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3.vs害獣

 

「新しく育て始めたサツマイモときゅうりも元気に育っているな」


 ポイントを手に入れる手段が判明したタケルは、追加でサツマイモときゅうりの種をギフトボックスから手に入れていた。それらの野菜も相変わらず一晩で育てることができていた。


「ん?これは……」


 明らかにきゅうりの一部が、誰かに食われた跡があった。幸いジャガイモとサツマイモは地面に埋まっているおかげか、被害はないが、きゅうりとトマトはいくつかやられていた。


「害獣めぇ!」


 タケルは静かな怒りを覚えた。人が丹精作った野菜をどっからともなくやってきた獣が横取りする。これを許せるだろうか?いや無理だ。それにこれはまだ女神様にお供えする前のものだ。なおさら許せないだろう。


「こうなったら戦争だ……正義は我にあり!」


 こうして、タケルと害獣の戦争が始まった。

 本来であれば日中は畑の拡張のために木を切り倒しているが、今日はやっていない。一人森の茂みに隠れて、自分の可愛い可愛い野菜たちを見守っている。これはおとり作戦だ。おいしい野菜を餌にそれに引っ掛かる害獣を呼び寄せるという作戦だ。この作戦は間違いなく成功するとタケルは確信している。なぜなら自分が作った野菜は最高にうまいと思っているからだ。


「さあ、いつでも出てこい」


 そこに一匹のイノシシがやってきた。森の中を歩いていたらなんかスゲーおいしそうな食い物がある場所にたどり着いちゃったよ感をイノシシは出しているが、間違いなく狙ってきているとタケルは感じた。

 食べなければスルーするとタケルは一人心の中でつぶやく。

 そんな声を無視するかのようにイノシシはきゅうりを食べようと口を開いた。


「おらの野菜を盗んでる奴はおめーか?」


 タケルは一瞬のうちに移動をし、鍬をイノシシに振り下ろした。そして、その一撃で息の根を止めることができた。


「お前たち。敵は取ったぞ!」


 タケルは自分が育てた野菜たちに声をかける。


「この戦争俺たちの勝利だ! 宴じゃあ! 祭じゃあ!」


 こうしてタケルの害獣との戦争は終わった。そして、タケルは一人無駄にテンション高くその肉を焼いて食って寝たのであった。




 翌朝。

 寝起きで目をこすりながら、畑の方を見てみると、そこには鳥が群がっていた。


「うらああああああああああああ」


 タケルは一人畑の方に走っていくと、鳥たちはあっという間に飛び去って行った。そして畑の野菜たちを確認すると、鳥がちょっとつついたからなのか、実が落ちてしまったトマトやキュウリが落ちていた。


「うわぁ、うわぁ」


 あまりに悲惨な状況にタケルは思わず言葉を失ってしまった。百歩譲って食べるならいい。だが落として食べないのはなしだろ。

 昨日以上に怒りが湧いてきた。


「おらの野菜を台無しにするやつは絶対に許さねえだあ!」


 こうして鳥との戦争が始まった。

 鳥はやたらと警戒心が強く、隠れていても近づくとその前に飛び立たれてしまう。遠くから魔法を撃っても、命中精度が悪く簡単によけられてしまう。鳥の相手ばかりをしていることもできないので、タケルは一人畑の方を警戒しながら木を切っている。たまに鳥が上空の方を飛んで様子を見ているような気がする。これは持久戦だな。

 そんなことを思っているタケルの耳にガサガサと草木が揺れる音がした。何かやってきたのかとその方を見てみると、何かを加えた白い狼がいた。


(こいつもおらの野菜を……)


 警戒したまなざしで白い狼を見ていると、加えていたものをタケルの近くに置いていった。それは何か梨かリンゴのような果物だった。そのあとトマトのところに行って鼻をちょんちょんとしている。

 まるで果物とトマトを交換しようとでも言っているかのようだった。

 思わず笑みを浮かべるタケル。


「分かってる奴は嫌いじゃねー。いいぜ。物々交換成立だ」


 そういって狼が置いていった果物を受け取ると、狼もトマトを一つ取ってどこかに行ってしまった。


「全くあいつらにも見習ってほしいくらいだ」


 そういって鳥どもをにらみつけた。




 次の日。

 相変わらず鳥どもを警戒しながら、収穫作業をしていると、一匹の狼がやってきた。おそらく昨日来た奴だ。また昨日と同じ果物を持ってきていた。


「今日も物々交換か。ちょっと待ってろ。こっちのトマトの方がうまいぞ」


 そういって一つのトマトを収穫して、狼に渡してあげた。すると、狼は小さくお辞儀をして去っていった。

 そのまた次の日。


(今日もあいつはやってくるのかな)


 そんなことを考えながら、今日も収穫作業をしていると、ガサガサっと近くの草木が揺れる音がした。


「おっ来たか」


 タケルの予想は的中で今日も狼がやってきた。しかし、いつもと違って加えているのは果物ではなかった。


「まさか! まさか! お前ってやつは!」


 その狼は憎き鳥の一羽を狩って持ってきていたのだ。タケルはあまりの嬉しさに目に涙を浮かべ、狼を歓迎するかのように膝をついて手を広げた。そして、その胸元に狼は飛びついてきた。


「よーし、よしよし。よーし、よしよし」


 そういってタケルは狼を撫でまわす。ただの物々交換の相手がこんなにかわいく思えるなんて。そして、ある考えがタケルの頭の中に浮かんできた。


「なあ、一緒に俺と暮らさないか?」


 タケルは狼の目を見て話す。


「わん」


 狼は了解と取れるような返事をした。


「よし、それじゃあ一緒に暮らすか」


 そういって再び狼を撫でまわすと嬉しそうに受け入れる。


「お前の名前はあるのか?」

「わん?」

「ないのか。それじゃあ、俺が名前を付けるけどいいか?」

「わん!」

「それじゃあ、お前の名前はラグナだ」

「わん!」


 嬉しそうにしっぽを振るラグナ。タケルは喜んでくれたようで内心ほっとしている。


「よし、これからお前の仕事は見張りと狩りだ。憎き鳥どもから作物を守ってくれ。その代わり俺の作った作物は食い放題だ!」

「わん!」


 元気よく返事をするラグナ。与えられた仕事に対してやる気満々な様子だ。


「くくく、鳥獣ども。俺は最強の味方を手に入れたぞ。震えて眠るがいい! がっはっはっは!」



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