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知識チートと解析スキルで無人島を『理想の都市』に創り上げる  作者: 佐藤 凛


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武術大会開幕

学園祭二日目の朝。晴天の中、ケリーが出場する武術大会当日を迎えた。


出場者であるケリーは体力温存のため寮で休ませ、アレン、ステラ、ロシュ、ヒルデの四人で昨日の出店の片づけに取り掛かっていた。


4人は昨日の出店でのことを振り返っていた

四時間の営業でアレンが準備した五千個近い商品はすべて完売し、売り上げは王都で店を構えるための目標額にほぼ届くところまできていた。


ヴェルセリア特性によって品質の跳ね上がった商品は、すでに学園都市全体で話題となっている。


片づけをしながら、ステラが気になっていたことを口にした。

「アレンさん、あれだけの量……本当に昨日だけで作ったんですか?いつのまにあんな数を……」


アレンは淡々と答える。

「実は『遠隔』というスキルを手に入れていてね。素材のある場所に行かずとも加工や生成ができる。別の作業をしながらでも、ずっと裏でアイテムを作っていたんだ。」


ステラとロシュは同時に目を見開いた。

「遠隔……そんな便利なスキルが……」

「それを四六時中操作しながら他の仕事もしていたんですか……?」

驚きと感心の表情が二人の顔に浮かぶ。


逆にアレンは二人に向き直った。

「僕から言わせてもらえば、二人の働きぶりにも感心しているよ。ロシュは最近では店頭に立つこともなかっただろうけどさすがの経験と技術で臨機応変に動いてくれたし、ステラもケリーやヒルデとすぐに連携してくれた。みんながいてこそ今回の成功があった。」


その言葉を聞いたステラとロシュとヒルデは、どこか誇らしげに、そして照れたように微笑んだ。


片づけが終わった頃、武術大会の開会時間が迫っていたため、三人は待機しているケリーとヒルデの元へ向かい、会場へと移動した。

武術大会の会場はすでに熱気に包まれていた。


学園の生徒だけではなく、年齢制限が「三十歳以下」であることから、周辺都市や他国からの参加者も多く、総勢二千人がエントリーしているという。

アレン達は圧倒的な人の多さに、あらためて学園祭の規模に驚かされる。


この大会では治癒スキル持ちが常駐し、大けがにつながる攻撃は即失格となるため、安全性はしっかり確保されている。


受付で出場手続きを済ませ、試合まで時間があるため、アレン達は予選の観戦に向かった。

観客席に向かう途中、ひときわ大きな人だかりがある。


どうやら――今回の本命と言われる選手の初戦が始まるところらしい。

「彼女……一年生の頃から連覇しているらしいわよ。」

「『剣聖』というスキルをもってるらしい。」


観客の声が耳に入る。名はセレナ。

長い白髪に澄んだ青い瞳。見た瞬間にわかる研ぎ澄まされた気配。剣を手に立つその姿は美しく、観客席には熱狂的な声援が飛んでいた。


対する相手は屈強な男性。体格差も年齢差も大きい。しかしセレナは一歩も動じていない。


そして審判が手を振り下ろす。

「――始め!」

次の瞬間、アレンは目を見張った。

セレナの姿が『消えた』

会場全体が、ほんの一瞬息を呑む。

次に見えた光景は、相手の男が地面に膝をつき崩れ落ちる姿だった。


シュッ。

ほんの刹那、風を裂く音だけが残る。


「勝者、セレナ!」

観客席は割れんばかりの歓声に包まれた。


「……速すぎる。」

「これが連覇中の実力……」

アレン達ですら言葉を失うほど圧倒的な勝利だった。


セレナの試合が終わり、ケリーの出番まで時間がなくなってきたため、アレン達は指定の試合会場へ向かった。


ケリーの相手は、前年度ベスト8の上級生で、優勝候補の一人であるらしい。

ケリーは緊張しきった顔で槍を握りしめている。


アレンはケリーの肩に静かに手を置いた。

「ケリー、君なら負ける心配は全くないよ。」

「そ、そんな……アレン様、どうしてそこまで……」

「君の努力も実力も、何より精神力も知っている。大会だからといって不安になる必要はない。」

その言葉を受け、ケリーは深くうなずき、試合へ向かっていく。


試合開始の合図が響く。

相手の選手が俊敏に距離を詰める。

だがケリーは焦らず、下段から鋭く槍を突き出した。


ガンッ。

予想外の低い軌道に相手は反応が遅れる。


槍先が足をかすめ――相手は体勢を崩し、そのまま立てなくなった。

「こ、こんな……一撃で……!」

観客席が驚きのざわめきに包まれる。


ケリーは呆然と相手を見つめていたが、審判の声で我に返る。

「勝者、ケリー!」


ケリーは勝利を喜びつつも、どこか驚きすぎて表情が固まったままだった。

アレン達は笑顔で迎えた。


その後、ケリーは快進撃を続け、強敵を次々と撃破していった。会場の視線も徐々にケリーへ向けられていき、その名は一気に広まっていく。


そしてついに――決勝。

対戦相手は、あのセレナ。

控室での対面。


セレナは静かだが強い意志を持つ瞳でケリーに近づき、言葉を投げかけた。

「決勝まで来たのね。あなたの槍とんでもない性能を持っているでしょう、興味があるわ。もし私が勝ったら――それ、私に頂戴。」


ケリーは即座に困惑する。

「えっ……こ、これはアレンさんから……その……」

「では逆にあなたが勝ったら、何が欲しい?」


ケリーはさらに戸惑った。

だがアレンが静かに前へ出る。

「ケリー。自信を持て。君なら勝てる。」


ケリーは緊張に震える心を押しとどめ、顔を上げた。

「……では、わたしが勝ったら……セレナさん。ヴェルセリアに来てください。あなたの強さと美しさに、ずっと憧れていました!」


セレナは驚き、そして少し笑った。

「面白い提案ね。いいわ。負ける気はしないけど、約束する。」


鐘が鳴った瞬間、セレナの姿がふっと薄れた。

風切り音が走る――それは剣が空気を裂く音だった。目にも止まらぬ速度で振るわれる斬撃。ケリーはそれを槍で受け止めるたび、全身に重い衝撃が走る。


だが耐える。何度も、何度も。

一撃、また一撃。セレナの剣は正確無比で、攻撃の隙がほとんどない。


しかし、ケリーはただの防御だけでは終わらなかった。

瞬間、足元が沈むような動きでケリーが地面を蹴り、槍が閃光のように伸びる。


「はっ!」

鋭い突きがセレナの腰へ向かう。セレナは身を翻して避け、逆に踏み込んで剣を振り抜く。


火花が散った。

ケリーの槍とセレナの剣が何度もぶつかり、甲高い音が会場に響き続ける。観客は息を呑み、審判でさえ目を離さない。


「こんなに受け止めるなんて……!」

セレナの頬が初めて驚きに揺れた。

攻勢はセレナだった。しかし、ケリーは攻撃を見切り始めていた。パターンを読み、タイミングを掴んでいく。

セレナが踏み込み、斜め上から剣を振り下ろした瞬間


ケリーは後方に滑り込み、槍の石突きを利用して体勢を低く保ちながら距離を詰めた。


そして、振り上げる。

「これで!」

槍の穂先が一気に跳ね上がり、セレナの剣を下から弾き飛ばす。


剣が宙を舞い、金属音を響かせて地面へ落ちた。

会場が凍りつく。

セレナの瞳が大きく見開かれ――

審判が叫ぶ。

「勝者、ケリーーーーーーー!」


会場は割れんばかりの歓声に包まれた。

ケリーはしばらく呆然と立ち尽くし、やがてアレンたちが飛び出してきて抱きしめられると、ようやく自分が勝ったことを理解した。


セレナは落ちた剣を拾い、静かにケリーのもとへ歩み寄る。

「……見事だったわ。約束通り、ヴェルセリアに行きましょう。」


ケリーの目に涙が浮かぶ。

こうしてケリーの学園祭最大の戦いは幕を閉じ、彼女の名は学園都市中に響き渡ることとなった。


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