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世界初の株式会社

皆様、あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。


前世の記憶と魂の役割、

そして

世界初の株式会社を題材にした物語です。


改めて自身の作品を見たんですが、

読みやすくするために、

かなり文字を削ってしまった結果、

現在のAIバブルなんか目じゃない位の熱量ある

世界が全然伝わってこなかったので、

元の原文に戻しました w


楽しんでくれると嬉しいです!



この物語は2025年12月5日に投稿しました。

 もうすぐ終わる現場とはいえ、

 なんでだ?


 なんで、監督の俺が誘導するんだよ?


 ぶつぶつ言いながら大通りに出た。

「 キキィーーー!!!」


「 ドン!」


 鼻を突く強烈な鉄の匂いとともに、

 目の前が急速に暗転する。


 すべてが消えた......

 

 音も、光も、痛みさえも......

 まるで誰かが世界のスイッチをポンっ、

 と落としたみたいに......


 意識は真っ暗な水底へと沈み、

 浮かぶのはただひとつの、

 妙に鮮明な感覚だけ。


 ふと気づくと、

 謎の空間にいた……。


 私自身が光に包まれている……

 いや......違う。


 肉体がなく、

 光そのものになっている。


 確か業務中、

 車を誘導するよう頼まれ、

 走行車両に注意喚起しながら

 道路に出ていたはず……。


「 ふぅ〜……そうか……やっちまったなぁ……」


 一瞬、

 私は銀河の淵に放り出されたような錯覚に陥った。


 視界を占めるのは、

 底の知れない暗闇。


 耳を澄まそうにも、

 そこには音が振動するための空気さえ存在しない静寂がある。


 鼻を突いたはずの鉄の匂いさえ、

 遠い前世の記憶のように薄れていく。


 自分が物質であることをやめ、

 ただの意識という光の粒になって宇宙を漂っている――


 そんな感覚だけが、かろうじて残っていた。


 おそらくここは死後の世界......


 意識を向けると、

 同じような光が一定方向に進んでいる。


 戸惑いながらも、

 流れに身を任せてついていくことにした。


 もうどれくらい進んでいるんだろう?


 このままずっと漂い続けるのだろうか?


 耳を打つ音は何一つない。


 しかし、光の川が太くなるにつれ、

 音というよりは『震え』に近いハミングが聞こえ始めた。


 それは何兆もの意識が重なり合った、

 巨大な和音ハーモニーのように感じている。


 さらにその先には巨大な光の塊。


 あの塊は、

 何となくだが、

 いわゆる「神」や「意識の集合体」と呼ばれるもの。


 現世でもごく一部の人だけがアクセスできるという、

 アカシックレコードと呼ばれる知識の源泉だと直感した。


 巨大な光の塊に近づくにつれ、

 視界は白銀の輝きに塗りつぶされていく。


 その光は、

 ただ眩しいだけでなく、

 産毛が逆立つような微細な電気の粒として私の意識に触れてきた。


 その知識の源泉に近づくほど、

 肌を撫でるような知性の熱量が強まっていくのを感じた。


 そこにはあらゆる知識と、

 私自身の前世の記憶にもアクセスすることができた。


 ただし、

 誰もが一週間前に食べた献立をすべて覚えているだろうか?


 それと同じで、

 前世の記憶も完全なものは少ない。


 インパクトのある出来事や、

 その時に心血を注いだ、

 情熱を傾けた物事だけが、

 鮮明にクローズアップされて残っている。


 無数の記憶の波が寄せては返す中、

 一つの塊だけが、

 まるで太陽のように輝きを放ち、

 私の心を焼きつけるほどに迫ってきた。


 それは——

 船乗りの前世。


 華々しい冒険譚でもなければ、

 歴史に名を残すような生涯でもない。


 ただの、

 波と風に身を任せた一人の男の一生。


 それなのに、

 私にとっては他のどんな記憶よりも鮮烈で、

 魂の奥底から湧き上がるような熱を帯びていた。


 元は南部の最貧の村で生まれた、

 赤髪でひょろひょろの農奴の子。


 敵の襲撃で親兄弟を失い、

 北の都市に逃げてきたものの、

 自身も餓死寸前になっていたところを、

 港の路地裏で「ゴート」とあだ名される男に拾われる。


 10歳で見習い船員になり、

 生存率35〜40%の二度の過酷な航海をくぐり抜けた。


 それは、想像以上に過酷な世界――


 嵐は帆を裂き、

 船体が悲鳴を上げれば、

 足元には体温を奪う、

 冷たい海水が忍び寄る......


 敵船との戦闘になれば、

 甲板は真っ赤に染めあがり、

 ふと気付けば、

 焼き付くような喉の渇きが、

 むせ返る血の香を吸い込み、

 べったりと喉奥へ貼り付く。


 そして何より恐ろしいのは、

 正体不明の「航海の呪い」だ。

 

 その病に蝕まれた仲間たちは弱っていき、 

 湿った船倉に耐え難い臭いを漂わせる。


 その過酷な状況は、

 当時の船乗りたちの厳しい現実を物語っていた。


 しかし、それでも私はいつも笑っていた。


 海という厳しくも自由な世界に、

 胸の高鳴りを抑えることができなかったからだ。


 それを支えてくれたのは、

 奴隷時代とは違うもの——


 それは......自由と仲間との絆だった。


「おう! チビ! 泣くな笑え! www 次行くぞ!」


 いつもの口癖。

 失敗しても怒鳴るだけで、

 すぐに背中を叩いて励ましてくれた。


 ゴートはガサツで口は悪かったが、

 優しかった。


 彼は生涯語らなかったが、

 風の噂では、

 ゴートの妻も子も敵の侵略で亡くしていたらしい……。


 同じ境遇の私や他の子供たちを見て、

 思うところがあったのだろう。


 そんな面倒見のいい父親代わりの船長ゴートが大きな愛で見守り、

 副船長で上司の見本みたいなヤコブや、

 私たち見習い小僧の兄貴分ヤンやコルネリスが、

 剣と銃、ロープの使い方を叩き込んでくれた。


 仲間と酒を回し飲みしながら歌った夜は、

 生きるか死ぬかの瀬戸際だったからこその

 最高の友情がある。


 残念ながら二回目の航海でゴートは死んでしまったけれど、

 奴が酒を飲みながらいつも呟いていた言葉が、

 国を挙げての会社設立のきっかけになった。

「アジアには黄金が眠ってるぜ!!! www」


 私の心に残っているゴートの言葉の一つ......。


 生き残り、

 企業役員になったヤコブに呼ばれ、

 ヤンの補佐に任命された。

「頼んだぞ! お前は奴と相性が良かったからな!

 ヤンの奴をしっかり支えてやってくれ!」

 そして東南アジアに新拠点を設けつつ、

 黄金の国ジパングへ進出するミッションが与えられたのだった。


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