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思考のネストーーただ余白だけあればいいーー【創作活動エッセイ集】  作者: Nova
Ⅰ. Interception ――遮断――

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3/3

3.いいねと感想は同じ価値なのか

高校生の頃、ダンス部に所属している友達がいた。

彼女はそのクラブで、『ハウス』というジャンルをメインで踊った。

比較的大人数のクラブであり、文化祭では複数ジャンルを披露するほど活動的なクラブであった。


ダンスは詳しくなかった私だが、その同級生のダンスがとても好きだった。

普段はどこかぼんやりとしていて、授業中も机に突っ伏して寝ているようなマイペースな彼女だが、ステージ上ではものすごく速いステップを難なくこなしてみせるところが、クールでかっこいいなと思っていたのだ。


しかし私はそれを伝えず、眺めて終わった。

その時の私は、伝えるほどのことではないと遠慮するどころか、自分がステージ上の彼女を常に追いかけていることを、伝えようという発想にすらならなかったのだ。


その子が引退した後に、私はその子も含めた4人くらいのグループで、お昼ご飯を食べていた。

ひょんなことからダンス部の活動の話になり、私は「実はずっと好きで陰ながら応援してたんだよね」と彼女に伝えた。

彼女はいつも通りのぼんやりとした顔を驚いたようにぱっと上げ、「在籍中に言ってくれたらファンサしたのに!!」と、大きな声でそう言った。


私たちはお互いに笑い合ったが、ファンサ(ファンサービス)という概念をその時初めて知ると同時に、活動中に伝えてあげなかったことがほんの少しだけ悔やまれた。


何も、私自身がファンサをもらえることを期待したわけではない。

もらえたはずのものがもらえなかった悔しさではなく、ファンの存在を知った彼女がもっと輝いていたかもしれない過去を想起したのだ。

それはとても、いいことだろうと私は思った。


高校を卒業して長く経ってしまった今、彼女がどうしているのかは知る術がないが、今でもどこかで踊ってくれていたらいいなと思ってしまう。

少しだけ切ない記憶となった。


大学の時、今度は私が言われる側だった。

小さなサークルだったがミュージカルサークルに所属しており、未熟ながらも人前で歌を披露することが多々あった。


ある講義で、期末試験の代わりにみんなの前で歌を歌い、それを単位のためのポイントにしようという課題があった。

それ自体はやりたい人のみの課題であり、私も単なる物好きとして歌を歌った。


実のところ、歌自体がそんなにうまかったとは思わない。

声量はあって演技もしているが、音程を外しているところも多かった。

ただ堂々としているだけマシなような出来栄えだ。


しかしながらなんの因果か、大学祭の受付をやっていた学生に、「本当に感動しました!これからも頑張ってください!」と前のめりで告げられた。

当時の私が驚いたことは言うまでもない。

その学生とはそれまで一度も話したことがなく、ただ同じ講義を取っていたという関係でしかなかったのだから。


そんないくつかの経験も相まって、私はしばしば感想を伝えることの意味について考える。


感想を言うのは簡単ではない。

自分の感じたことを上手くまとめるのも難しく、伝えたことで喜ばれるどころか、拒まれる可能性すらないわけではない。


私もカクヨムでの活動の最中、読んだ作品に自分から感想を残すことも多々あるが、慎重に伝えた言葉が意図しない意味で伝わってしまい、悲しくなることも少なくはない。

また、相手が自分の感想にどんな思いを抱いたか不安になることも多くある。


そんな心理的ハードルを、すべての人に越えろと言うのはいささか酷なことだろうと私は思う。


しかしだからこそ、むしろ心理的ハードルの低いリアクションであるいいねと、感想コメントの間の超えられない壁が見えてしまうような気持ちにもなる。

作家として、全てを好意的に受け止めようとは思っているが、いいねだけよりはやはり感想も述べてくれた方が嬉しいという気持ちもあるものだ。


ただそうなると今度は、かつての私のように慎ましく眺めているだけの読者の存在を透明化し、その価値を低く見積もってしまうことにもなるだろう。

それもまた一作家としては、してはならないとも思っているのだ。


作家側は常に、読者の存在を見ている。

一作家として、あなた方の中で私の作品に触れる時間が、少しでも良いものであればいいなと願っているのだ。


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