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ゴーレムとの戦闘

ゴーレムとの戦闘シーンです。

大気を震わせる重低音が、灰の渓谷に木霊した。


岩壁と見紛うほどに巨大な三体のゴーレムが、数千年の眠りから解き放たれ、その重い四肢を動かし始める。表面に刻まれた古代の術式が、どろりと濁った琥珀色の光を放ち、雪と灰を巻き上げながらルナへと迫る。その一歩ごとに大地が悲鳴を上げ、逃げ場のない断崖へと彼女を追い詰めていく。


「……数が多いわね。ホークアイ、視界の共有を」


ルナが短く命じると、肩の上のフクロウが鋭く鳴き、その琥珀色の瞳をさらに大きく見開いた。ルナの紫の瞳に、ホークアイが見る「魔力の流れ」が重なる。ゴーレムたちの全身を巡る、血管のような光の回路。そして、その胸部奥深くに鎮座する、動力源たる「核」の拍動。


一体目のゴーレムが、丸太のような豪腕を振り下ろした。凄まじい衝撃波が岩を吹き飛ばし、ルナが先ほどまでいた場所には深い亀裂が走る。ルナは蝶のようなしなやかさでその一撃を紙一重で回避すると、翻るコートの裾を闇に馴染ませ、巨像の懐へと滑り込んだ。


「まずは、その足を止めてあげる」


逆手に持った魔導短剣の柄に親指を添え、ルナは一気に魔力を流し込む。銀色の輝きを帯びた刃が、ゴーレムの足首に刻まれた術式の接合部を正確に捉えた。金属と石が擦れ合う不快な音が響き、火花が散る。だが、ゴーレムの装甲は想像以上に厚い。一筋の亀裂を入れるのが精一杯で、巨像は痛みを感じぬまま、残された左腕でルナを薙ぎ払おうとする。


ルナは空中で身を捻り、背後の岩壁を蹴って距離を取った。着地したルナの頬を、凍てつく風が冷たく撫でる。


「……硬いわ。物理的な破壊だけじゃ、埒が明かない」


二体目、三体目のゴーレムが、逃げ道を塞ぐように左右から包囲を狭めてくる。彼らの掌が赤く発光し、大気中のマナを強制的に収束させ始めた。魔力砲の充填音。逃げ場のない渓谷の底で、広範囲を焼き払う術式が発動しようとしている。


ホークアイが激しく羽ばたき、警告の声を上げる。ルナはフードを深く被り直し、短剣を胸の前で構えた。彼女の指先が、細かな魔法回路を描くように空をなぞる。


「……いいわ。一つずつ、その『偽りの命』を解いていく」


追い詰められたはずの彼女の唇には、微かな、氷のような微笑が浮かんでいた。それは、かつて優秀な魔導師として称えられたルナの本名『セレナ・ヴァレンタイン』としての矜持と、夜明けを拒んだアサシンとしての冷徹な計算が混ざり合った、歪で美しい表情だった。

ついに文中でもルナの本名が出てきました!さて、ルナはどうやってゴーレムを倒すんですかね?

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