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open the story 001 はき違えた朝

朝の下駄箱はいつも、少しだけ騒がしい。

 扉が開く音、笑い声、廊下を走る音、風が行き交う音。

 

 その中で僕はいつもの場所に並んでいた。


 黒いローファー、少しだけつま先に細かい傷がある。それは僕の持ち主が去年の冬、駅の階段で躓いた時にできた傷だ。


僕はその日から、その足の重さも、歩き方もよく覚えている。ゆっくり歩く人で、急ぎ足になることはほぼない。歩幅も小さめで、静かな音を残す。

 今日も同じ足が入ると、そう思っていた。


 だけど、その朝は違った。

突然知らない手が僕を持ち上げた。急ぐ気配を受信し、そのまま足が入る。


 アレ?僕はすぐに気づいた。違う、重さが、歩き方が・・・。持ち主の足はもっと静かだ。

この足は少し乱暴で、床を強く蹴るように歩く。下駄箱の扉が閉まり、足音は廊下へ向かっていく。声を出して、知らせることができない。履かれるまま歩くしかない。廊下を歩き階段を降りる。外へ。


初めての足は、早歩きだ。グランドの横を通り、校門へ向かう。

校門を出ると、アスファルトの道。コツコツコツ、僕はその音を聞きながら、履かれたその道を一緒に連なった。


持ち主の足に戻りたい、そう思いを抱えて、僕は歩いていた。



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