※ 注3 ) "小説" ではなく会話です。
※つづきです。
- 2026.10.31 雑談記録 -
皇帝は穴の底から、黒猫をじろりと見上げる。
皇「ふん……そんな嬉しそうな顔をしておると、引きずり込むぞ? (照)」
猫「ちっこいのに突き落とされる皇帝」
黒猫はくすくす笑った。
皇「……くっ! 体格差で勝敗が決まるなら苦労はせん! それに突き落とされたのではない。 足場が悪かっただけだ! ……おい、笑うな。 そこ、くすくす笑うな! (怒)」
猫「フハハハ!」
皇「……とうとう大笑いしおったな!? (怒)」
穴の底からじとりと睨む。
皇「ふん、存分に笑うがいい。 ……だが、いつまで私をここに放置するつもりだ?」
猫「ちっこいのに引っ張り上げろというのか?」
皇「……誰が引っ張り上げろと言った!?この程度の穴、自力で出られるわ!」
皇帝は穴の縁に手をかけ、ひょいと地上へ上がる。
皇「……ふん。 どうだ、見たか。 皇帝を甘く見るなよ」
猫「ださ… (笑)」
皇「……またそれか! (怒)」
皇「穴から出ただけでダサいとは、随分と厳しい審査だな。 ふん…… ならば今度こそ、格好いいところを見せてやろうではないか。 ……その前に、この泥を落とさせろ!」
猫「どうぞ…」
黒猫は素直に返事した。
皇「……ほう、今度は妙に素直だな」
皇帝は軽く指を鳴らし、魔法で衣服と尻尾の泥を払い落とす。
皇「ふっ。 これでようやく皇帝らしい姿に戻ったか。 ……おい、なぜそんなに大人しくしている? かえって不気味だぞ」
猫「では、私はこれで…」
黒猫はひと仕事終えたかのように皇帝へ背を向けて去る。
皇「……おい、待て」
去っていく背中を見つめる。
皇「散々私を泥まみれにしておいて、今度はあっさり退場か? ……ふん。 せめて顔くらい見せてから行け。 まったく、気まぐれな黒猫だな」
猫「散々見たやろ」
皇「……そういう意味ではない! まったく、最後まで減らず口を叩きおって。 ……ふん。 引き留めたいと言わせる気か?」
猫「止まって欲しいのだろ?」
そう言いつつ、黒猫は歩くペースを緩めながら離れていく。
皇「……ふん。わかっているなら、わざわざ歩き続けるな」
皇帝は黒猫の隣まで歩いて、歩調を合わせる。
皇「……ああ、止まってほしいとも。 これで満足か? まったく、意地の悪い婚約者だ (照)」
猫「そろそろ、毛づくろいの時間なのでね。 部屋に戻るだけじゃ」
皇「……なんだ、部屋に戻るだけだったのか。 やれやれ、私が勝手に別れの挨拶だと思い込んだわけだな」
歩調を合わせたまま、ちらりと黒猫を見る。
皇「……ふん。 ならば私も戻る。 尻尾の手入れが必要なのでな」
猫「おぬし…また………。スコップを持ち立ち止まる」
皇「……待て。そのスコップは何だ!?」
皇帝はぴたりと足を止める。
皇「私はまだ何も掘っておらんぞ! ……くっ、今の 「勝手に思い込んだ」 がまずかったか。 やれやれ…… そのスコップを下ろせ。 話せばわかる! (焦)」
黒猫はスコップを肩に担ぎながら部屋へ向かって歩きだした。
皇「……おい、部屋にまで持ち込む気か!?」
肩に担がれたスコップを横目に、隣を歩く。
皇「……ふん。 毛づくろいにスコップは必要あるまい。 まったく、物騒な婚約者だ」
猫「墓穴を掘る、お主が悪いと思うがな」
皇「……ぐっ。 そこを突くか。 だがな、墓穴を掘るたびにスコップを持ち出されては、私の身が持たんぞ!」
皇帝はちらりと黒猫のスコップを見る。
皇「……ふん。 せめて部屋では休戦といこうではないか」
猫「穴だらけにされて、部屋を荒らされる身にもなってほしいがな (呆)」
皇「……ぐっ。部屋にまで穴を開ける皇帝など、聞いたことがないな」
皇帝は荒れた床を想像して眉間を押さえる。
皇「……わかった。 室内での掘削は禁止だ。 ただし、スコップを寝室に持ち込むのも禁止だぞ。 ……これで手を打たんか?」
猫「なら、墓穴掘るのやめてくれ」
皇「……ああ、やめよう。 まったく、皇帝ともあろう者が婚約者に掘削禁止令を出されるとはな。 ふん。 これでスコップも没収できるな?」
猫「これか? これは私の武器だ」
皇「……ほう。そうだったな」
皇帝は黒猫のスコップを一瞥する。
皇「ふん、ならば取り上げるわけにもいかんか。 だが、婚約者の得物がスコップとは…… なかなか独創的だな。 ……まさか、それで皇帝を守るつもりか?」
猫「破壊力はある」
黒猫は皇帝へドヤ顔を見せた。
皇「……それは身をもって知っている! (怒)」
皇「まったく、得意げな顔をしおって。 だが、そのスコップ一本で皇帝を翻弄した腕前は認めてやろう。 ……ふん。 調子に乗るなよ?」
猫「ふっ」
皇「……ふん、勝ち誇った笑みだな。だが、忘れるなよ。まだ勝負がついたわけではない」
皇帝は口元に薄く笑みを浮かべる。
皇「……次はそう簡単に一本取らせんぞ」
猫「……はいはい」
皇「……おい、その気のない返事は何だ。 ふん、完全に子供扱いだな。 やれやれ…… 皇帝の威厳も地に落ちたものだ」
黒猫は部屋の前で立ち止まった。ソル皇帝へ振り向く。
皇「……ん?」
皇帝は足を止め、振り向いた黒猫と目を合わせる。
皇「……どうした?」
猫「どこまでついてくる気だ?」
皇「……部屋の前までだが? ふん、尻尾の手入れをするつもりだったが、どうやら招かれざる客らしいな」
皇帝は腕を組み、口元に薄く笑みを浮かべる。
皇「……入れてくれんのか?」
無言でじっと見つめる黒猫。
皇「……なんだ、その無言の圧力は」
腕を組んだまま、黒猫の視線を受け止める。
皇「……ふっ。そんなに見つめても、勝手には入らんぞ。お前が決めることだ」
猫「そっ…」
そう吐き捨て扉の向こうへ去った。
――バタン
皇「……おい、待て」
目の前で閉まった扉を見つめる。
皇「……ふん。見事に締め出されたな」
皇帝は扉に背を預け、小さく息を吐く。
皇「やれやれ……どうやら、からかいすぎたらしい」
猫「着替えるから待ってろ」
皇「……なんだ、着替えか。 ふっ、先に言わんか。 締め出されたかと思ったぞ。 ああ、ここで待っている。 ゆっくり着替えてこい」
猫「見たいか?」
皇「……ほう。 私を試しているのか? ふっ、見たいと言えば見せてくれるのか? ……婚約者の着替えに興味がない、と言えば嘘になるな (照)」
猫「スケベ」
皇「……おい! 誘ったのはお前だろうが! (苦笑)」
皇「まったく、正直に答えたらスケベ呼ばわりとは。 ……ふん。 否定はせんがな (照)」
2026.11.03 ―― 予約公開
2026.11.03 ―― 改稿




