第21話
遅くなりました。少し短いですが更新します。風呂敷を広げすぎたのか、難産でした。これからどうするべきか……。
今は二千字あたりを目安にしていますがどうでしょう? 少ないですかね? 普通がどれくらいか分からないので。
矛盾点や気になったところなどがありましたらお教えください。
……約三千年前、世界は今とは比べ物にならないくらい平和だったらしい。魔物なんてものは存在せず、人々は魔法こそ使えなかったものも、科学という文化を発展させて不自由なく生活していたそうだ。今では信じられないことだが。
そんな中、平和だった世界へ突如隕石が衝突した。回避は不可能だったらしい。そして起こった。地殻変動、気象変化、人間の身体能力の向上、魔力の発露。
かつて数十億はいたとされる世界の人口は数億まで激減し、残った人間は自身の体や世界に起きた変化に戸惑う。遠くに浮かぶ筈の島々は一つになり、世界中の人間が一つの大地に立つようになる。
混乱の時代、災厄の一年。今はそう呼ばれる昔。そこに、突如怪異が出現した。
今では魔物と呼ばれる存在。それは世界中でほぼ同時に、多発的に出現したらしい。
人口は激減し、残った人たちも疲弊しきっていた。そこに突然現れた魔物。人々も銃という弓矢の様な武器で初めは応戦していたらしい。しかし、弾の枯渇や銃弾を通さない甲殻を持った魔物の出現に、徐々に、しかし確実に人類はその数を減らしていたそうだ。
そこに舞い降りたのが最古の龍、場所によっては龍神なんて言われている存在だ。
龍神はどこからともなく現れ、人々に魔物に対抗するための魔法の理を残した。
人々に魔法を授けた龍はどこかへ飛んで行き、それ以来姿を見せることはなかった。
……これが、歴史に語られる最初の龍だ。
エキドナさんがそうだというのだろうか?
後に発見されたヴィーヴルやギーブル、ワイバーンなどといった龍種は人間の敵である。
襲い、食し、殺す。魔物の中でも特に強力で、特に恐れられる存在だ。
かつて人を救った生き物が、人を殺す生き物を産み出している……?
「ほえ? どうしたんです? 変な顔してー」
そんな風に考えていると、ウルから声がかかった。
首を傾げる姿が、子供だという話を聞いてからは一層可愛らしく見える。
「い、いや、俺が殺したワイバーンとかも、エキドナさんの子だったんだなーと思ってさ」
ウルの質問に、慌てて考えていたことは別の事を答える。咄嗟に出た言葉ではあったが、そう考えるとワイバーンを砕いた時のエキドナさんの様子にも納得できる。
悲しそうな顔をして、それでも微笑みながら、俺にありがとうと言ったエキドナさんを思い出す。
「そうですねー。まあ気にすることもないですよー。所詮あいつらは人語も解せない下等な存在ですー。力はあるくせに食欲ばかり優先するダメな子らですよー」
全く……本当に……馬鹿なんですから……
小さな声で俯きながら、ポツリとウルが呟く。龍となった体は聴覚までも大幅に強化されていたようで、少しだけ寂しげなその声も容易に拾う事が出来た。
悪態は吐いても同じ龍、ウルにとっては兄弟とも言える存在だ。色々と、感じることもあるのだろう。そう小さくつぶやいた彼女は急に顔を上げ、こちらを見て笑う。
「母さまは全ての龍を愛していますから、そんな子らの死にも悲しみはしますけどねー。新しい龍の誕生に、きっとそれ以上に喜んでいますよー」
もちろん、我も嬉しく思いますよー。
俺は家族の前でその家族を殺してしまったのだ。その事実に少し落ち込んでいた自分に、ウルはそう言った。
恨まないのか?
泣いてしまいそうな感情に支配されながら、漸くその言葉だけは発することができた。
「恨む? 何故ですかー?」
心底不思議そうな顔で、ウルは俺にそう尋ねた。
「だって俺……たくさん殺したし……多分、これからも殺すから……」
エキドナさんの子だと聞いても、ウルと兄弟だと聞いても、それでも強くなるために、龍と戦う事を辞めるわけにはいかない。
だとすれば、俺にとって黒鎧が敵であるように、二人にとっても俺は敵なのだ。
「何を言ってるですかー。龍はタダじゃ死なないです。強きものを愛し、強きものの血肉となる。それが龍なのですよー? あなたがこれまでに殺した龍はあなたの肉に、あなたがこれから殺す龍は、あなたの血になる。それだけの話ですよー。あなたはもう龍なのです。あの子らの生まれ変わりなのです。祝福はしても恨むなんてことはしないですよー」
その考えは即座に否定された。
理解したが、理解できない。
まあ種族ごとに違う考え方を持つのは当然のことだ。そう思うことにした。
「それが、龍の考え方ということ……?」
「ですよー! あなたも龍に、母さまの子供になったですー。産み出す母さまが産まずに産まれた最初の子ですよー。納得はできなくても、理解はしてくださいねー!」




