ステータス確認
※マヤ視点が含まれます
あたり一面は森。
確かに今までも森だったが、まるで違う。
見たこともないほど大きなキノコや、煌びやかに光るキノコ。
……思ったよりキノコばかりだな。
初めてのダンジョンに緊張しつつも、現状を確認する。
持ち物はスマホのみ。武器なんて持っているわけがない。
見渡す限り、あたりに魔物と呼ばれる存在は確認できないものの、いつ襲われてもおかしくない状況だ。
気になるのは、ダンジョンに入った時に聞いた謎の声だ。
聞いたことがある。
稀に、ダンジョンに初めて入った際、スキルを授かる者がいるとか。
「ステータス」
ネットの情報を頼りに何となく呟いてみると、視界にはまるでゲーム画面のような数値が表示された。
立花レン
Lv1
HP 3
MP 4
ATK 6
DEF 5
SPD 4
MAG 5
スキル:
EXスキル:ゲーマー
数値の意味は、ゲーマーなので何となく分かる。
ネットで調べたところによると、確かレベル1の平均は5だった気がする。
ほぼ平均だが、ATKが少し高いのは剣道の影響だろうか。
ステータスもだが、やはり気になるのはEXスキルだ。
ふと浮かび上がる文字に指で触れてみると、説明画面が表示された。
【ゲーマー】
クリアしたゲームの能力がランダムでスキルとして使えるようになる。
クリアしたゲーム?
クリア――それがストーリークリアのことを指しているのなら、すでにいくらでもある。
だが、スキル欄には何も記載がない。
……今は考えていても仕方がない。
急いでマヤを探しに行こう。
ステータス画面を閉じ、場所が分からないため、魔物に気を付けながら走った。
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私は今、下校中に呼び出され、別のクラスの同級生3人に囲まれている。
「マヤ、あんたさあ、天道君からの告白断ったんだって?」
クラスが違うため名前までは分からないけど、学校で何度か見かけたことのある女子生徒が睨みつけてくる。
天道君とは、私・立花マヤと同じクラスの、いわゆる目立つ生徒で、容姿も整っており、女子生徒が噂しているのをよく耳にする。
この日、私は天道君に昼休みに呼び出され、告白を受けた。
特に興味もなかったので断ったけど、どうやらそれが不満なようだ。
「そうだけど、あなたたちに何か関係があるの?」
「っ! あんたね! みこが振られたの知ってんでしょ!? よくそんな言い方ができるね!」
みこさんは、今私に話しかけている蘭さんの横で泣いている女子生徒だ。
「悪いけど知らない。みこさんとはそんなに話したこともないし」
「それでも天道君から告白されて断るわけないでしょ! あんた彼氏いるの?」
どうにか優しい言葉で返そうとするが、うまくいかない。
みこさんは泣くのをやめないし、蘭さんもいらいらしてどんどん口調が悪くなる。
「彼氏はいないよ。でも天道君のことはよく知らないし、ほとんど話したこともない」
「……あっそ。もういい。天道君を好きっていう子はたくさんいるし、あんたいじめられるよ」
――いじめ。
その言葉に兄のことを思い出し、私は蘭さんを睨んでしまった。
「何よその顔! ……ねえ、なんでここに呼んだか分かる?」
ここは日本でも数少ないダンジョンの入口、その裏側だ。
「そこの穴、入れよ」
彼女が指を差したのは、フェンス付近に不自然に掘られた穴だった。
断ったら殴る。
そう言われ、しぶしぶ中に入ってみると、すぐにダンジョンゲートの裏側へたどり着いた。
「あんたさあ、ダンジョンに入りなよ。そしたら今日のこと全部忘れてあげる」
「そんなことできるわけないじゃない」
ダンジョンは今では一般人も入れるものの、許可や政府職員の付き添いがある場合のみで、それ以外は危険だ。今では誰でも知っている常識だった。
「あんたの兄貴、昔いじめられてたの、あれうちの兄貴が率先してやってたから」
「!!」
名前までは知らなかったため、驚きが顔に出る。
「うちの兄貴、顔広いから。働くのか知らないけど、どこへ行ってもいじめられるよ」
そんなわけがないと分かりつつも、どうしても不安な気持ちになってしまう。
『ダンジョンに入って帰ってこられたら許してあげる』
そんな口約束を信じてしまうくらいには、私は兄のことが大好きだった。
ゲートに触れると、視界が歪み、体が浮かび上がるような感覚があった。
『エクストラスキル:【蘇生】を獲得しました。』
その声を最後に、視界に映る景色は、まるで異世界のように変わっていた。
なんて馬鹿なんだろう。
あの子たちが、こんなことでいじめをやめるわけがないのに。
そんなことを思いながら、とぼとぼ歩く。
ダンジョンについては全く知識がない。
兄のこともあり嫌っていたし、特に興味もなかった。
ザザッ。
後ろから、ふいに音が聞こえる。
何かが素早く動いたような音。
後ろを振り返ると、大きな牙に黒い体。
特徴としては蟻だが、見たことのあるサイズとは比べものにならないほど巨大なそれが、目の前にいた。
「キャーーーー!!」
とっさに走り出す。
握っていたバッグを投げつけ、とにかく走った。
後ろからは少し遅れて足音が聞こえる。
その音はだんだん近づいてきていることが分かった。
どうしよう!!
何か考えないと!
なんとか森の中へ入り、目についた小さな穴に飛び込んだ。
目がそんなに良くないのか、近くまでは来るが、私を見つけられていない。
ハアハアと息が切れ、足はがくがくで動かない。
怖い。
怖い、怖い。
助けて!!
そんな言葉も出せない状況に、体が固まる。
もうこのまま死んでしまうんじゃないか。
そんなことを思っていると、ふいに眠気が襲い、目を閉じてしまった。




