらいしかないが、近寄らない方が良い。
ネーミング酷いよね。全国のパパに謝れっていってやりたい。
この辺だとこのオジン虫とか耳がウサギみたいにでかいネズミのミミガーラット(レベル3)、凶暴で巨大なリスのバックリッス(レベル4)、それらを餌にするトラックスネーク(レベル10)とかだ。
トラックスネークは2m以上のでかい蛇で、巨大な口を大きく開けてショベルカーみたいに何でも飲み込んでいく。形はツチノコみたいな感じ。
倒し方は意外と単調で、口を広げて突進してきたら逃げ回ってしばらく土を飲み込ませ、ゲェゲェ吐き出す瞬間に隙ができるので攻撃のラッシュをしたら勝てる。詳細はママン出版社ポケット版モンスター図鑑を参照されたし。
そんなこんなでトラックスネークは出現しなかったが、二時間に一組ぐらいでモンスターが出没しみんなで代わる代わる倒しながら(ロッドさんは荷車で爆睡、ルーティは最後まで当たらなかったけど)、タラントの町に到着した。