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引きこもりニートのコンビニ籠城生活 〜店から出たら即死な異世界迷宮に、なぜかWi-Fiがつながる店舗ごと転移しました〜  作者: autofocus


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第20話:店長、プロニートの更生と届くはずのないメッセージ

明け方。

リゼッタのあの「この世の終わり」を見るかのような最悪の誤解を解くために、夜通しでからあげクンを揚げては貢ぎまくった結果、ついにホットスナックのストックを切らしてしまった。俺は寝不足の目をこすりながら、慌ててストコンで追加の発注を行う。


「しかし……リゼッタのあの過剰なまでの清純ぶり(箱入り娘っぷり)にも困ったもんだな……。グラビア写真集の一冊くらいで、凶悪犯を見るような目をしやがって……」


俺は大きなあくびをしながら一人でぼやき、椅子の背もたれを大きく後ろへ倒しながら、限界まで身体の伸びをした。


バキバキと鳴る背骨の音とともに、バックヤードの白い天井が視界に入る。

そこを見上げた俺は、思わず苦笑してしまった。アラクネとモカのやつ、何だかんだで妙に波長が合ったらしく、天井の糸の巣でお気に入りの美少女抱き枕を挟んで川の字になって一緒にすやすやと眠っているのだ。


「しかし……スパイだって完全にバレてるのに、堂々と偵察に来てそのまま居眠りするこいつもどうかと思うが、そんな怪しいスパイを普通に泊めてやってる俺も、大概どうかしてるよな」


フッと、自然な笑いがこみ上げてくる。


三年間、実家の自室に閉じこもっていたあの頃とは、180度違う賑やかな毎日。

いつの間にか、奇妙で狂暴で、だけどどこか愛らしい仲間たちに囲まれている今の生活に、心から笑えている自分がいた。


そもそも……俺が現実の世界で絶望し、部屋に引きこもるキッカケになったあの挫折は、ここまで心を閉ざして人生を捨てるほどのことだったのだろうか。

──異世界のコンビニで、まがりなりにも店長として『誰かに必要とされる労働』を経験したからこそ、そんな風に過去を客観的に振り返ることができるようになった。それだけ、俺の心は前を向けているということなのかもしれない。


そんな、少し誇らしいような気恥ずかしいようなことを考えながら椅子の背もたれを戻した時、事務机の上で充電器に挿さったままの、一台のスマホに目が留まった。


そういえば……最近は、業務が忙しいこともあって、スマホを無駄にいじる時間が目に見えて減ってきていた。

寝る時以外、四六時中スマホの画面だけを凝視して、終わりのないタイムラインをスクロールし続けていたあの頃の俺には、到底思いもしなかった変化だ。


「……ニュースでも見るか」


久しぶりに充電ケーブルを引き抜き、スマホを手に取る。

画面が点灯した、その瞬間──。


ピコーン♪


軽快な通知音が、静かなバックヤードに響いた。

画面の最上部に表示されたのは、現実世界でずっと使っていた、お馴染みのメッセージアプリの通知アイコン。


ドクン……!


俺の心臓が、一瞬にして冷たくざわついた。

あり得ない。ここは異世界だ。電波なんて繋がっているはずがないし、ネットのニュースが見られるのはこのコンビニの『発注システム』がそういう特殊な魔力で繋がっているからだ。個人間のメッセージアプリが動くはずが──。


震える指先で、アプリのアイコンをタップする。

画面が切り替わり、そこには、たった一行だけの、短いメッセージが表示されていた。


『──生きてる?』


送り主の欄に表示されているアカウント名を見る。


「……え?」


息が止まった。全身の血が、一気につま先へと下がっていくような錯覚を覚える。

その送り主は──小学校から高校まで、多感な時期のすべてを共に過ごした、俺の唯一の幼馴染の女の子、チサからだった。


現実の世界に残してきたはずの、大切な人からの生存確認。

なぜ、届くはずのないメッセージが、今このスマホに届いたのか──。

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