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34.間章 女神アメリアのミス

 

 タケルとセラフィナが出会った頃の神界にて、アメリアはいつものように捧げられた食べ物をつまみながら、タケルやヤマトの町が映った画面を見ている。


「どうしてあの子がここに?」


 アメリアはなぜセラフィナがこんなところにいるのか分からなかった。女神が神託を出す聖女はほとんど神殿の中にいる。せいぜい外出したとしても聖都リンドールの中だ。


 しかし、アメリアはグリムヴェイル大森林に近い辺境都市オルドンにいる。その理由が分からなかった。


 しかも、様子を見るに結構貧しい生活をしている。聖女となればそれなりにいい暮らしができたはずだ。こんな雑に扱われることなどなかったはずだ。


 そんなことを考えながらも画面を見続けていると、すぐにその理由が分かった。


「……私は元聖女でして、昔は女神様の声が聞こえたのです。それが近年全く声を聴くことができなくなってしまったのです」


 とセラフィナが言ったからだ。


「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」


 セラフィナのセリフを聞いて思わずアメリアは声を上げた。


「忘れてたわ……」


 アメリアは年に一回は神託を授けていた。しかし、近年異世界転生システムを開発したり、タケルの様子をだらだらと見たりするのに忙しくてすっかり忘れていたのだ。


「追放されたの明らかに私が原因じゃない……」


 もちろんこれまでにも忘れたことはあった。しかし、その時たいていの聖女は当たり障りのない祝辞の言葉を伝えて聖女のお役目を続けていたのだ。


 実際、アメリアも特に伝えることがない時は適当な祝いの言葉を言っていることが多い。そしてそれは記録として残っているため、それを参照していたのだ。


 しかし、セラフィナは真面目過ぎたために、そのようなことはせず、女神様から神託がないと言い続けてしまったのだ。自分が追放されるような状況になったとしても。


「もうちょっとうまく立ち回ればよかったのに……」


 アメリアとしては別にそれほど神託を重要視していない。明らかな嘘を言われたらむかつくが、当たり障りのない祝いの言葉を言って聖女としての役目を続けるのは全然かまわない。


 むしろ、セラフィナにもそうして欲しかったくらいである。そう簡単に神託のスキルを授けることはできないのだから。


「まあ、でも、それはそれでかわいいわね」


 セラフィナが神託を偽らなかったのは、女神アメリアに対しての信仰心からだ。自分のことを慕ってくれる子はつい可愛がりたくなるものだ。


「なんかうまいこと言って褒美を上げるのがいいわね!」


 こうしてアメリアはセラフィナに褒美を上げることで自分のミスを隠したのであった。


「タケルへのシステムを流用すればいけそうね。さて、時間もあまりなさそうね。一気にやるわよ!」


 アメリアはセラフィナに渡す褒美を作るために作業に入った。


「ふう、これで完成ね。……ふっふっふ、喜ぶ顔が目に浮かぶわ」


 このようにしてセラフィナへの褒美が作られたのであった。






 それからアメリアはルンルン気分でタケルやセラフィナ、ヤマトの町が映った画面を見ているが、再び問題が起こった。


 それはセラフィナが神殿に戻されるというからだ、


「許せない!」


 これにはアメリアも怒った。お気に入りの子を人ごときが私欲で奪おうなんぞ絶対に許せない。


 しかしアメリアが自分の世界に干渉しようとすると、被害がデカくなる。どれだけ細心の注意を払っても町一つはつぶれる。人一人だけをピンポイントに狙うどころか、神殿レベルでも難しい。


「タケルに頼もうかしら……」


 もしかしたら自らの意志で行く可能性もあったので、しばらくは様子を見ていたが、アメリア教ということもあり、尻込みしている様子だった。


「まあ、私の名前が付いた宗教なら尻込みするのは当然ね。ここは神である私が許可を出すしかないようね!」


 こうしてアメリアはクエストを発行した。


 それから無事セラフィナがヤマトの町に残ることが決定した。当然そうなるようにアメリアも手を貸した。


 これはこれでアメリアにメリットがあるのだ。


「さて、今日も神託を出そうかしら」


 そう言ってアメリアはお供え物をして祈りを捧げているセラフィナとのパスをつなぐ。


「セラフィナ、聞こえていますか?」


「っ! はい!」


 突然のことに驚きはするが、セラフィナは返事をする。


「これからお供え物をするときには、甘味を多く出すのです。いいですか? 甘いものが大切です。普通のご飯もいいですが、必ずデザートをつけるようにしてしてください」


「わ、分かりました!」


「ええ、頼みましたよ」


 そう言ってアメリアはパスを切る。


「ふぅ~、ようやく要望が出せたわ」


 お供え物をして祈ってくれるだけでもうれしいのだが、それはそれとして、もっと甘味が欲しかったのだ。なかなかその要望が出せずにいたが、セラフィナが来たことで要望を出すのが簡単になった。


「甘味♪ 甘味♪」


 そして今日は少し気分よくタケルたちの様子を見ているのであった。




4章終了。。。


執筆のモチベアップのためにもブクマや評価、レビューをお願いします!!!


2週間ほどお休みします。5章開始は10月23日予定。


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