表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

open the story 003 二人目の足音

昇降口の床の上で健斗はしばらく立ち止まっていた。自分の足元を見ている。

 「これ、誰のだろう・・・」

黒いローファー、見慣れているようでどこか違う。きれいにも見える。

 「間違えたんだよな、俺どうしよう、名前書いてないし、放置するわけにもいかないんだよなぁ・・・・」と小さな声で呟いていた。


その時、別の声がした。

 「あの・・・・」小さな声、振り向くと一人の女子高生が立っていた。

 「それっ、私のです、多分・・・」

足元を指さした。


健斗は驚いた顔で、

 「えっ、あっ・・・ごめんなさい」と慌てて脱いだ。足元には違うローファーがあった。確かに、似てる。


どうやら、お互いに履き間違えたんだね。


僕は床に置かれ、ひんやりとした感触、別の足が入った。その足はゆっくりと慎重に体重がかかる。どこか震えているような足だった。


女子生徒は小さく「ありがとうございます」と言った。


二人は少し笑った。そして何も言わず歩き出した。コツコツコツ・・・。


 やがて夕方が近づき、空は少しオレンジ色になっていた。彼女はバス停まで歩きベンチに座る。ぽつりと甲のあたりに温かい雫が落ちた。


俯き、肩が少し揺れている。誰もいないバス停、小さく息を吸う音が伝わってきた。


 「ばかだなぁ、私」何かを後悔しているのか?、喧嘩したのか?


人の足には重さがある。

僕は涙を止められないし、言葉もかけられない。


しばらくするとバスが来て、彼女は立ち上がり、バスの階段を上がった。


僕は迷っている足と、泣いている足を知った。

僕の持ち主とは違う人生だと、感じる。


僕の経験値が増えた気がした。


そして、この後三人目の足に出会うことになる。



その足は夢と迷いの間で、立ち止まりかけていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ