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少子社会の設計図  作者: カトーSOS


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5-1

5-1 消費税には「建前」が存在する



第4章までで、少子化は意識の問題ではなく、制度によって作られた結果であるという前提は固定された。将来予測不能な不安定さが、結婚と出産という長期選択を止めている。そしてその不安定さを増幅してきた装置として、派遣と消費税が存在することも確認してきた。


しかし、第5章ではこの二つを同列には扱わない。


ここは重要な整理になる。


消費税には、少なくとも公式の「建前」が存在している。社会保障財源という名目であり、制度の目的が明文化されている。賛成か反対かという議論は当然あるし、制度設計の問題点を指摘することもできる。しかし少なくとも、「何のために存在する制度なのか」という問いに対して、政府側は説明を持っている。


つまり消費税は、議論の対象になりうる制度である。


正しいかどうかは別として、政策としての目的は掲げられている。社会保障を支えるため、財政の安定を図るためという説明があり、その是非を巡って社会的議論が成立している。


ここで重要なのは、消費税を擁護することではない。


むしろ逆である。


消費税には建前があるからこそ、議論が可能なのだ。制度目的が明示されている以上、「その目的に対して効果があるのか」「別の方法があるのではないか」という検証ができる。制度としての説明責任が一応は存在するという点は、次に扱う派遣との決定的な違いになる。


第4章では、派遣と消費税が結合したときに生まれる不安定装置を見てきた。その結合は確かに強力であり、生活の予測可能性を削る方向に働いている。しかし、だからといって「全部同時に壊せ」という結論に飛びつくのは短絡である。


制度は、それぞれ性質が異なる。


同じように社会に影響を与えているように見えても、設計思想や目的、変更可能性は同一ではない。ここを整理せずに議論を進めると、改革は単なる感情論になる。


消費税は、少なくとも建前を持つ制度である。


建前という言葉には、しばしば否定的な響きがあるが、制度においては重要な意味を持つ。建前があるということは、制度の存在理由が言語化されているということだ。言語化されている以上、その合理性は検証できるし、必要であれば修正も可能になる。


逆に言えば、建前が存在しない制度は、検証の入り口すら持たない。


本章の目的は、まさにその違いを明確にすることにある。


第4章で見た不安定装置の中核を特定するためには、まず整理が必要だ。消費税をめぐる議論は多く存在する。増税か減税か、社会保障との関係はどうあるべきか、逆進性はどう扱うべきか。これらはすべて議論可能な領域にある。


だが、次に扱う派遣はどうだろうか。


それは、何のための制度なのか。


誰の生活を安定させるための仕組みなのか。


その問いに対して、消費税のような明確な政策目的は提示されているのだろうか。


この疑問から、第5章は始まる。

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