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君の魔法が僕の世界を変えていく。  作者: 月島
第三章 君が変えてくれた世界
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エピローグ 君の魔法が僕の世界を変えていく。

 体育祭が終わって、日常が帰ってきた。後片付けを済ませて、いよいよ一学期最後のホームルームだ。


「みんな、今日はおめでとう。手に汗握る戦いをありがとうな」


 泉が穏やかな笑顔を生徒達に向ける。


「明日からは、いよいよ夏休みだ。課題は先週配った通り。提出は夏休み明け初日だから忘れないようにな。それから、夏休み中も健康と安全には注意すること。特に、水難事故には気を付けなさい。いいな?」


 泉の言葉に、生徒達は元気に返事を返した。


「では、気を付けて帰りなさい。いい夏休みを。さようなら」

「さようならー」


 挨拶が終わり、教室が騒がしくなる。友人同士で話す者、部活のチームメイトと夏休みの予定を確認する者など、様々だ。

 そんな中、ふわりはテツの席に向かい、彼に笑顔を作りながら尋ねる。


「テツ君、2人で帰らない?」


 ふわりの申し出に、テツも笑顔で頷いた。


「いいよ。一緒に帰ろう」


 2人は鞄を持って、並んで教室を後にした。




 夕方の帰り道を2人で並んで歩く。商店街を抜けた先にある河川敷に差し掛かった時、ふわりはゆっくりと歩みを止めた。


「ねえ、テツ君。今日、楽しかった?」

「うん。すごく楽しかったよ。体育祭って、こんなに楽しいものだったんだね」


 テツは明るく笑いながら、ふわりを見て……目を丸くした。


「じゃ、じゃあ……素敵な思い出に、なったかな……」


 そう言いながら、ふわりは溢れる涙を必死に拭っていたのだ。それを見て、テツは戸惑う。


「ふわりさん、大丈夫?」

「うん……。ご、ごめんね。最後まで、笑顔でいたかったんだけど」

「最後……?」

「……テツ君、転校しちゃうんだよね? 昼に、泉先生と話してたでしょ。だから、今日で最後だから……テツ君の記憶の一番新しい私は、笑顔でいたいなって、思って……」

「ふわりさん……」


 テツは驚いた顔をした後、表情を和らげて、ふわりの涙を拭った。


「転校、しないよ」

「え……?」


 目を丸くするふわりに、テツは穏やかに微笑んで続ける。


「本当は、家族で母さんの実家に引っ越すつもりだったんだ。だけど……無理言って、僕だけ初風市に残ることにしたんだ。この街でできた、大切な人たちと……卒業まで、一緒にいたかったから。全部、自分で決めたんだよ」


 テツはそう言って、ふわりに明るく笑いかける。


「昔から、他人に合わせて嘘をついて流され続けてた僕が、初めて決めたことなんだ。ふわりさんのお陰で、決められたんだよ」

「私の、お陰……?」

「うん。ふわりさんが、僕を受け入れてくれたこと。僕に優しくしてくれたこと。笑顔と、言葉……君がくれた何もかもが、僕の世界を変えてくれた魔法だったんだ。僕に、自分の力で前に進む力をくれた、大切な魔法だったんだよ」


 テツはふわりの手を握って、微笑む。


「君と一緒にいれば、僕の世界は、これからもずっと、キラキラ輝いているんだと思う。だから……これからも、ずっと一緒にいてくれるかな」

「テツ君……」


 ふわりは涙を拭って、明るく、お日様の光のように明るく笑って頷いた。


「うん。これからも、ずっと一緒!」



 ──大切な人の笑顔と温もりで、この世界はできている。

 「愛」という魔法があれば、たとえ未来に何があろうとも、この世界は穏やかな幸せを紡いでいくことだろう。

 どんなに年月が過ぎても、この優しい魔法は色あせない。

 これからも、ずっと。


 君の魔法が、僕の世界を変えていく。

 『君の魔法が僕の世界を変えていく。』をお読みくださった皆さん、こんにちは! 作者の月島です。


 まず、28万文字という長文を最後まで追いかけてくださり、本当にありがとうございました。読者の皆さんに支えられて、なんとか最後まで書き切ることができました。


 次に、本編を読んでキャラクターを好きになってくださった皆さん。本当にありがとうございます。


 最後に、『君の魔法が僕の世界を変えていく。』という物語を楽しんでくださった皆さんにも、感謝の気持ちをお伝えしたいです。本当にありがとうございます。


 『君の魔法が魔法が僕の世界を変えていく。』(以下、きみまほと略します)は、「魔法」を巡る物語です。


 物語の中で、かつて迫害され愛する者を殺された魔法使い側……グリフィン・ルイスの復讐と、魔法使いに愛する父を狂わされた木村琉貴の復讐がぶつかり合います。そして、2人のことを救ったのは、ふわりの「愛の魔法」でした。


 私たちは生きた人間で、考え方も生まれも育ちも違うため、時として憎しみ合うこともあります。それによって、誰かと対立し、相手を傷つけたり、逆に傷ついたりすることもある。仕方ないという言葉で片付けたくありませんが、人間である以上どれも起こり得ることなんだと思います。

 それこそ、魔法使いと普通の人間が対立したように。


 ですが、そんな私たちにも、出来ることはきっとあると思うんです。

 それが、「魔法」を使うこと。


 本編で、ふわりも言っていましたが、愛情も微笑みも……この世界における「思いやり」は、等しく「魔法」と呼べるものだと思います。


 思いやりという魔法があれば、完璧な平和とまではいかなくても、今よりほんの少し、世界は優しくなるかもしれない。

 全人類に優しくするのは難しいです。でも、目の前の大切な人を笑顔にするために「魔法」が使えたら、きっと素敵だと思います。

 テツとふわりが、「魔法」で、お互いの世界を優しいものに変えていったように。


 この物語も、私から皆さんへの「魔法」のつもりです。

 きみまほを読んで下さった皆さんの世界が、少しでも温かいものに変わったのだとしたら、これ以上幸せなことはありません。


 改めまして、きみまほを最後までお読みくださりありがとうございました。

 少しでも楽しんでいただけていれば嬉しいです。

 もし機会がありましたら、また別の作品でお会いできればと思います。


【追記】

こちらの作品は、エブリスタとNolaノベルに投稿したものを少しだけ加筆修正したものです。そのため、章立てや文章がそちらとは異なる箇所があります。ご了承下さい。


2026.5.6

月島

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