表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/38

11 三年の変化

 十歳という節目を迎えるあたりから、急激に身長が伸び始めた成長期のレインです。

 

あれから村の状況が大きく変わって……ということも無く、修行をしながら森でたまに魔物を狩ったりしていますが、勿論無理はしていません。


 気を改め魔力ですが、これに詠唱を加えた魔法は凄く便利だ。

 料理で使う水の入った瓶は、以前は少し臭かった。

 そこで瓶に入っていた水を捨ててから〔クリーン〕を掛けると全く臭いがしなくなったのだ。

 そこに〔ウォータ〕で瓶に水を注げば、衛生的に満足のいくものとなった。


 同じようにトイレの後始末や歯磨きとしても有効な魔法だった。

 どういうわけか俺は教えてもらった全ての魔法が使えた。

 そう基本四属性というらしいが魔法が使えたのだ。


 当たり前の話だが、最初は使えなかった。

 それでも毎日教わった詠唱を唱えていたら、二月目には教えてもらった全ての魔法が使用出来る様になったのだ。


 衛生的になった台所は気持ちが良くて、料理を母に代わってする機会も増え料理の腕は徐々に向上している。


 鑑定も更にパワーアップして今では〔鑑定〕→〔人族 子供 レインスター 10歳 HP129/129 MP184/184 体調:良好〕と表記される様になった。

 イスなんかを鑑定すると材質まで表示されるので勉強になるし面白い。


 成長した僕の仕事はマルダさんの調合を手伝ったり、マキナリさんのところで動物達とじゃれ合ったり、ゴライさんと木工製作するのは相変わらずだ。

 三年前から変わったことは週に二度だけ森で一人で狩りをしていることだ。


 一年前にビリーさんが大きな決断をした。

 なんと狩人から鍛冶士に仕事を変えたのだ。

 今では家庭を持ち工房で毎日槌を振るっている。


「レイン。慣れてきた時が一番危ない。分かっていると思うが、絶対に気を抜くなよ」

 ビリーさんからのその言葉を胸に刻み、僕は弓と短剣で狩人にクラスチェンジした。

 ……したと言ったらしたのだ。断じて〔食いしん坊〕が僕のクラスじゃない。


 この三年ラスター兄とも会っていないので、僕が憂うことはない。

 これが僕の日常だ。



 レインは翌日いつも通りに森に来ていた。

 木漏れ日が差し込む森で、レインはひっそりと弓を構えると小さく呼吸をして息を整えてから矢を放った。

 風を切り、木と木の間を通り抜けて標的である猪の首に突き刺さった。

 レインは最初の一本から立て続けに三本の矢を放ち、それぞれが猪の目と口に吸い込まれるとその巨体を痙攣させて、猪はドンっと豪快に横に倒れた。


「よし。今日は牡丹鍋だ。」

 周りを警戒しながら進み痙攣している首に短剣を突き刺して止めを刺す。


 昨年ビリーに卒業試験でこれをやらされた時にレインは泣いた。

 村を守った時とは違い、弱った動物に止めを刺す感触があまりにも生々しかったからだ。

「君の命をいただきます。」

 だからレインは糧となる獲物に毎回そう呟いては頭を下げるようになった。



 穴を掘ってその中に猪の血を流す。

 ある程度の血が抜けたら臓物を掻き出して足にロープをつけて目の前にある木の枝に投げて引っ掛けると魔力を身体に張って一気に引いた。

 その瞬間ロープはピーン張って、猪の身体が少しだけ宙に浮いた。

 そこから最後の血抜きをする。


「さてと【風よ汚れ穢れを払い給え クリーン】」

 魔法を唱え血溜まり、内臓、獲物の順に掛けていく。

 それだけで今まで漂っていた血の臭いが完全に消えるから不思議だ。


 僕はファイアで内臓を焼いて食べながら、時折クリーンを掛けてニオイが飛ばないように気をつけて腹を満たす。


 狩人は魔物でも殺して直ぐなら瘴気が発生しないと知っている。

 その為、食べられることを僕もビリーさん教わって実践している。


「まぁビリーさんとの狩りでは魔物を警戒しないといけなくて全然食べられなかったけどね」


 僕は思い出しながら笑って呟いた。

 まだ魔法が使えるのは秘密の為、血のニオイが漂うと魔物が寄って来る。

 だから少ししか食べれなかったのだった。


 食事をしている間に軽くなった猪を降ろしながら、木こりのゴライに作ってもらった運搬用の二輪手押し車を押して帰る。

 ゴムが無いので其処まで楽ではないけど、重たいものを運搬できるんだから大変便利なのだ。

 こうして森から帰ると父に猪を渡して、また森に入るそれが僕の日常だった。


 獲物を運んでからまた森に向かうのにはいくつかの理由が存在する。

 森を探索して更に獲物を狩ること。

 浮く魔法の開発。

 ちなみにカメ○メハは魔力弾となって放つことは出来たが封印した。

 威力が低いのに魔力がすっからかんになってしまったからだ。


 いつか僕は空を掛ける、飛翔したい。

 レインはそう考えながら探索して、薬草の採取や木に生った果実を回収し、あまり集中していない自分に落ち込みながら、また詠唱を考えていた。


 狩りの日の翌日は長い棒を二本持ち、疲れるまで自分流の型を振るう。

 休憩した後は棒から鍬に持ちかえて開墾作業を行う。

 真っ直ぐに下ろして、上げてまた下ろす。


 全身運動を適度にこなし、昼食を作って食べ終わると、ゴライさんの所かビリーさんの所かマキナリさんの所で大半を過ごす。


 レインには同年代の友人はいない。だが、レインにとっては彼ら三人が友人なのだ。


 凄腕の狩人のレインスター。

 顔はそこそこ整っていて、頭が良く、どこか大人びていて優しい。

 これがレインの評価だ。


 その為、見たことも無い近隣の村も含めた同世代の男の子達から疎まれ、女の子達からは熱を上げられ、知らぬ間に敵が多く存在してしまっていることを、当のレインはそのことに全く気付くことなく生活を送るのだった。


 そしてそんなところに三年の時を経て、あの男が再び動き出そうとしていた。

お読みいただきありがとう御座います。

二章もさらっと書きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ