17 剣咲VSラン、凄絶な決着
ざんっ!
銀色の光が、一閃した。
赤い血しぶきがほとばしる。
ごとりっ……。
何か重いものが落ちる音がした。
「ぐ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ……!」
絶叫が響き渡った。
「ああ……」
俺は思わずうめいた。
剣咲とランの攻防――その決着は。
「切り札出してそんなもんかよ、剣咲ぃ」
ランが嘲笑する。
その目の前で、剣咲が崩れ落ちた。
「うううう……」
奴の両腕は、肘から先が切断されていた。
ランの側にたたずむ『死神』が大鎌を一閃し、斬り落としたのだ。
加速した剣咲をも上回るすさまじい斬撃だった。
「降参しろ。で、ヒーラー系の奴に治してもらえ。今ならまだくっつくかもしれないからな」
ランが笑う。
しかし、防御結界で守られたこのフィールドで、相手の両腕を斬り落とすとは。
あの死神の攻撃能力はすさまじい。
俺のしもべたち――ミラージュやソードマン、レッドメイジよりも強力なのは間違いないだろう。
「うぐぐぐ……」
剣咲はすさまじい表情でランをにらみ続け、やがてその場に突っ伏した。
どうやら気絶したらしい。
「ちっ、最後まで降参しなかったことだけは褒めてやる。激痛に耐えて意地見せたじゃねーか」
ランが鼻を鳴らした。
「さて、と。向こうの軍で一番強いのは剣咲だよな? 残りの雑魚もまとめて片付けるか」
歩き出すラン。
「ひ、ひいいいいいいいっ!」
剣咲の軍の騎士たちがいっせいに逃げ出す。
「殺さないで! 殺さないでぇぇぇっ!」
このフィールド内で剣咲が両腕を切断されたのを見て、『殺されるかもしれない』と感じたのだろう。
何せ勇者は多少の犯罪は不問にされるし、たぶん訓練中の殺人は罪に問われないだろう。
そもそも、ランに関しては、無関係の人間をその場に気分で何人も殺している、なんて黒い噂もあるけど、彼が罪に問われたという話を聞いたことがない。
「おいおい、騎士が死ぬのを怖がってどうする? 命を懸けて戦うのがお前らの仕事だろ」
ランが嘲笑した。
「いけ、『死神』」
かたわらのしもべ――そのまんま死神という呼び名らしい――に命令する。
ヴンッ!
黒いフードの奥で赤い眼光がまたたいた。
死神はふわりと空中を漂いながら、逃げる騎士たちに襲い掛かる。
ざんっ、ざんっ!
死神が大鎌を一閃するたびに、騎士たちの首が数個まとめて飛ばされる。
虐殺だ――。
「やめろ!」
俺はたまりかねて飛び出した。
「ミラージュ、ソードマン、レッドメイジ、出ろ!」
しもべをすべて呼び出す。
これ以上、見過ごすことはできない。
ランの凶行は俺が止める――。
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